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2017.10.12

元気だと思っても要注意!健康診断のC・D判定の見方【kencom監修医コラム】

kencom監修医:石原藤樹先生

皆さんは健康診断を受けていますか?
定期的な健診を受けることは、健康管理の上で非常に重要なことですが、受診はしていても、受けっぱなしになっていては意味がありません。

健診というのは、受ければそれで終わり、ということではなく、健診結果を自分の健康の維持や病気の早期発見に結び付けてこそ、意味のあるものなのです。
しかし、健診結果というのは、必ずしも理解しやすいものではありません。その見方のコツのようなものを、今日はお話ししたいと思います。

健康診断の結果、基本の見方はこれだ!

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健診結果は通常アルファベットで表示されます。
AからEまでで表示されることが多いのですが、これは国が決めている基準ではないので、健診機関によっても違いがあり、FやG、Hといった表示もあります。
ここでは最近採用されることの多い、人間ドック学会の判定区分に従って、ご説明をしたいと思います。

人間ドック学会の判定区分は5段階

現在、国内で使用されることが多い人間ドック学会の判定区分は、AからEまでの5段階に分かれています。

簡単にいうと、以下のような5段階で表示されます。
A:異常なし
B:軽度異常
C:要経過観察・生活改善
D:要医療
E:治療中

このC判定はC3、C6、C12という、3段階で表示されることもあります。Dは要医療でこれもD1の要治療とD2の要精検とに分かれます。
血液検査やレントゲン、超音波検査などの各項目に対して、このAからEという判定が決まります。

そして、総合判定は全ての項目の中で、最も重い判定が表示されるのです。
たとえば、各項目にAとBとC判定が混ざっていれば、総合判定はCとなるのです。

要注意!総合判定は全ての検査結果を判断したものじゃない

総合判定というのは、全ての検査結果を総合的に判断した判定、というように思われがちですし、本来はそうあるべきなのですが、実際にはそうはなっていない、という点には注意が必要です。
Bの軽度異常というのは、レントゲンで見ると明らかにもう治った跡の影が残っているだけ、など、健康上は特に問題はない状態です。
Eの治療中は高血圧で血圧の薬を普段から飲んでいるなど、お医者さんに掛かって治療を継続している状態の場合に表示されます。

健康診断の判定、CとDの違いとは?

分かりにくいのはC判定とD判定なので、その点について少し詳しく解説してみます。

C判定とD判定の大きな違いは、検査や治療を受けるまでの期間です。

こんなに違う!C判定とD判定

C判定の要経過観察・生活改善というのは、基本的には一定期間をおいて健診と同じ検査を再度行って、その間の経過を観察するという意味です。
一時的な異常の可能性が高かったり、生活改善によって良くなる可能性が高い時に、この判定になります。
基本的には1年後にまた健診を受けて、それで経過をみれば良いことが多いのですが、もう少し短い間隔で経過をみた方が良さそうな時には、C3やC6という表示になることがあります。
C3は3か月後に、C6は半年後に様子をみるように、という意味です。

一方のD判定というのは、原則として結果を受け取ったらただちに医療機関を受診して、検査や治療を受ける必要がある、という意味です。
D1というのは要治療で、すぐに薬などによる治療を開始することが望ましい、という意味で、D2の要精検というのは、健診より詳しい検査で、より精密に原因を解明する必要がある、という意味です。
人間ドック学会以外の判定基準を用いている健診では、Dが要再検でEが要精検、そしてFが要治療のように分かれている場合もあります。
この場合の要再検というのは健診と同じ検査をもう一度受ける必要がある、と言う意味で、要精検はより詳しい検査で診断を確定する必要がある、と言う意味です。

C判定、D判定ごとの対処法

C判定をとったら→医師、保健師に相談を!

C判定というのは、基本的にはすぐに医療機関を受診する必要はなく、3カ月から12カ月は自己管理でも良いという意味です。

ただ、生活習慣病などについては、トータルな判断が重要となりますから、普段から医療機関を受診されていたり、薬をもらっているような方は、必ず主治医の先生にその結果を見せて頂いて、その指示をあおいで下さい。
私自身が行なっている健診の説明会などでは、C判定以上の異常のある方は、一度は医師や保健師などの指導を受けて下さい、というようにお話しをしています。

C判定だから医療機関を受診してはいけない、ということではないのです。
特に検査の意味が良く分からない場合などは、必ず専門家に聞くようにして下さい。

D判定をとったら→すぐに医療機関を受診して!

D判定はすぐに医療機関の受診が必要、という意味の判定です。

結果が届いてから目安として1カ月以内には、必ず医療機関を受診するか、主治医を持っている方は主治医を受診して下さい。
D1の要治療というのは、たとえば血圧であれば治療の必要なレベルの高血圧がある場合に、その判定になります。
D2の要精検というのは、たとえば胃のバリウム検査での異常であれば、胃カメラのようなより詳しい検査をして、速やかに異常の原因を診断する必要がある、という意味です。
どちらにしてもすぐに受診が必要なのです。

主治医や掛かりつけ医のいる方は、まずはそちらにご相談をされるのが良いと思います。
主治医のいない方は、どのような病院やどのような科を受診するべきか、健診をされた機関に、お問合せをするのが良いと思います。

通常人間ドックなどでは、その紹介や二次検査の手続きまで、やってくれることが多いでしょう。

健診結果を上手に健康増進や早期発見に結び付けるには

健診の結果が要観察のC判定以上であった場合には、そのまま放置して何もしないのでは、健診をした意味がありません。
特に初めて指摘された異常については、専門家に相談して、その後の方針を決定することが重要です。

C判定は基本的には軽い異常なのですが、重病の初期の兆候である、と言うケースもあるからです。
同じ健診機関で何年も健診を毎年受けているような場合には、その間の変化が病気の診断の糸口になることもあります。

私の経験したケースでは、C判定の軽い貧血でしたが、徐々に進行をしていたので精密検査をしたところ、血液の病気が見つかった、ということがありました。

D判定については、必ず二次検査や精密検査を受けることが重要です。
これも私が実際に経験したケースで、ある年の健診で便に潜血反応陽性の所見があり、D2判定だったのですが放置してしまったところ、翌年の検査で進行した大腸がんで手遅れだった、ということがありました。
D判定ではすぐに医療機関を受診することが絶対に必要なのです。

健診や人間ドックは受けっぱなしでは意味がありません。皆さんも賢く健診結果を利用するようにして下さい。

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

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