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2024.01.06

しなやかな筋肉で毎日を快適に。身体がすっきりする簡単ストレッチ【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

休暇明けに身体が重いのはなぜ?

Adobe Stock

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長期休暇でしっかり身体を休めたはずなのに、なぜか身体が重く感じて疲れが取れていない気がするという方もいるかもしれません。その原因は、筋肉が硬くなり可動域が狭まっているせいかも。

今回は、重くなった身体をすっきりさせるストレッチをお伝えします。これからのさらに寒くなる時期に向けて、活動しやすい身体を作りましょう。

なんとなく、身体が重いのは筋肉が凝り固まっているから

身体のコリや痛みの多くは、筋肉の柔軟性が低くなり硬くなっていることが原因です。身体を動かさない状態が続くと、筋肉は収縮と弛緩、つまり伸び縮みをする動きが減り、同じ長さのままになり硬くなっていきます。もし休み明けに「身体が重いな」と感じたら、普段よりも体を動かさなかったことで、筋肉の柔軟性が落ちて伸縮しにくくなっている可能性があります。

筋肉の中でも特に、肩甲骨周りや、おしり、もものあたりの筋肉は、縮こまったり引き伸ばされた状態が続くと硬くなりやすい部分です。これらの筋肉をほぐすことで、身体の重さやだるさがやわらぐかもしれません。

柔軟性の低い筋肉をチェック

立ち姿勢を横からチェックすることで、柔軟性が低くなっている筋肉を判断することができます。脚を肩幅に開き、身体を横から写真で撮影し、下記の5箇所の位置を確認してみましょう。

©️yuya ishida

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・耳:耳の穴がある部分
・肩:肩の一番高い部分
・大転子:骨盤の中心部分
・膝:膝の中心
・外くるぶし:外くるぶしより2cm前

この5箇所が、ほぼまっすぐにつながっているのが理想の姿勢です。1箇所でもずれていれば、筋肉が硬くなっている可能性があります。

また、姿勢からどの筋肉が硬くなっているか推測することもできます。

・首が前に出ている:後頚部、肩甲骨、僧帽筋、菱形筋
・肩が前に出ている:大胸筋
・骨盤がやや前にある:股関節の腸腰筋、大殿筋、ハムストリングス

上記のどれかに当てはまるという人は、ぜひ固くなっている箇所を重点的にストレッチをしてください。

身体の後ろ側を意識して動かしてみよう

Adobe Stock

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筋肉の硬さは姿勢だけでなく、日常生活の動作にも影響されます。現代人の日常の多くの動作は、

・歩く
・立つ
・起きる
・座る
・(ものを)持つ

といった限られたものが多くなる傾向があります。これらの動きは、主に身体の前面を使うため、背面の筋肉や関節への刺激が少なくなります。そのために、背中側の筋肉が特に硬くなりがちです。

そのために取り入れたいのが、身体の背面を意識的に動かすこと。例えば

・腕を目一杯後ろに引く
・身体を反らす
・脚を後ろに蹴る

といった動作です。これらの動きは、柔軟性が低くなってしまった背面の筋肉を伸張、収縮させます。筋肉が正常な状態に戻れば、圧迫されている血液の流れも良くなり、身体がすっきりするはずです。

ガチガチになった身体をほぐすエクササイズ

筋肉がかたまりやすい肩甲骨まわりと股関節の筋肉にアプローチするストレッチをご紹介します。

#01 肩甲骨に刺激を与え、背中を伸ばすストレッチ

このエクササイズでは
・動きの悪くなった肩甲骨とその周囲の筋肉
・硬くなった肩甲骨まわりの筋肉
この2点にアプローチします。

©yuya ishida

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【やり方】
1. 床に座って膝を曲げ、両手は身体のうしろについて身体の方へ向けます。
2. 両手と両足で床を押して身体を持ち上げ、お尻を浮かして3秒キープします。

1セット10回行いましょう。

お尻を浮かせた時、お腹と床が並行になるよう身体をまっすぐにします。また、床面を手足でしっかり押すことで、肩甲骨側の筋肉や肩甲骨そのものに刺激を与えることができ、丸くなってしまった背中を気持ちよく伸ばすことができます。

このエクササイズは肩甲骨の動きをよくするためのものですが、お尻を浮かせることで太ももの裏にも刺激を与えられるので、柔軟性が落ちたお尻や太ももの裏の筋肉の動きが良くなることも期待できます。

#02 股関節の周辺を刺激するストレッチ

このエクササイズでは
・おしりの筋肉
・太ももの裏の筋肉
・股関節
この3点にアプローチします。

©yuya ishida

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【やり方】
1. 壁に手をついて、足をうしろに1歩引きます。
2. 右の太ももを思い切り持ち上げます。 左足のかかとを床につけ、ふくらはぎを伸ばしましょう。
3. 右足を蹴るように、まっすぐうしろに伸ばします。床に足はつけず、1の体制に戻ります。左側も同様に行います。

左右10回ずつ行いましょう。

2のポジションで、思いきり太ももを上げると、腸腰筋など股関節の筋肉に刺激を与えることができます。

足をうしろに伸ばしたとき、軽く腹筋に力を入れ、腰を反らさないようにしましょう。付け根の前側が伸びていること、お尻に力が入っていれば正しく動かせています。お尻に力が入るところまでしっかり伸ばすことを意識し、すぐに1のポジションに戻ってOKです。

筋肉をほぐせば身体は軽くなる

休暇明け、身体が重いと感じたら、筋肉の柔軟性が下がっているかもしれません。そんな時には、身体を動かして筋肉をほぐしてみましょう。

今回ご紹介したエクササイズは、上半身と下半身両方に刺激を与え、普段あまり動かすことがない肩甲骨や股関節周辺の筋肉をストレッチできます。健康な身体は、しなやかな筋肉から。これをきっかけに、こまめに日々のストレッチを心がけてみてはいかがでしょうか。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

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