メニュー

2023.01.30

早めの対策を!今年こそラクに乗り切りたい花粉症【病のトリセツ#16】

kencom編集部

記事画像

日本人の3人に1人が罹患しているという、スギ・ヒノキによる花粉症。春が近づくと、憂鬱になる方も多いのではないでしょうか。

この辛い花粉症を今年こそラクに乗り越えるには、症状が出ていない今の時期から対策するのが有効だといいます。では、具体的には何をどのように行えばいいのでしょうか。シーズン到来前に、花粉症対策の要を知っておきましょう。

花粉症とは?

記事画像

花粉症とは、スギやヒノキなどの花粉が原因となってアレルギー症状を引き起こす病気。
花粉が鼻や目に入ると、鼻水が止まらない、目がかゆい、頭がぼーっとするなど、生活の質(QOL)が下がるような、様々な症状が現れます。

地域差はありますが、日本全国でスギ花粉とヒノキ花粉が飛散するのが、例年2月から5月頃。その季節は、毎年多くの人が花粉症に悩まされています。

花粉症の症状

花粉症の症状は、主に鼻と目に現れます。
鼻は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり。目は、涙や充血・かゆみなどが代表的な症状です。また喉や皮膚のかゆみ、口の渇き、倦怠感や熱っぽさなどの症状が現れる方もいます。

花粉症の一番の問題はQOL(Quality Of Life)、つまり生活の質が下がってしまうこと。花粉症を発症すると、くしゃみや鼻水などのせいで集中力に欠けたり、目のかゆみや鼻づまりのせいで熟睡できないこともあります。その影響で、仕事や日常生活に必要な集中力、判断力、作業能率が低下してしまうこともあります。

花粉症の原因

花粉症の原因となる植物は50種類程度ありますが、日本の花粉症患者の約70%はスギ花粉が原因。
これは戦後の日本で、木材資源としてスギの木が大量に植林されたことより、日本の国土約12%の面積をスギ林が占めているほど広大なのが原因。また、スギの人工林は植林されてから30年を超えたものが多く、成熟して花粉量が増えてきています。

さらに、スギは夏が暑いと翌春の花粉量が増える性質があるため、近年猛暑が続いていることも花粉量増加に拍車をかけています。

また、スギやヒノキは、風によって花粉を運ぶ植物。虫などが花粉を運ぶ植物よりも多量の花粉をつくり、風で遠くまで運ばれる特徴があります。そのため、花粉症の原因になりやすいと考えられています。
北海道や沖縄ではスギやヒノキの人工林が少ないためあまり花粉が飛散しませんが、その他の日本の地域ではほぼ逃れられないと言われています。

花粉症のメカニズム

くしゃみ、鼻水、涙などの花粉症の諸症状は、身体に侵入しようとしている花粉を身体の免疫反応が排除しようとして起こす反応です。

花粉などの異物(アレルゲン)が体内に侵入すると、それを排除しようとして、花粉に反応するためのIgE抗体という物質が体内で作られます。その後、再び花粉が体内に入ると、目や鼻の粘膜にある肥満細胞とIgE抗体が結合して化学物質を分泌し、花粉を身体の外に排除しようとして、くしゃみなどを引き起こすのです。

なお、花粉などの異物に対する許容量には個人差があります。体内に蓄積された異物の量が許容量を超えると花粉症を発症するので、今までなんともなかった方が今年になって突然花粉症を発症する可能性もあります。

▼花粉症のメカニズムをもっと知りたい方こちらから

花粉症の治療法

シーズン前から抗ヒスタミン剤を

花粉症の症状を和らげるには、まずは薬物治療です。鼻水を抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬や、鼻の炎症を抑える点鼻薬、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬、そして目薬などが用いられます。

抗ヒスタミン薬の中でも主に使われている、第二世代の抗ヒスタミン薬は、眠気や口が渇くといった副作用が少ないだけでなく、比較的即効性があるので、症状が出始めてお困りの方にもよいでしょう。

ただ、毎年花粉症に悩まされている方は、スギ花粉が飛び始める前の1月下旬~2月上旬頃から薬を飲み始めるのがおすすめ。このタイミングで投薬を開始すれば、辛い症状をかなり軽減することが可能です。

時間をかけて体質改善。アレルゲン免疫療法

シーズンが終わった後に、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)を試すのも有効です。これは原因となるアレルゲンを投与して、体のアレルギー反応を弱める治療です。

1日1回少量のアレルゲンを舌下より摂取することで、徐々に身体をアレルゲンの存在に慣らし、アレルギー反応が抑えられていくという治療法です。約8~9割の人に効果が認められています。

ただし治療には3年以上の期間を設けるのが理想なため、即効性は期待できません。じっくりと取り組める人向きの治療法です。

対策の基本は、花粉を取り込まない!

花粉症の予防で一番大切なのは、花粉を取り込まないようにすること。屋外時、帰宅時、室内でできる対策を取り入れてみてください。

・屋外:マスクや眼鏡、上着や手袋、帽子を着用
・帰宅時:上着や靴、頭などについた花粉を払う。手洗いやうがいをしっかり行う
・室内:空気清浄機や加湿器を活用。朝一番に床掃除。洗濯物は室内干しに

また、正常な免疫機能を保つために、睡眠をよくとり、生活習慣を保つことも大切です。手洗いうがいをして風邪をひかないようにする、鼻づまりを予防するために飲酒は控える、鼻粘膜を正常に保つためにタバコを控えるなど、日々の心がけも花粉症予防に繋がります。

▼予防法を詳しく知りたい方はこちらから

正しい対処で春を快適に乗り切って

花粉症の方にとって、これから辛いシーズンに入りますが、正しい予防法や対処法を知っておけば、症状を緩和することは可能です。辛い症状は我慢していても治りません。生活の中の工夫と適切な治療で、今年の花粉症シーズンを快適に乗り切りましょう。

本記事は過去のkencom記事をもとに再編成したものです

記事情報

引用・参考文献

制作

文:kencom編集部

あわせて読みたい

この記事に関連するキーワード