メニュー

2023.10.07

足の指、使えていますか?姿勢が悪くなる浮き指を防ごう【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

普段意識してない足の指。動かさないと浮き指になっているかも

Adobe Stock

Adobe Stock

足のトラブルはいろんな原因がありますが、足の指が使えていないと、扁平足や外反母趾、浮き指になってしまいます。

日常生活でなかなか足の指を使う機会が少ないので、どうしても足指の機能は低下しがちです。動かさないでいると、足のトラブルが起きてくるので、足の指の動作はとても大事なのです。

もし足に何かしら悩みがあるのなら、足の指が使えてないことが原因かもしれません。日本人の多くは足の指を上手く使えていない人が非常に多いので、まずはあなたの足をチェックして、もし問題があればエクササイズをして正しい足の指の使い方をマスターしましょう。

足の指が使えていないとどんなことが起きる?

そもそも、足の指を使えていないとどうなってしまうのでしょうか。
・足のアーチを形成する筋肉が弱くなり、扁平足になりやすい
・アーチが潰れて指が開き、開張足や外反母趾になりやすい
・足底に負荷がかかり、足底腱膜炎になりやすい
・浮き指になり、踵(かかと)重心になりやすい
・歩行やランニングでまっすぐ蹴り出すことができない

Adobe Stock

Adobe Stock

例えば、上の写真(左)のように土踏まずがなく、足裏が真っ直ぐになってしまう扁平足が挙げられます。そのほかにも、足の指を使わないことで、さまざまな悪影響がありますが、多くの人が気がつかないうちに陥っているのが浮き指です。

足の裏は、3点が地面についているのが正常

Adobe Stock

Adobe Stock

足の指が使われないと、足の指を曲げる筋肉(足指の内在筋などと呼ばれる)が機能できないために浮き指になりやすくなります。これは、歩いたり立ったりするときに足の指が地面に接地しない状態です。

足部の筋肉は立っているときや歩いているときに身体を支える重要な筋肉です。特に内在筋は足のアーチ作りに関わり、たわみを作ることで荷重したときの負荷を抑える重要な役割があるので、それが弱ると足部にダイレクトに負荷がかかります。

この状態が継続することで足底に痛みが出たり、指がどんどん開いてきて開張足になったり外反母趾になったりします。

また、浮き指は踵重心になりやすく、骨盤が足よりも前に出てお腹がぽっこりと前に出るスウェイバック姿勢になりやすくなります。日本人に多いと言われているこの姿勢は、肩こりや腰痛にもなりやすい姿勢ですが、この姿勢になる原因の1つが後方重心なのです。

自身ではなかなか気づきにくいものですが、足の指を使わなくなることで足の指が浮いてきて、どんどん重心位置が後方にズレてきます。それに伴って、骨盤や上半身の位置が変わり猫背や反り腰のような姿勢に変わっていきます。足の指が使えないと、全身に影響が出るので、早い段階でしっかりと対処する必要があります。

草履や下駄を履いていた時代、浮き指で悩む日本人はいなかった

日本人が草履や下駄などを履いていた頃は、足の指がしっかり使えていたそうです。理由は簡単で、草履や下駄を履いている状態では足の指を使わないと歩くことができないからです。

現在では洋式の靴がメインですし、暑い日でもクロックスなどのサンダルを履くことが多いので、どうしても指を使う機会は自然となくなってしまうのです。

足の指、使えてる?2つのチェックで自分の足の状態を知ろう

きちんと足の指を支えているかチェックしてみましょう。2つのポイントを確認してください。

Check1. 内在筋が機能しているか

まず最初に、足部の内在筋が機能できているかをみてみましょう。裸足になって、まず足の指が曲がらず伸びているかチェック。もし自然と曲がってしまっている場合、内在筋が弱っている可能性が高いです。

次に、足の指を大きくグー・チョキ・パーと動かしてみてください。なんとなくはできると思いますが、大きくやろうとすると思ったより動かないなら、内在筋の機能が落ちている可能性があります。

Check2. 足首の可動域

次に足首の可動域をみてみましょう。これは背屈という足首を上に反らす動きでチェックします。スムーズに歩行するにあたって、足裏が地面から10度以上あがる必要があります。

背屈の可動域が足りないと足の指が使えずにしっかり蹴り出すことができません。しゃがむ動作や前方への踏み込み動作などで、足首をしっかり10度以上背屈するかチェックしてみましょう。

浮き指解消のエクササイズ

#01 ショートフットエクササイズ

©️yuya ishida

©️yuya ishida

【やり方】
1. 左足を前に出します。
2. 踵を床につけたまま、足首を上に反らします。
3. 指を反らし、母趾の付け根を踵に近づけながら下にさげます。(アーチを作るイメージ)この状態を5秒維持したあと、反らした指を戻し10回繰り返します。その後、右足も行います。

1セット左右10回ずつ行いましょう。

簡単そうで地味に見えますが、普段は使わない筋肉を動かすので、意外と大変です。

このトレーニングは動的バランス力、足関節機能向上に繋がるために有効だということが研究でも分かってきています。

特に内在筋の中の母趾屈筋の筋力は外反母趾の重症度と比例しているということが最近分かってきているので、外反母趾が気になるなという人にはおすすめの動きです。

#02 足指の屈曲運動

©️yuya ishida

©️yuya ishida

【やり方】
1. 床に座り、左足を曲げ、右足を真っ直ぐにした状態で足先もできるだけまっすぐに伸ばします。
2. 足首が90度になるように、足先を上に上げます。
3. 足首を曲げたまま、足の指をぎゅっと曲げます。
4. そのまま、足首を前に伸ばします。10回繰り返したら左側も行います。

1セット左右10回ずつ行いましょう。

足の指を動かして、しっかり握る、しっかり開くのがポイントです。ショートフットエクササイズと足指の屈曲運動を続けていくうちに、浮き指はかなり改善するはずです。母趾屈筋や母趾外転筋など、曲げたり開いたりする筋肉への刺激がしっかり入ることで、外反母趾の負荷の軽減にも繋がります。

#03 アキレス腱・下腿三頭筋ストレッチ

©️yuya ishida

©️yuya ishida

【やり方】
1. 左足を前に出し膝を曲げ、右足を後ろに引き膝をつきます。
2. まっすぐ前に踏み込み、足の後ろ側を伸ばし10秒ほどキープ。元の姿勢に戻り10回繰り返します。

1セット左右10回ずつ行いましょう。

足関節背屈の制限の要素になるアキレス腱と下腿三頭筋をしっかりとストレッチします。
まっすぐと踏み込むことで正しく背屈を行うことができます。

地味なトレーニングを続け、足の指から正しい姿勢を目指そう

足の指のトレーニングは、地味な動きが多いのですが、日常生活で刺激を入れることができないため、意識的にトレーニングするしかありません。もし可能であれば、休日に草履や下駄を履いて、足の指を使うトレーニングをしてみるのも良いでしょう。

もし、エクササイズでは改善できないくらい扁平足や外反母趾が強いという人は、専門家の指示を仰いだり、インソールを変えるなど道具に頼る必要があるかもしれません。扁平足や外反母趾をあまく見ず、正しい姿勢を手に入れるために、エクササイズにチャレンジしてみてください。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

記事画像

石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

あわせて読みたい

この記事に関連するキーワード