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2019.06.14

突然死のストッパー!実はすごい心電図の奥深き世界

KenCoM編集部

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健康診断の際に、心電図検査を受けたことはあるでしょうか?
ベッドで様々な電極をつけられて行う検査ですが、特にその場では何か言われるわけでもないので、何をやっているかわからないまま受けている方も多いのでは。
果たしてあれで何がわかるのか。KenCoM監修医の石原藤樹先生に語っていただきQ&A方式にしました。

心電図ってこういうことやってたんだ!

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心電図は、心臓に発生する電気的なシグナルを感知して波の形で表現し、心臓が正常に動いているかを調べる検査です。
心臓は、収縮と拡張を休むことなく繰り返しているのですが、これは心臓の筋肉の中にある刺激伝導系というシステムが関係しています。ここから発せられた電気的シグナルが心臓に様々な形で伝わって動かしています。
このシグナルをわかりやすいように波の形で表現したのが心電図になります。

大きく分けて2つの変化がないかを調べています。
①心臓の筋肉に異常がないか
②脈に乱れがないか
これらに異常があると、心電図の波のリズムが不規則になります。その波形の類型からなんの病気かを一旦判断し、詳細に検査することになります。

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確かに胸だけでも取れるのですが、心電図の目的は心臓の異常を発見することです。
胸だけでなく、腕や足、お腹周りなど様々な方向から電気信号の変化を捉えることで、心臓のどこにどういった障害があるのかを推察することができます。
この方式を12誘導心電図検査といいます。

ちなみに、動きの中で24時間の心臓の状態を記録する『ホルター心電図』では、身体を動かすことを考えて、3〜4点程度で心電図を記録しています。

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見た目だけだと、映画や物語に出てくる電気を流す機械に見えますが、このマシン自体は心臓から出ている弱い電流を記録するだけのものです。
もちろん痛みなども感じることはありません。
冬などのように外気が冷えていると、電極をつける際に少し冷やっとするかもしれませんが、特に影響はありません。

心電図の大きな利点は、患者さんに痛みだけでなく、放射線被ばくや長時間的拘束といった負担をほぼかけることなく行え、かつ得られる情報量が多いことです。そのため幅広く健康診断に取り入れられています。

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心電図が健康診断に導入されたのは、1954年に大阪市でリウマチ性弁膜症を発見するために行われたのが最初になります。
全国的に行われるようになったのは1973年以降です。
これらが導入された大きな目的は、子供の突然死を防ぐことが第一義にありました。
子供に向けての心電図は先天的な心臓の障害を見つけられる可能性があるため行われますが、大人の場合は、疾患などで異常が出ていないかを調べる目的が主になります。

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心電図の異常でわかる病気としては下記のものなどがあります。

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ただし、白黒がはっきり出るものではないので正確にはわからない場合もあります。
例えば一時的な酸素不足で起きる狭心症発作などは、翌日に検査をしても現れない場合もあります。
また、標準的な波形は決まっていますが、個人差が大きいため、明確に線が引きづらいという点も見逃せません。

ただ、取っておくことで重大な心臓病を発見できる可能性もあります。しっかりと毎年取るようにしましょう。

意外と侮れない心電図

心電図検査は、他の健康診断項目と違って、なかなか白黒がはっきりしない検査ではあります。
ですが、この検査を通して、自分の心臓の状態をしっかり把握しておくことは、その後の生活はもちろん、運動への挑戦などにも役立ちます。
ぜひ1年に1度、しっかり心電図を取るようにしましょう。

参考文献

鈴木洋通(2009)『図解入門 よくわかる検査数値の基本としくみ』秀和システム.

栗原毅監修(2016)『ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし』成美堂出版.

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

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