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2023.11.18

正しい姿勢で歩けていますか?片足立ちチェックで確認してみよう【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

正しい姿勢で歩けば、運動効果はもっと上がる

AdobeStock

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健康づくりのためにウォーキングをするなら、姿勢よく歩くことが大切です。なぜなら姿勢が悪いと、筋肉のバランスが崩れて身体に負担がかかったり、関節の動きが制限されて動きづらくなり、膝や足首などのケガにつながる可能性があるからです。とはいえ、「背筋を伸ばしてきれいに歩こう」と意識しても、気がついたら普段の姿勢に戻ってしまっていた、という覚えがある人もいるでしょう。なぜなら、歩くこと、すなわち歩行は原始的動作と言って、咀嚼(そしゃく)や呼吸などのように、意識的にコントロールすることが難しい動作だからです。

歩き姿勢を改善するひとつの要素に、身体をまっすぐにして、きれいに片足で立てる筋肉が挙げられます。これは、ウォーキングに限らずどんなスポーツでもいえることで、バランスよく片足立ちできれば最小限の身体の負担で、正しい姿勢をキープできるのです。

もし、あなたが長時間歩いたあとで下半身に痛みが出てくる場合は、片足立ちが不安定なのかもしれません。片足立ちが安定するようになれば、普段の歩行姿勢もきれいになりますし、歩くことで身体に痛みがあれば、それをおさえられる可能性があります。

バランスよく立てる?片足立ちチェック

片足立ちができているか、セルフチェックをしてみましょう。

©yuya ishida

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【チェック方法】
両手を腰に軽く当てた状態で、片方の足を膝を腰の位置へ上げて片足立ちをしてみましょう。この姿勢を20秒保てればOKです。

右足と左足、両足を試してみてください。片方は耐えられたけど、もう片方は崩れてしまうなど、左右差があるかもしれません。これは、日常の癖が片足立ちにも表れ、どちらかに偏りが出ているからです。

OK
・上半身がまっすぐ
・太ももが腰の位置まで上がっている。できれば90度まで上げる

NG
・上半身がぐらつき、身体が丸くなっている
・太ももが腰の位置まで上がっていない

最初は足が高く上がっていても、どんどんプルプルして不安定になってしまう方も多いかもしれません。やってみると「不安定で怖い」と感じる人もいますが、これは上半身が安定していないことが原因だといえます。

バランスよく片足立ちができるためには、背面の筋肉が機能していること、そして重心が低いところで股関節をコントロールできることが重要です。

片足立ちが歩く時に重要な理由

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バランスよく片足立ちできることがなぜ重要なのか、もう少し詳しく説明していきます。

歩くときには必ず片足立ちになっている

歩く動きを分解すると、次の4つのタイミングに分けられます。

1. かかとが着くタイミング
2. 体重を前に持っていくタイミング
3. 体重が全て乗ったタイミング
4. 蹴り出すタイミング

この中でも、3の体重が全て乗ったタイミングは片足立ちとほとんど同じ状態です。

体重が乗り切ったタイミングで身体がぐらついていると、筋肉や靭帯がブレーキをかけるため、股関節や膝、足部に余計な負荷がかかってしまいます。これが歩行で繰り返されることで、痛みが出てくるのです。つまり、片足立ちが安定することは、安定した歩行に大切なのです。

安定した片足立ちができるように、ぜひ次で紹介するエクササイズを行ってみてください。

バランスのよい片足立ちは背中の筋肉が機能して成り立つ

片足立ちを安定させるためには、下半身と上半身両方の筋肉が機能しなければなりません。その中でも特におしりの筋肉はとても重要です。おしりの筋肉は背中の筋肉とつながっています。

右のおしりは左の背中、左のおしりは右の背中と、筋肉はそれぞれクロスして反対側に作用する仕組みです。片方だけではなく、両方が鍛えられていなければ、筋肉はうまく動いてくれません。

股関節を上手にコントロールできないと不安定になる

立っているときは、重心が高くなり不安定になりやすい状態といえます。重心が低く安定している状態でもふらつく人が多いので、重心が高いと不安定になるのは当然です。片膝立ちなど、重心が低い状態で股関節をコントロールできるようになるとよいでしょう。

背中とおしりを鍛えて体幹を強く。片足立ちエクササイズ

#01 おしりと背中を鍛えるトレーニング

このエクササイズでは、
・おしりの筋肉
・背中の筋肉
この2点にアプローチします。

©yuya ishida

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【やり方】
1. うつ伏せの状態で両腕を前に出し親指を立てます。
2. 両腕と胸のあたりが少し浮くくらいまで上半身を持ち上げます。腰がつらい場合は床についたままでもかまいません。
3. 太ももが浮くくらいまで、右脚を上げます。
4. 右脚を下ろして、左脚を上げます。 それぞれ1秒程度キープできればOKです。

1セット5回行いましょう。

おしりやももの裏側、背中に力が入っているのを感じましょう。おしりの筋肉の収縮を促すための動きなので、無理に上半身を反らす必要はなく、軽く浮かせる程度でOKです。

#02 上半身を安定させる体幹トレーニング

このエクササイズでは、
・股関節周りの筋肉
・体幹
この2点にアプローチします。上半身をぶれさせない、安定した下半身を作るためのエクササイズです。

©yuya ishida

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【やり方】
1. 右足を前に出して左膝を床につき、両手を斜め前に出します。
2. 手のひらを上にむけ、右腕を弧を描くように回します。手のひらは必ず天井に向けます。
3. 上半身ごと腕を右側に回し、1周して元の位置に戻します。

1セット、左右5回ずつ行いましょう。

このエクササイズをしたあとに片足立ちチェックをしてみてください。エクササイズ前よりも安定して立てるようになっているはずです。

正しい姿勢で正しくウォーキングを

2つのエクササイズを組み合わせることで下半身が安定し、上半身が揺れにくくなります。おしりと背中の筋肉をしっかりと収縮させて使うことを意識して。また、体感の安定には股関節周りの筋肉の動きを良くすることも重要です。

上半身が安定していれば、正しい姿勢でウォーキングができケガ防止に役立つだけでなく、歩き姿勢に自信が持てるようになるはずです。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

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