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2023.02.06

健康寿命の鍵、フレイルを知っていますか?今から実践すべき生活習慣とは【病のトリセツ#17】

kencom編集部

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年齢を重ねると身体が衰えるのは仕方のないことですが、介護が必要になる状態はできるだけ遅らせたいものですよね。

体の老化は徐々に進むため、いきなり要介護になるわけではありませんが、介護が必要となる状態と、健康な状態の間の期間(フレイル)をどう過ごすかが、健康寿命の長さのカギとなります。

ご自身はもちろん、家族の要介護を予防するためにも、フレイルについて理解を深めましょう。

フレイルとは?

フレイルとは、加齢により心身が衰えた健康と介護状態の間、つまり、介護が必要とまではいかないけれど、様々な機能が衰えてきた状態とされています。

フレイル状態は、加齢に伴う筋力の減少、認知機能の低下、気持ちが沈みがちになり人とコミュニケーションをとることを煩わしく感じる、など心身にさまざまな影響が出ます。
そのため生活の質が落ちるだけでなく、ちょっとした不調から大きな病気につながるなど、病気や死亡のリスクが高まる点にも気をつけなくてはいけません。

しかし、フレイルに早く気がつき、適切な対応を行うことができれば進行を遅らせることが可能です。対処が早ければフレイルを食い止めて、もう一度元気な状態まで回復できる場合もあります。

悪循環を作る、3つのフレイルとは

フレイルは大きく3つに分けられ、これを総合的にみて対処する必要があります。

①身体的フレイル

加齢や低栄養によって、筋力や柔軟性などの身体機能が低下し、その結果、活力が低下すること。体重の減少や歩く速さの低下のほか、ペットボトルの蓋が開けられない、椅子から片足で立ち上がれないとった状態も注意が必要です。

②精神・心理的フレイル

認知機能の低下や精神的な活力の低下に加え、気分的なうつ状態をさします。定年退職やパートナーを失うなど、喪失体験が精神・心理的フレイルに影響することがあります。

③社会的フレイル

周囲との関係やサポートがない、孤立した状態になってしまうこと。独居や経済的困窮の状態などをいいます。

どのように進行する?

筋力が減る→身体を動かしたいと思う意欲や活力が減る→動かないから食欲が減少する→ますます筋力が減るという、様々な要因によって悪循環に陥り、徐々に身体機能や認知機能の低下が進行していきます。

▼これってフレイル?判断基準を知りたい方はこちらから

フレイルは治療できる?

フレイルの医療介入の基本は、運動指導と栄養指導の2つの柱です。

フレイルはさまざまな要素が絡み合っておこる症状なので、身体機能、認知機能、生活活動、精神面、栄養状態、周囲の環境など、色々な角度から評価をして治療を進めます。必要に応じて、専門医や栄養士による指導や、理学療法士・作業療法士によるリハビリテーション、薬剤師による服薬指導、歯科医による口腔ケアを行います。

フレイルを予防する生活習慣

フレイルを予防するには、運動、栄養、お口の健康、社会性の4つがカギになります。どれもフレイルの予防に欠かせない大切なことです。

①適度な運動

筋肉の衰えは、フレイルが悪化する大きな原因です。適度な運動で身体を動かすことは、筋肉を発達させてフレイルを予防するだけでなく、ストレス発散や脳の活性化などにも役立ちます。

1日8,000歩〜10,000歩を目標に歩くことを推奨しています。この他にも、階段の上り下り、歯磨きをしながら片足立ち、庭やベランダの掃除など、日常生活の中でちょこちょこ動くことを意識しましょう。

②栄養バランスの良い食事

高齢になると活動量が減ることによって食が細くなり、栄養を十分に摂れない方も増えてきます。
しかし、食事は活力の源。バランスのよい食事を3食しっかり摂りましょう。特に筋肉や骨の原料になるたんぱく質は意識して摂るよう心がけて。

③口腔環境を整える

口の衰えを放置すれば、食べる機能はもちろん、心身の機能も低下しますが、フレイルの中でも口腔機能が低下することを、オーラルフレイルといいます。

オーラルフレイルになると、噛む・話すなどの口の機能が衰えて、滑舌が悪くなる、固いものが噛みにくくなる、食べこぼしたりむせたりするなどの症状がおこります。

さらに、オーラルフレイルの怖い点は、影響が口周りにとどまらず全身の健康にも及ぶこと。誤嚥がきっかけで誤嚥性肺炎を起こしたり、歯を失うことで身体のバランスが崩れて転倒し骨折するなど、全身の健康が脅かされるケースも多々あるのです。

オーラルフレイルは、口周りの筋力の低下や、不十分な口腔ケア、歯数の減少などが原因で起こります。噛む・食べる・話すといった口の機能をあまり使っていない方は要注意です。

予防するには、毎日の口腔ケアを欠かさずに行い、舌のストレッチを行う、意識して会話を増やすなど、よく口を動かすことが大事です。また、定期的に歯科検診を受けて、医師に診てもらうようにしましょう。

▼オーラルフレイルについて詳しく知りたい方はこちらから

④社会との繋がりをもつ

人や社会との繋がりが希薄になれば、体を動かす機会が減って身体機能が衰え、それが認知機能の低下を招き、食事や口への健康への関心がなくなって、フレイルに繋がることがあります。

そのため、趣味やボランティア、地域活動などを通じて、外出や人と接する機会を増やしましょう。少なくとも1日に1回は人とコミュニケーションをとり、社会とのつながりを維持し続けることが大事です。無理をせず、自分に合った活動を見つけてみて。

▼フレイル予防をもっと詳しく知りたい方はこちらから!

フレイルは、早めの気づきと対策で

健康寿命を伸ばす上で大切な鍵を握るフレイルは、いかに早く兆候に気づき、対策するかにかかっています。そのためには歩く速度が遅くなった、疲れやすくなったなどの変化を見過ごさず、フレイルへの理解を深めることが大切!

親世代や自分自身がフレイルにならないよう予防に努めながら、すでにフレイルの状態であればどう改善や治療ができるか、この機会に考えてみてはいかがでしょうか。

本記事は過去のkencom記事をもとに再編成したものです

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引用・参考文献

制作

文:kencom編集部

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