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2022.05.23

早期治療が鍵。突然発症する突発性難聴に注意【病のトリセツ#5】

kencom編集部

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ある日、ふと気付いたら片耳の聞こえが悪くなっている…。そんな症状に気が付いたら、あなたは突発性難聴かもしれません。早期治療ができれば聴力回復が望める突発性難聴は、早く発見できるかが鍵。

誰にも発症の危険がある病気なので、もしもの時のために基礎知識を頭に入れておきましょう。

突発性難聴とは?

突発性難聴とは、文字通り前兆がない即時的な難聴のこと。朝目が覚めて片耳が聞こえないことに気が付くように、突然発症するのが特徴の病気です。

具体的には、以下の3つの要件を満たしたときに、突発性難聴とされています。

①突然発症する

②音を感じる部分である内耳の異常による難聴(感音難聴)

③原因不明である

突発性難聴はなぜ起こる?

突発性難聴の原因は、残念ながらまだはっきりとは分かっていません。音を感じ取る感音器官である内耳に何らかの障害が生じた難聴で、特に音を感じ取る役割を担う、内耳の奥の蝸牛にある有毛細胞が障害を受けて発症するのではないかと考えられています。

なぜこのようなことが起きるのかには、2つの説が有力とされています。

① 血流障害説

音を感じる内有毛細胞につながる血管の血流が悪く、十分な栄養が供給されなくなることでダメージを受けるとする説。動脈硬化など、生活習慣病の影響が大きいと考えられます。

② ウイルス感染説

何らかのウイルス感染によりダメージを受けるという説。難聴を引き起こすウイルスでは、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の原因である「ムンプスウイルス」が有名です。もしムンプスウイルス感染が原因だった場合、聴力はほとんど回復しません。

どんな人がかかりやすい?

発症に男女差はなく、40~50代の発症が多いと言われているものの、幅広くどの年代でも起こり得ます。いつ、誰に起こるか分からないので、誰もが気をつけねばならない病気なのです。

ただ、高脂血症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病があるとかかりやすいと言われています。ストレスや疲労が原因で起こるという説もありますが、詳しいことはまだ解明されていません。

突発性難聴の症状

突発性難聴の症状は主に3つです。

・聴力の低下
・めまい
・耳鳴り

難聴以外にも、体に不調がでることがあります。

めまいの症状が起こると、吐き気や嘔吐が伴うこともあります。ただし、突発性難聴の場合、体が慣れるため、あまり長く続くことはありません。
逆に耳鳴りは、難聴が改善しないと後遺症が残ってしまう可能性があります。

早期治療が大切!突発性難聴の治療法

発症から1週間以内に適切な治療を開始した場合、

・ほぼ完治(3分の1)
・聴力がある程度回復する(3分の1)
・回復しない(3分の1)

という割合です。

治癒した人の8~9割は、発症から1ヵ月以内に治癒しています。一方で発症から1ヵ月以上経つと、治療してもほとんど回復は見込めないと言われており、異変に気が付いたら、先延ばしにせずに即病院で治療を受けることが重要です。

ステロイド投与

一般的には突発性難聴と診断されると、その日のうちにステロイドを経口投与、もしくは点滴で全身投与します。これで効果が出ない場合は、麻酔をして直接中耳の鼓室にステロイドを注入することもあります。

血流改善・血中酸素濃度を上昇させる

発症して間もない場合は、血流改善薬の投与や、高濃度の酸素を吸入して血中の酸素濃度を上げる治療も有効です。

聴力を守るためにできること

① 極度の騒音を避ける

大音量の音を聞き続けると内耳がダメージを受けてしまいます。
耳を守るために一番大切なのは、騒音を避けること。ライブ会場などの爆音の場所に居続けたり、イヤホンで音量を上げすぎたりしないように気をつけましょう。

② 規則正しい生活をする

健康状態も聴力に大きく影響します。無理をしすぎず、十分な睡眠時間を確保することが大切です。
ストレスも溜めないように気をつけましょう。

③ 健康的な食事を摂る

高脂血症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病がある人は、突発性難聴にかかりやすいと言われます。
耳の健康を守るためには、脂肪や糖分、塩分の過剰な摂取は避け、健康的な食事を心がけましょう。

④ 有酸素運動をする

普段の生活に有酸素運動を取り入れることも効果的です。突発性難聴に限らず、メニエール病などの予防にも繋がります。

健康的な生活が、健康的な耳を守る

一日中働き続けてくれている耳。なるべく長くいい聞こえを維持するには、普段から耳をいたわり健康的な生活を送ることが大切です。

「騒音を避けて健康的な生活を送る」、そして「もし聴力に異変を感じたらすぐ受診する」。この2点を忘れずに、大切な耳を守り続けてくださいね。

本記事は過去のkencom記事をもとに再編集・編成したものです

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