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2019.06.14

大腸がん発見の大本命!実は優秀な検便って何をみてるの?〜知ってるようで知らない健康診断の話

KenCoM編集部

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健康診断になると煩わしく感じる検査は数多くありますが、なかでも検便を苦手に思っている方は多いのではないのでしょうか?
実は、検便はがんの検査としては非常に優秀な精度を持っているんです。
やらないと損かも?と感じさせてくれるお話をしてくれたのは、KenCoM監修医師の石原藤樹先生。いったい検便で何がわかるのでしょうか?

検便検査は大腸がん死亡率を約3割減らすほど優秀

簡単なのに効果が高い検便

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苦手な方が多い検便検査ですが、便をとって調べるだけという簡単な検査の割に、その効果は非常に高いと言われています。
これはアメリカ・ミネソタで30年間にも及んで大腸がんの死亡率を評価した『ミネソタ大腸がん対照試験』という研究で明らかになったことですが、1年に1度検便検査を受けるだけで、相対リスクが0.68と3割も死亡率が低下しています。
これは他のがん検診と比較してもかなり有意な差と言えます。
費用対効果を考えても有効なため、多くの健康診断・検診で実施されているわけです。

世界に先駆け、日本では70年代から主流に

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検便も、尿検査と同様に1970年代から小・中学校の健康診断に世界に先駆けて導入されています。
食料を取り扱う業者などでは寄生虫や細菌の検査も行われますが、多くの場合はもっぱら便潜血の検査が主流となっています。
前述の大腸がんを発見するのに有効なのもこの便潜血検査になります。

血液やその成分が含まれていないかを調べる

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本来、口から肛門までの消化管に問題が何もなければ、便に血液が混ざることはありません。もちろん、お尻を拭いたら紙に血が付いていた、なんて時には自分で気づくことができますが、体内の消化管内で傷や炎症があった場合は見つけることは至難の技になります。そこで、便そのものを分析することで、血液の成分が入っていないかを調べるわけです。

多くの場合、検便検査は2日分の便を摂取します。これは出した便の全てを検査するのではなく、採取棒の先に付いた分しか検査しないからです。つまり、たまたま採取した部分に血液が付いていなかった場合に、見逃す可能性を出来るだけ減らすために考案された方法になります。

検便の方法も進化している

便潜血検査には化学的方法と免疫的方法の2つの方法があります。
化学的方法は昔から行われてきた方法で、赤血球中に含まれる成分を検出する方法です。食事制限などが必要なため、最近ではあまり使われなくなっています。
一方の免疫的方法は、血液に含まれるヒトヘモグロビンに反応するようになっています。そのため、他の動物の血などに反応しにくいのが特徴です。そのため、多くの場合は、免疫的方法を使用することが多くなっています。

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検便検査のコツはこれだ!

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便秘などがある方は、2日間分を採れと言われてもなかなかできないかもしれません。どうしても検査日までに間に合わない時には、郵送するという手を使ってもいいでしょう。その方が心理的にも楽だと思います。

また、女性の場合便を採ることに抵抗があるかもしれません。説明書きなどには、便を満遍なく触るように指示されていますが、どうしても難しいようでしたら、先に付いた程度でも大丈夫です。
最近の検査は精度も上がっていますので、少量でも十分に判断ができるようになってきています。
あとは、垂直に刺すのではなく、横にして撫でるようにするのがポイントです。その方が広い範囲をカバーすることができます。

中高年こそ重視したいのが検便検査

大腸がんは40代から増加し始め、高齢になる程リスクが増加しやすい病気です。また、初期は自覚症状が少ないため、自覚症状が出た頃にはかなり進んでいるという場合もあります。
1年に1度検査するだけでリスクは大幅に減らせます。
ちょっと苦手意識はあるかもしれませんが、ぜひ健康のためにもそこは頑張ってみてください。

参考文献

鈴木洋通(2009)『図解入門 よくわかる検査数値の基本としくみ』秀和システム.

栗原毅監修(2016)『ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし』成美堂出版.

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

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