メニュー

2024.01.20

スマホ&パソコン作業が多い人必見。目が疲れにくい正しい姿勢を手に入れる【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

デジタル化が進み、疲れ目の人が増えている

Adobe Stock

Adobe Stock

長時間パソコン・スマホの画面を見ていることで目が疲れてしまう方が多くなっています。目が疲れてしまう原因のひとつに、姿勢の悪さがあります。姿勢を良くして目の疲れからくる首や肩のこりを予防しましょう。

なお、目の疲れは、老眼や度数の合わないメガネやコンタクトレンズの使用などが原因の場合もあります。気になる方は医療機関を受診するようにしてください。

疲れ目を防ぐためには、正しい姿勢を維持できる身体作りを

記事画像

スマホやパソコンといったデジタルデバイスを見ているだけで、目が悪くなるということはないと言われています。原因は長い時間、同じ距離で画面を見ているから。そして、デジタルデバイスに集中すると目と画面の距離が近くなったり、瞬きが減ってドライアイになってしまうこともあります。

現代ではデジタルデバイスはなくてはならない存在です。上手に付き合うためには、正しい姿勢を維持して、適度に休憩をはさみながら使用することが重要です。

集中するあまり頭が前に出ていませんか?

Adobe Stock

Adobe Stock

パソコンを使ったデスクワークにおいて、画面を覗き込むような姿勢になっていたり、集中するあまり知らず知らずのうちに、首が前に出てしまうことがあります。

多くの人は頭が前に来る頭部前方位の姿勢になりがちで、この姿勢を継続しています。この姿勢は、首と頭部をつないで支える後頭下筋群に負担がかかります。

後頭下筋群は、眼球運動やピントをコントロールするなど、目を担当する筋肉としても機能しています。ですから、頭部前方位の姿勢で常に画面をみる作業をしていると、後頭下筋群へ二重の負担がかかり、筋肉の緊張状態が過剰になってしまうのです。

目が疲れたなと思った時は、後頭下筋群をマッサージすることで、コリが軽減したり、目が開きやすくなったり一時的に楽になることがあります。しかし、頭部前方位の姿勢を続けていれば、すぐにもとに戻ってしまい、根本的な改善にはなりません。まずは、正しい姿勢を意識して、普段の生活から後頭下筋群に負担をかけないことが重要です。

正しい姿勢を維持するために必要なこと

頭が前に出た姿勢に慣れていると、胸椎の動きが悪くなり、正しい姿勢維持が難しくなります。これは、後頭部を支える後頭下筋群が過剰に緊張してしまっているため。まずは、後頭下筋群が過剰に緊張しない筋肉の流れを作ることが必要です。

1. 動きが悪くなっている胸椎の動きの改善
2. 首や背中が丸くなる原因のひとつである大胸筋を鍛える
3. 頭部のポジションを戻す

この順番で姿勢を戻すことで、後頭下筋群に負担がかかりにくい姿勢を作り、維持できるようになります。

疲れ目解消のためのエクササイズ

#01 胸椎の可動を広げるストレッチ

このエクササイズでは
・胸椎
・頚椎の前側にある椎前筋
にアプローチします。

©️yuya ishida

©️yuya ishida

【やり方】
1. 正座をして手を床につきます。
2. 肘を床につけます。
3. 背中を丸めます。

1セット10回行いましょう。
正座の状態になることで腰椎が固定され、胸椎を動かしやすくなります。
3の姿勢では、あごをしっかり引き、首の前側にある椎前筋が伸びていることを感じましょう。椎前筋を鍛えれば頭が前に出てしまう姿勢を予防することが期待できます。

#02 大胸筋を伸ばすストレッチ

このエクササイズでは
・大胸筋
・肩甲骨
にアプローチします。

©️yuya ishida

©️yuya ishida

【やり方】
1. 四つん這いの姿勢になります。
2. 右腕を頭のうしろに軽く当てます。
3. 肘を天井に向けてあげて胸を伸ばしましょう。逆側も同様に行います。

1セット10回、左右両方行いましょう。

この動きは、大胸筋を伸ばすことで、猫背の解消にも繋がります。さらに肩甲骨のポジションも正しい位置に戻り、首の後ろ側の筋肉の負担もおさえることが期待できます。

#3 頭部のポジションを戻すストレッチ

このエクササイズでは
・胸椎
にアプローチします。

©yuya ishida

©yuya ishida

【やり方】
1. うつ伏せの状態で手は胸の前に。
2. 手で床を押しながら胸を持ち上げます。頭は床から15cm程度あげましょう。

1セット10回行いましょう。

効かせるコツは、ゆっくり動くこと。一気に頭を挙げると腰が反り返って身体に負担をかけてしまいます。この動きをすると、胸椎が伸びるので頭部の位置が安定し、頭部の筋肉や骨の歪みを整えることができておすすめです。

疲れ目を起こしにくい姿勢作りを

姿勢の悪さが引き起こす目の疲れを解消するためには、大胸筋や肩甲骨の働きを整えてあげることが重要です。目の周りを直接マッサージするだけでは根本的な改善が難しいため、ぜひ日々のストレッチで姿勢を正すことから始めてください。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

記事画像

石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

あわせて読みたい

この記事に関連するキーワード