2024.02.03
足のむくみがヤバイ!ふくらはぎをのばして、すっきり足をキープする方法【簡単!身体メンテ】
筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。
本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。
足がむくんでパンパン。ふくらはぎが硬くなってない?
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座りっぱなしでいると、足がむくんで、痛みなどの症状はないものの、足が重だるかったり、歩くだけでふくらはぎが辛かったり、足が太く見えたり。意外と悩んでいる方も多い症状です。
現代では、多くの人が足がむくむ生活を送っています。そのひとつがデスクワーク。座りっぱなしで仕事をしている職業だと、平日8時間近く椅子に座ったまま、作業を行っているため、座面に当たっているお尻や太ももの裏は常に重力による圧がかかっています。この圧が継続することで、本人も気づかないうちに、臀部の大殿筋や腿裏のハムストリングスは、常に圧迫され続け、筋肉周囲の毛細血管が狭くなり血流が低下。血流が滞り、筋肉の柔軟性が低下し、大殿筋もハムストリングスも十分な収縮も伸張もできなくなる機能不全が起きてしまいます。
この状態は、特に膝からくるぶしまでの下腿の血流循環を低下させてしまうため、腓腹筋(=ふくらはぎの上部)の柔軟性に、大きく影響します。デスクワークが多い人は、仕事をしている以上、長時間の座位は免れることができません。ですから、良いコンディションを維持するために、ストレッチを取り入れる必要があるのです。
ただし、足のむくみには重大な疾患が隠れている場合もあります。気になる場合は医療機関に相談しましょう。
むくみのメカニズムを知ろう
まず最初に、なぜ足がむくむのかを理解していきましょう。
人間の身体は、60%が体液で構成されています。そのうち、細胞内液が40%、細胞外液が20%と言われています。細胞内液は細胞の中の液体で、細胞外液は細胞の外で細胞と細胞の間にある液体です。むくみは、この細胞外液が増えることで起こります。
通常は血管から水分が染み出して、栄養や酸素を細胞に届け、届け終わったら水分が血管やリンパに戻され、そこで老廃物や二酸化炭素を回収してくれます。正しく機能していれば、そのバランスが取れているためむくみは起きません。しかし、むくんでいるときは、血管から水分が染み出す量が増えて、戻す量が減り、細胞外液が増えてしまっている状態です。
ふくらはぎは第2の心臓。機能低下はむくみを加速する
ふくらはぎは、第2の心臓とも呼ばれています。身体の水分を心臓、体幹部へ戻す機能があるためです。ふくらはぎのポンプ作用が正常に働けば、細胞外液が滞ることなく、基本的にはむくみづらい状態になります。
しかし、長時間座っていると、ふくらはぎが伸び縮みする機会が減り、ポンプ作用が機能しにくくなります。さらに、座っている体勢は、お尻や太ももの毛細血管も常に圧を受けているため、正常な血流循環ができず、むくみが加速します。
むくみを解消し、予防するためにはふくらはぎの柔軟性がカギ
足のむくみは、ふくらはぎの機能低下が影響している場合、重要なのは、ふくらはぎの柔軟性を維持することです。
立ち姿勢から、床にかかとをつけたまま、ゆっくりしゃがみ、5秒キープできるか試してみましょう。姿勢がキープできず、転んでしまう場合は、ふくらはぎが硬くなっている可能性がありますので、ストレッチがおすすめです。
足すっきり!むくみ改善のためのストレッチ
ふくらはぎを柔らかく保つためには、ストレッチが効果的です。今回は、ふくらはぎの柔軟性改善と、柔軟性を下げてしまう大殿筋とハムストリングスの機能を改善するストレッチを行います。
#01 足全体の血流を高める下半身ストレッチ
©️yuya ishida
【やり方】
1. しゃがんで手をついた姿勢から、左足を前に出し、右足は膝をつき、身体は前傾姿勢になります。
2. お尻を後ろに引き、左足を伸ばして、つま先は天井に向けます。逆側も同様に行います。
左右10回ずつ行いましょう。
お尻から、ふくらはぎまでを全て伸ばすストレッチです。できるだけ下腹部を腿につけるようなイメージで曲げることで、大殿筋やハムストリングスをしっかり伸ばせます。2の姿勢では、足先を天井に向けることで、ふくらはぎの腓腹筋も伸びます。
デスクワークで硬くなったり、機能不全が起きている筋肉全体的に伸ばすことができるので、足のむくみが気になる場合は、このストレッチだけでもすっきりリセットできます。
#02 ふくらはぎをしっかり伸ばす腓腹筋ストレッチ
©️yuya ishida
【やり方】
1. 四つ這いの姿勢になります。
2. 肘と膝を伸ばしてお尻を天井方向に持ち上げます。
3. ペダルを踏むように、左右交互に足踏みします。かかとをつける方はまっすぐ、かかとを上げる方は膝を軽く曲げて、リズムよく行います。
左右交互に5回ずつ行いましょう。
かかとをしっかり床につけて足踏みすることで、ふくらはぎがしっかり伸びます。足の指もつかうため、歩く時の蹴り出しもよりスムーズになる動きです。
夕方になると「足パンパン!」に、ならないために
ふくらはぎの機能が正常に機能すれば、ポンプ作用が働いて、細胞外液が滞ることなく、足のむくみは起こりにくくなります。また、ふくらはぎに負担をかけさせないためにも、大殿筋やハムストリングスの柔軟性を維持しておくことは非常に重要です。大殿筋やハムストリングスの機能が良くなれば、腓腹筋への負担も軽減できるため、結果として足のむくみが起きにくい状態にしてくれます。
デスクワークで足がパンパンになる前に、ストレッチを取り入れて、すっきり足を目指しましょう。
記事情報
引用・参考文献
著者プロフィール
石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。
制作
文・写真:石田佑也