2018.04.13
健康診断前日!意外と知らない“正しい“過ごし方シミュレーション
健康診断の前日、みなさんはいつもどのように過ごされていますか?
実はここでダメな過ごし方をしてしまうと、健診で正しい数値を測れずに病気を見逃してしまったり、無駄に二次検査をしなければいけないこともあるのです。
そこでkencom監修医の石原藤樹先生に、「健康診断を最適化させるための正しい過ごし方」をシミュレーションしていただきました。
健康診断前日の正しい過ごし方シミュレーション
石原先生「前日の朝から昼にかけてはいつも通りに過ごして大丈夫です。大切なのは前日の夕方から当日の朝にかけての過ごし方なのです。早速紹介していきます」
前日の夜・・・①夕飯は早めに済ませておく
石原先生「健康診断前は、しっかり絶食したほうがいいんです。12時間以上は基本だと言われています。朝10:00から検査であれば、22:00以降は食事をとらないようにしてください。
その理由は、空腹時と食後では結果が異なる検査があるからです。血糖値や中性脂肪はその代表で、食後では高くなるので、病気がなくても異常と判定されてしまう可能性があります。また、胃に食べ物が残った状態で胃の検査をすると、本当は何か病気があるのにそれがよく見えなかったり、その反対に病気ではないのに病気と判断されて再検査に回され時間を取られたりすることも。
特に、胃カメラや腹部レントゲンなどバリウムを飲んで検査するものを控えている場合は、この時間を必ず守り、お水はいつもよりも多めに飲むようにしましょう」
前日の夜・・・②お酒は飲まない
石原先生「お酒を飲んでしまうと、身体が脱水状態になり、かつ肝臓に負担がかかるので、尿検査(尿たんぱく、尿糖、尿pH)と血液検査(尿酸値、血糖値、中性脂肪)などに引っかかってしまう可能性があります」
どうしても前日に飲まなければいけないときは?
石原先生「社会人であればどうしても飲まなければいけないこともありますよね。そんなときは、アルコールの量をいつもよりも減らすよう意識し、検査時間の12時間前には飲み終わるように調整しましょう。さらにお水をたくさん飲むようにしてください」
前日の夜・・・③たっぷり睡眠をとる
石原先生「睡眠不足の状態では、交感神経が高まり、必要以上に血圧が高く出てしまうこともあります。また、健康診断自体、身体に負担がかかる行為でもあるため、体調を万全に整えるという意味でもしっかり睡眠をとるようにしましょう」
寝つけなくてもホットミルクは飲まないほうがいい
石原先生「夜寝られないときにホットミルクを飲む方がいらっしゃいますが、健康診断前日は控えたほうがベターです。それによりカロリーをとってしまうため、血液検査での中性脂肪値が高まってしまうこともあるのです」
当日の朝・・・水を飲んで、食事は検査時間で調整
石原先生「午前中に検査するのであれば、胃を空っぽの状態にしていたほうがよいので、朝食は抜いていくことをおすすめします。
ただし、午後からの検査ならば、受診時間の5~6時間前までに軽い食事を食べて構わない場合もあります。
お水は基本的に飲んでいただいて大丈夫ですが、健診機関によってはどのくらい飲んでよいかの指定をしているところもありますので、受ける機関の指示に従ってください。また、尿検査がある場合は、排尿は我慢できたらベストです」
健康診断で注意したいこと
自己申告するべきこと
●アレルギー
●妊娠の可能性(レントゲン、バリウム検査、CT検査など、特に身体に負担のかかる検査を受ける場合は必ず)
●検査をして具合がわるくなった経験
●普段から常用している薬
●(前日お酒を飲んだならば)お酒を飲んだこと
石原先生「健康診断では、上記の項目が当てはまる場合には自己申告をしていただきたいのです。
これらを医師が事前に知っておくことで、ご自身にとっての最適な検査・数値を導くことにつながります。例えば、これによって受けられる検査とそうでないものも出てきますし、仮に異常値が出てしまった際でも正しい診断を下すための判断材料になります」
体調が悪いときは別日に振替えを
石原先生「体調が悪いときの受診はできるだけ避けましょう。体調不良の状態で受け、血液検査で血を抜く際に具合が悪くなる人もいます。受診したとしても、軽く風邪をひいている時や、女性で月経の時などは、問診できちんと先生に伝えてくださいね」
健康診断で自分の身体の「今」を知ろう
健康診断は、今の自分の身体の状況を“みえる化”できる大切な機会です。
正しく過ごすことで、そのときの自分にとっての適正な数値を知ることができます。
病気を事前に防いだり、生活習慣を見直すきっかけとなるこの機会を大切にしましょう!
(取材・文/kencom編集部)
監修医プロフィール
石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。