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2024.03.16

両膝の間に隙間がある人は要注意!O脚改善エクササイズ【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

まっすぐ立っているのに膝の間に隙間がある人は要注意!

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O脚とは、まっすぐ立った状態で、両膝の内側がつかずに離れている状態をいいます。実は欧米人と比べて日本人はO脚が多いと言われており、悩んでいる方も多くいます。

基本的に、O脚は日常生活の動きの中で、習慣化している動きが繰り返されることで起きる現象です。立ち方、歩き方、足を組むなど。今回は正しい筋肉をつけることで、正しい姿勢を維持できるようになり、O脚を改善する方法をご紹介します。

なかには、病的な原因でO脚になっている方もいますので、気になる方は一度医療機関に相談してみましょう。

まずはO脚を知るところから始めよう

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O脚とは、膝が外側へずれることで、膝と膝の間の隙間が広がっている状態を指します。
その逆の状態がX脚。膝が内側に偏位して内股のような状態です。

O脚というのは、症状ではなく、ひとつの現象。変形性膝関節症と診断され膝痛が起きている人の多くはO脚のような下半身になっています。

あなたの脚は大丈夫?O脚チェック方法

O脚に関する明確な基準はありませんが、ひとつの目安としてO脚かどうかをチェックする方法をご紹介します。

【やり方】
1. まっすぐ正面を向いて立ち、両足をくっつけて立ちます。
2. 両膝の間に、指が3本以上入る場合は、O脚傾向です。

両膝がくっつく、または指2本以内の隙間しかなければ、正常の範囲と考えて良いでしょう。3本以上入る隙間がある人は、O脚傾向あり。注意が必要です。

見た目以外にもデメリットあり。O脚が身体に及ぼす悪影響

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実際にO脚は、見た目以外にどんなデメリットがあるのでしょうか。
・脚の外側筋肉に負担がかかりやすく、外側だけ太くなる
・関節の内側に負荷がかかり続け、膝などに痛みが生じる
・膝下の血流不全が起こりやすく、浮腫みやすい

O脚をそのまま放っておくと、どんどん偏りが強くなってしまい、より状態が悪くなれば、軟骨が変形、最終的には骨変形にも繋がって、元の身体に戻れなくなる可能性があります。もちろん、姿勢も悪く見えますし、百害あって一利なし。O脚は間違いなく改善したほうが良いのです。

O脚の原因は?注意すべきこと

原因1:隣接する関節の機能が低下している

illustration:Adobe Stock

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O脚は少しずつ進んでいくものであって、いきなり膝が外に曲がるわけではありません。

そもそも人間には、安定させたい関節と動かしたい関節があります。安定させたい膝関節をコントロールできるのは、その上下にある動かしたい股関節と足関節。膝は基本的に、曲げて伸ばす動きが中心で、股関節と足関節が動きのコントロールをしています。つまり、股関節と足関節のエラーは、膝関節に影響してしまうのです。

特に股関節は大きな筋肉がついているため、柔軟性が下がったり出力が弱くなってしまうと、太ももの骨である大腿骨を介して膝のずれに繋がります。股関節の機能が下がる原因は、座り姿勢の継続による座面の圧で、大臀筋やハムストリングスの柔軟性低下が起きてしまうこと。すると、歩行の荷重時に外側に横ブレが起きてしまい、O脚を強める動きとなってしまいます。

原因2:骨盤が後ろに倒れている

もうひとつ、大臀筋やハムストリングスの柔軟性が低下すると骨盤が後傾しやすくなり、股関節は外に捻られて開くことで、O脚を進めてしまいます。長時間、座ったままの姿勢でいると、大臀筋やハムストリングスが硬くなりがちなので、結果的にO脚になりやすくなってしまうのです。

骨盤が後傾しているかどうかは、片足立ちチェックで確認できます。以前公開した記事でご紹介しておりますので、ぜひやってみてください。

正しい姿勢で片足立ちできなければ、骨盤が後傾しているかもしれません。

O脚改善のために、大臀筋・ハムストリングス・内転筋を鍛えよう!

O脚を改善するためには、歩行や立位姿勢で膝が外側に崩れないような筋肉の柔軟性とパワーを得て、膝を守る必要があります。

大事なのは
・大臀筋
・ハムストリングス
・内転筋
の3つ。どの筋肉も座りっぱなしの姿勢が多い方には、弱くなりがちな筋肉になります。ちなみに膝痛がある方も、これらの筋肉の柔軟性が落ちている可能性があります。

改善のためには、大臀筋・ハムストリングス・内転筋をしっかり使える状態にすることが始めの一歩。そうすれば、歩行や姿勢も安定し、膝が外側に流れるような動きを抑えることができます。

股関節の柔軟性を高めて骨盤後傾を矯正するエクササイズ

#01 下肢背面ストレッチ

©️yuya ishida

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【やり方】
1. 床に膝をつき、四つ這いの姿勢になります。
2. 膝を床から離し、脚をまっすぐ伸ばして浮かせます。
3. お尻を後ろに引いて、天井に向かって高く上げ、山形のような体制を5秒間キープします。

1セット10回行いましょう。

脚の裏面が伸びている感覚を感じましょう。かかとは床につけたままでも離してもOKです。3のあと、四つ這いの姿勢に戻りますが、余裕があれば床に膝をつけないまま、ストレッチを続けましょう。

#02 大臀筋・内転筋強化エクササイズ

©️yuya ishida

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【やり方】
1. まっすぐ立って手を腰に当てて、右脚を1歩後ろに引き、かかとを浮かせます。
2. 軸となる左脚の太もも・膝はなるべく動かさないように気をつけながら、右の骨盤を内側に捻るように動かします。逆側も同様に行います。

左右10回ずつ行いましょう。

少し難しい動きですが、軸足がぶれないように動かすのがポイント。骨盤を動かす方のお尻(大臀筋)と内腿(内転筋)に収縮を感じられれば正しく動けています。

O脚の人は、普段の生活の中で少しずつ膝が外側へずれてしまいますが、それを抑えるためのエクササイズです。

O脚は百害あって一利なし

座りっぱなしの生活をしている人は、どうしても骨盤周りの筋肉の柔軟性が落ちてしまいがち。実は、O脚予備軍は想像以上に多いのです。

ハムストリングスの柔軟性を高め、臀部や内転筋のパワーアップを図ることで、立っている状態での外側への偏りを抑えて、少しずつ正しい姿勢をキープできるようになるはずです。O脚が気になっていた方は、今回のエクササイズを取り入れて、まっすぐな脚を手に入れてください。

『簡単!身体メンテ』連載は本記事で最終回となります。ご愛読ありがとうございました。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

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