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2023.01.02

女性に多い膀胱炎。予防のカギは清潔と免疫力【病のトリセツ#13】

kencom編集部

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女性が罹ることの多い、膀胱炎。身近な病気のように捉えられていますが、悪化すると命に関わる病気を引き起こしたり、背後に膀胱がんなどの怖い病気が隠れている場合もあるのだとか。

膀胱炎とは一体どんな病気なのでしょうか。この病気の特徴と病気を招く原因を正しく知って、予防につなげていきましょう。

膀胱炎とは?

一般的に膀胱炎と言われる急性膀胱炎(単純性膀胱炎)は、尿路感染症の一種で、膀胱に細菌が侵入して起こる病気です。

膀胱の中に細菌が侵入することで膀胱が荒れてしまい、排尿時や排尿後の下腹部に痛みがあるのが特徴です。排尿後にも残尿感が残ったり、またすぐに排尿がしたくなったりもします。時には、尿が出血で真っ赤になることもあります。

膀胱炎は、男性よりも女性のほうが圧倒的に罹りやすい病気です。
なぜかというと、女性は男性と比較すると尿道が短い上に、尿道口と肛門の距離が近く、身体の構造上膀胱に菌が侵入しやすいため、5倍以上も膀胱炎に罹りやすいといわれています。

膀胱炎の症状

主な症状としては、次のようなものが挙げられます。

・トイレの回数が増える
・尿意切迫感(突然耐え難い、強い尿意を感じる)
・排尿時に痛む
・尿が濁る
・残尿感
・下腹部の不快感や痛み
・血尿

膀胱炎の原因は?

膀胱炎は尿道を経由して膀胱に細菌が入ることで起こります。
膀胱炎の原因となる細菌の約8割が大腸菌です。大腸菌は排便後のお尻の拭き方が悪かったり、温水洗浄便座のビデが菌で汚染されていたりすると、尿道から膀胱に入り込みます。生理や性交渉がきっかけで感染する方も多く、いたって健康な方でも起きる可能性はあります。

膀胱の中に入った細菌は短い期間で増殖し、1~2日ほどで急に症状が現れます。

膀胱炎が悪化すると?

膀胱炎が悪化して腎臓まで細菌が回ってしまうと、命に危険を及ぼすこともある、腎盂腎炎(じんうじんえん)を引き起こす場合があります。

腎盂腎炎は一般的な膀胱炎の症状に加えて、40度近い発熱や、背中や腰の痛み、吐き気、寒気、倦怠感などがみられます。膀胱炎の疑いがある場合は放置せず、適切な治療を受けましょう。

膀胱炎の検査法

膀胱炎が疑われるときは、医療機関へ受診しましょう。専門は泌尿器科ですが、初期治療は内科や婦人科でも可能です。

検査は主に、尿検査と尿培養検査です。必要に応じて超音波検査を行うこともあります。また、異常がある場合は、膀胱鏡やCTなど必要な検査を追加して詳しく調べます。

膀胱炎の治療

基本的に膀胱炎は菌に感染したことが原因で発症するため、抗生物質などの抗菌薬の投与が主な治療方法です。

症状がよくなると治ったと勘違いして薬を止めてしまう方がいますが、菌が残っていると耐性化して次の膀胱炎を引き起こすこともあります。薬は自己判断せず、医師の指示通りに使いましょう。抗菌薬を使っても改善しなかったり、何度も膀胱炎を繰り返す場合は、複雑性膀胱炎や膀胱がんなど他の病気の可能性があるので、さらに詳しい検査を行います。

また、菌を体の外に出すためには、生活習慣を変えることも重要。十分な水分補給やトイレの方法などの指導も同時に行います。

▼その他の膀胱炎について詳しく知りたい方はこちらから!

膀胱炎を予防するための5つの生活習慣

膀胱炎を予防するには、膀胱に菌が入り込まないようにする工夫と、体内で菌を増殖させないための対策が肝要です。具体的にご紹介しましょう。

①トイレを我慢しない

膀胱炎を予防するために最も大切なのは、排尿をガマンしないことです。尿と一緒に膀胱内の細菌をしっかり排出しましょう。
尿意がなくても2〜3時間ごとにトイレに行くのが理想的です。5〜6時間行かなくても平気な方は、水分量が足りていないか、溜めすぎなので気をつけて。

②水分補給はしっかりと

水分をしっかり摂っておかないと、尿を出すことが出来ません。
水分が足りているかどうかは日中の尿の色で判断してください。目安は出がらしのお茶の色(薄い黄色)です。それよりも尿の色が濃い場合は、水分が足りていないため積極的に水分を摂りましょう。

③トイレのビデ機能は使用しない

温水洗浄便座のシャワーを噴射するノズルには、菌が繁殖している場合があります。そのノズルから噴射される水で尿道や膣を洗ってしまうと、逆に菌が体内に入ってしまうため、気になる方は温水洗浄便座のビデ機能はなるべく使わないようにしましょう。

排尿時はトイレットペーパーで拭くだけで十分です。月経時などどうしても気になるときは、清潔なペットボトルなどにぬるま湯を入れ、シャワーノズル代わりに使うなど工夫してみましょう。

④デリケートゾーンは清潔に

日頃からデリケートゾーンを清潔に保つよう心がけましょう。
特に生理中は菌が繁殖しやすく、膀胱炎になりやすい期間なので、ナプキン等はこまめに交換して清潔に。免疫力を下げないために、生理中は無理をしないことも大切です。

また、性交渉後のケアも忘れずに。菌を洗い流す意味で排尿して、シャワーを浴びるのがおすすめです。

⑤免疫力を上げる

疲れが溜まったり、ストレスや病気などで免疫力が弱まると、膀胱内に侵入した細菌の繁殖を防ぐことができません。下半身を冷やさない、疲労やストレスを溜めない、お酒を飲み過ぎないなど、日頃から体調管理に気をつけるようにしましょう。

▼膀胱炎を予防する生活習慣をもっと知りたい方はこちらから!

生活習慣を改善して膀胱炎を予防しよう

膀胱炎は大したことのない病気、と思っていた方も多いのではないでしょうか。しかし、疲れが溜まって抵抗力が下がった時に繰り返し罹る方も多く、悪化すれば腎盂腎炎を引き起こすため甘くみてはいけない病気です。

予防するには日頃の生活習慣の改善がカギとなるため、免疫力を保つ暮らしを心がけて、清潔を保ち、健康を維持していきたいですね。

本記事は過去のkencom記事をもとに再編成したものです

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引用・参考文献

制作

文:kencom編集部

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