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2022.06.27

検査で何がわかる?健康診断の疑問を解説します!【病のトリセツ#10】

kencom編集部

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今回は、健康診断にフォーカスします。

病気の予防や早期発見には欠かせない健康診断ですが、それぞれの検査で一体何を調べているかご存じでしょうか?それぞれの検査の目的や特徴がわかると、健康診断がより有意義なものになるはず。健康診断の疑問、この記事で一気に解決してしまいましょう!

健康診断とは?

健康診断とは、定期健康診断(一般健診)のこと。健康か否かを調べることを主な目的としています。

健康診断は、労働者が健康に働けるように設けられているもので、会社に勤めている人ならば必ず受けなければいけないと労働安全衛生法で定められています。また、自営業や専業主婦(主夫)の方は、自治体等の保険者が行う健康診断を受けることができます。

健康診断で受ける必須項目は以下の通り。この項目のみであれば、無料で検査が可能です。

<一般健診の必須項目>

①問診
②身長、体重、視力、聴力、腹囲の計測
③血圧の測定
④尿検査
⑤血液検査
⑥心電図検査
⑦胸部エックス線検査及び喀痰検査

※上記は医師の判断や健保により、一定の条件を満たした場合に省略されるものもあります。

健康診断の必須項目、それぞれの検査で何がわかる?

健康診断ではたくさんの検査を受けますが、それが具体的になにを調べているのかについては意外と知らないもの。まずは、健康診断の必須項目について詳しく見ていきましょう。

① 問診

まず始めに行う問診では、既往症、喫煙歴、服薬歴、業務歴、自覚症状などについて聞かれます。現在の健康状態を確認するために、この問診は欠かせません。

② 身長、体重、視力、聴力、腹囲の計測

基本的な身体の数値を調べます。特に体重と腹囲は、太りすぎやメタボを判定するのに大切な数値です。

③ 血圧の測定

血圧の高さ・低さを調べます。高血圧だと心臓血管病や脳卒中などの命に関わる病気のリスクが高まるので、早めの治療が必要になります。

④ 尿検査

尿検査では、尿中の糖およびタンパク、潜血の有無を調べて、腎臓の病気を発見することができます。腎臓の病気は長年かけてゆっくり進むものが多いため、年に一度の尿検査で早期発見できれば、早期治療が可能です。

そのほか、尿路のがん・尿路の結石・糖尿病・ホルモン異常など、尿検査から多くの病気を発見することができます。

⑤ 血液検査

特定の臓器で細胞が壊れると、血液の中に壊れた細胞が流れ出ます。そのため、血液を調べることで、貧血、血中脂質、血糖値、肝機能の状態など、驚くほど多くの情報を得ることができるのです。

検査で採る血液はほんの少しの量なので、あまり恐れずに。リラックスして臨みましょう。

⑥ 心電図検査

心電図は、心臓に発生する電気的なシグナルを感知して波の形で表現し、心臓が正常に動いているかを調べる検査です。心臓の筋肉に異常がないか、脈に乱れがないか、という点を確認することができます。

⑦ 胸部レントゲン検査

胸部レントゲン検査とは、背部からX線を当て、胸部にある肺や心臓、大動脈などの臓器に炎症や腫瘍などがないか観察する検査です。
肺の病気の有無が確認できるだけでなく、心肥大などの心臓の病気、大動脈瘤などの胸部の血管の病気なども見つけられる場合があります。

ただし、心臓や骨と重なった部分など場所によって見えないこともあるので、肺がんの早期発見にはCT検査のほうが有効です。

受けておきたい、オプション検査

さらに自分で気になる病気の有無について調べたければ、追加料金で検査を増やすこともできます。一般的な健保や自治体などで、オプションで受けることができる代表的な検査を挙げていきます。

① 検便検査

検便検査とは、便の中に血液が混じっていないかを調べる「便潜血検査」のことです。

苦痛を伴わず自宅で簡単にできる検査で、40代から増加し始める大腸がんの発見には非常に有効。年1回検便検査を受けるだけで、大腸がんの死亡率が3割も低下すると言われています。(参考:『ミネソタ大腸がん対照試験』研究)

