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2022.05.30

5人に1人は悩んでいる。心と身体に悪影響を及ぼす不眠症【病のトリセツ#6】

kencom編集部

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、日本人の5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」「何らかの不眠がある」と回答しています。加齢により、その割合も増加し、60歳以上の方では約3人に1人が睡眠問題を抱えていると言われています。

今回は心と身体に悪影響を及ぼす「不眠症」についてまとめました。つらい不眠を解消したい方は、ぜひご一読ください。

不眠と不眠症の違い

不眠

不眠とは、眠りたくても眠ることができない状態のこと。病名ではなく、「眠れない」という症状のことを指す言葉です。

不眠には、寝付きが悪いタイプ(入眠障害)、寝ても途中で目覚めてしまうタイプ(中途覚醒)、起きたい時間より2時間以上前に目が覚めてしまうタイプ(早朝覚醒)、ぐっすり眠れたという満足感がなく体が疲れたままのタイプ(熟眠障害)があります。

ただ、睡眠時間が短くても、日中の活動にも支障を及ぼさない不眠であれば、特に問題はありません。

不眠症

日中に眠くなる、疲労感がある、注意力・集中力・記憶力の低下、イライラするなど、不眠のせいで日中の調子の悪さが続くようであれば、不眠症(慢性不眠障害)の疑いあり。週に3日以上、3ヵ月程度続く場合は、医療機関にかかることをおすすめします。

不眠により病気のリスクが高まる

不眠症で怖いのは、様々な病気のリスクが高まること。

睡眠には、脳や身体をつくり・育て・守り・修復するという大事な役割があり、心と身体をメンテナンスする大切な休息時間です。ですから、睡眠が十分に取れない日が続くと、心と身体の両方に悪影響を及ぼす危険があります。

睡眠時間が極端に短い方は、糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病のリスクがとても高い上に、食欲に関するホルモンバランスが崩れて肥満を引き起こすケースが多いことがわかっています。さらに、うつ病、がん、アルツハイマーなど、様々な病気のリスクも増加するのだそう。

様々な病気から身を守るためにも、不眠症は早めに対処する必要があるのです。

不眠症の治療

まずは原因を探る

不眠症の原因は、主に以下の5つが考えられます。治療は、まず不眠の原因を探るところから始まります。

① 「身体の病気」:睡眠時無呼吸症候群、ムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)、高血圧、心臓病、糖尿病、呼吸器疾患、アレルギー疾患など

② 「生理的不眠」:熱帯夜や騒音などの就寝環境が悪い、または仕事や学校など何らかの原因で生活リズムが崩れて起こるもの

③ 「心理的不眠」:ストレスなど

④ 「心の病気」:うつ病など

⑤ 「薬が原因の不眠」:向精神薬など

原因に応じた対処を行う

不眠症には画一的な治療があるわけではありません。診察によって、それぞれの不眠の原因を探り、それに応じて治療方法を決めていきます。

病気に起因している不眠の場合は、病気の治療を優先しながら、補助的に睡眠薬を使いリラックス状態にして眠れるように取り組んでいきます。

理想の睡眠を得るための6つのポイント

良好な睡眠の条件は

・睡眠の量
・睡眠の質
・タイミング

です。どれか一つが欠けていてもバランスを崩すため、満足に眠った感覚が得られません。

では、理想の睡眠を得るために日常生活の中でできる工夫はあるのでしょうか?ここからは、手軽に取り組める睡眠改善ポイントを6つご紹介します。

① 睡眠時間には、こだわらない

必要な睡眠時間は、個人差があります。3時間でも十分な方もいれば、10時間でも昼間に眠くなるという方も。大切なのは、睡眠時間にこだわりすぎず、自分に合った睡眠時間を見つけることです。

② 昼寝で不足分をカバーしよう

どうしても夜の睡眠時間が確保できないときは、15時までに30分未満の昼寝をするのもおすすめです。

脳と身体を疲労回復させるための積極的な短時間仮眠は「積極的昼寝(パワーナップ)」とも呼ばれ、今注目されています。昼下がりのぼんやりしがちな時間に取り入れれば、心身共にスッキリさせることができるでしょう。

③ 適度な運動を習慣づけよう

程よい肉体疲労は、心地よい眠りへと誘ってくれます。激しい運動は逆効果ですので、体に負担の少ない有酸素運動を取り入れましょう。

④ 就寝前のカフェイン、飲酒、喫煙をやめよう

寝付きをよくするような印象がある寝酒は、眠りの質を下げると言われているので、たしなむ程度にとどめておくのが無難です。また、就寝前にはコーヒーなどのカフェイン摂取や喫煙などの刺激も避けましょう。

⑤ ぬるめの湯船に浸かってリラックスしよう

入浴は就寝時刻の1時間半前に。リラックス効果はもちろん、入浴によって深部体温が上がるというメリットがあります。体温が下がりつつあるタイミングで眠りにつくことができれば、自然と深い眠りに入りやすくなるでしょう。

⑥ 規則正しい生活をして朝日を浴びよう

太陽光には体内時間を調整する働きがあります。早朝に朝日をたっぷり浴びる、そうすると14時間以降に眠気が生じて、寝付きが良くなります。

また、体内時計を狂わせないためにも、なるべく眠りのタイミングはずらさないように心がけましょう。寝起きのタイミングは一定にとどめておくと、睡眠の質も上がります。

生活習慣を整えてぐっすり睡眠を目指そう

1日を快適に過ごすためにも、つらい不眠はできるだけ早く解消しておきたいもの。今回ご紹介したように生活習慣を整えて、不眠の原因になっていたポイントを探ってみてください。

それでもうまく眠れないようなら、無理せずに専門医を受診してくださいね。

本記事は過去のkencom記事をもとに再編集・編成したものです

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