大腸がんの初期は自覚症状がありません。自覚症状が出た頃にはかなり進んでいる場合も多いので、年に一度は検便検査を受けておいておきましょう。

バリウム&胃カメラ?2種類ある胃の検査

バリウム検査と胃カメラ検査(内視鏡検査)は、両方とも胃の疾患の有無を調べられる検査。健康診断や人間ドックではこの2つからどちらかを選んで受けることが多いと思いますが、どのように選べばいいのでしょうか?

バリウム検査は「胃の形状」を観察できますが、胃カメラ検査は「精密に粘膜を観察できる」という特徴があります。どちらの検査もメリットデメリットがあり、どちらがいいとは一概には言い切れません。異常が見つかっていないうちは、隔年で交互に受けてみるのもおすすめです。

付加検診

40歳及び50歳という、節目年齢の方限定の「付加検診」。

これは一般健診を受ける際に、お手頃価格で検査項目を増やすことができる制度です。生活習慣病など年々リスクが高くなる病気の早期発見や、生活習慣の改善につなげられるので、ぜひ該当年齢の方は活用してみてください。

対象となる検査は、
・尿沈渣検査
・血液学的検査の項目(血小板数、末梢血液像)
・肝機能検査(総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、アミラーゼ、LDH)の追加
・腹部超音波検査(腹部エコー)
・眼底検査
・肺機能検査
です。(各検査の詳細は こちらの記事をご参照ください)

自覚症状の出づらい肝硬変や脂肪肝、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、腎障害の早期発見に非常に役立つので、ぜひ活用しましょう。

※健保や自治体によっては制度が異なる場合もあります。

知っておきたい!健康診断トリビア

健康診断前日はどう過ごす?

健康診断前日に不健康な過ごし方をしてしまうと、健診当日に正しい数値を測れません。病気を見逃してしまったり、無駄に二次検査に回されたりといった不都合なことにならないために、健康診断前日の過ごし方には注意が必要です。

飲酒は控える、よく睡眠をとるなど、ほんのちょっとの心がけで正確な検査結果が得ることができます。

「健康診断」と「人間ドック」の違いは?

会社勤めの方なら必ず年に一度は受けなくてはいけない「健康診断」に対して、任意で受けることができる「人間ドック」。同じようなものに捉えがちですが、対象年齢や検査の範囲など、両者には異なる点が多々あります。詳しく検査したいなら、人間ドックがおすすめですが、自己負担の費用がかかってしまうのがネックです。

健康診断と人間ドックの違いを知って、自分に合ったものを選ぶことが重要です。

もし検査結果が悪かったら・・・

健康診断というのは、受けて終わり!というものではありません。後日通知される健診結果を、自分の健康の維持や病気の早期発見に結び付けてこそ、意味のあるものになるのです。

判定結果は、
A:異常なし
B:軽度異常
C:要経過観察・生活改善
D:要医療
E:治療中
という基準で評価されています。

C判定の場合は、C3、C6、C12と表示され、C3は3ヶ月後に様子を見ると言う意味。その間、生活改善に努めましょう。

D判定は、原則として結果を受け取ったら直ちに医療機関を受診して、検査や治療を受ける必要があるという意味。D判定を受け取ったら、直ちに健康診断結果を持って、医療機関に相談しましょう。

健康診断を活用して、病気の早期発見を

健康なときは面倒と感じてしまう健康診断ですが、早期発見、早期治療につなげるにはとても有効な制度です。

健康は一度失ってしまうと、取り戻すのがなかなか難しくなります。年に1回の健康診断日は、将来の自分の健康を守る大切な日と捉えて、確実に受けるようにしましょう。誕生日や記念日と重ねるなどして、毎年同じ日に受けると決めてしまうのもおすすめです。

本記事は過去のkencom記事をもとに再編集・編成したものです

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