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2023.07.01

ふくらはぎがパンパン!脚がすっきり軽くなるセルフケア【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチ(ヨガ)が血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

ふくらはぎ、パンパンになっていませんか?

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長時間歩いたり、逆にデスクワークが長く続くと、ふくらはぎに重りが付いたような重だるさを感じることはありませんか?

多くの方にとって、このふくらはぎの張りはパフォーマンス低下の大きな原因の1つです。しかも日常的に起こりやすいので、ほったらかしにしてしまう方も多いのではないでしょうか。

ふくらはぎは健康維持に直結する第2の心臓

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立っている時に体重を支えているのは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)。だからこそ、身体の中でも硬くなりやすい筋肉のひとつです。

ふくらはぎは脚部に下がってきた血液を心臓へ送り返すポンプのような役割を担っています。ふくらはぎの筋肉が硬くなってしまうと、ポンプ機能が弱まり血流が悪くなるので、柔らかい状態を保つことがそのまま健康の維持に直結する重要な筋肉でもあります。ふくらはぎが“第2の心臓”と言われる由縁です。

ふくらはぎが硬くなりやすい理由とは?

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ふくらはぎ、そして足関節が硬い人は、とても多いです。その原因は、足関節を使っていないから。

みなさんは、普段から”しゃがみ込み”や“かかと上げ”の姿勢になることはありますか。おそらく、ほとんどの人がする機会がないと思います。基本的には椅子やソファに座ることが多く、それより下にしゃがむことは少ないのではないでしょうか。逆にかかとを上げて背伸びをすることも少ないと思います。日常的に使用するものは大半が手の届くところにあるので、この動きもなかなかやらないですね。

足首を曲げたり伸ばすことがなくなると、自然と足関節の可動範囲も減るので関節が硬くなっていきます。足関節を使わなくなると、ふくらはぎも伸びたり縮んだり(収縮と弛緩)せず、腓腹筋が使われなくなります。立っているときに常に働いていると話しましたが、常に働いているので、縮んでいるのですね。

つまり、ふくらはぎの柔軟性を保つために、大事なのは大きく伸びたり縮んだりすることです。足首を大きく上げ下げして使うことがなくなると、この大きな伸び縮みをしなくなります。「ふくらはぎが太いなぁ」と気になっている方は、特に気をつけるべきポイントですね。

また、歩いている時も足首は曲がっているのですが、足関節の柔軟性が下がると歩く時に必要な角度まで曲がらなくなることも。そうすると膝や股関節に負担がかかって痛みを引き起こしてしまう可能性があります。ですから、ふくらはぎが柔らかく、足関節の柔軟性があり、力が入る、ということは非常に重要なことなのです。

あなたのふくらはぎは大丈夫?柔軟性・機能をチェック

それではまず、あなたのふくらはぎの状態をチェックしましょう。今回は2つのチェック法をご紹介します。

check01.ふくらはぎの柔軟性チェック

ふくらはぎに張りや重だるさを感じる人は、まずは柔軟性チェックをやってみましょう。ふくらはぎの柔軟性チェックは、立位での前屈です。

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【チェック方法】
1.壁から約5cmのところにかかとがくるように立つ。
2.立位前屈を行う。
3.お尻が壁についていないか、かかとが浮いていないかチェック。

やってみると、多くの人がお尻が引けてきます。

立位での前屈で股関節を曲げた時に、お尻がスタート地点よりも後ろに動いたりかかとが浮いてしまう人は、腓腹筋の柔軟性が低下して特に硬い可能性があります。柔軟性の限界を超えるとお尻を引いて、それ以上、腓腹筋が伸びないように無意識でお尻が後ろに動くのです。

デスクワークが多い人は、腿裏のハムストリングスの柔軟性も落ちています。腓腹筋とハムストリングスは繋がっているので、デスクワークでハムストリングスが硬くなった人も、同時に腓腹筋の柔軟性が低下してしまいます。

check02.ふくらはぎの機能チェック

次はふくらはぎにある腓腹筋がちゃんと使われているかチェックしましょう。

【チェック方法】
1.自然な姿勢で立って、片脚で立つ。
2.かかとを目一杯上げて下げる運動を20回行う。

片脚でかかとの上げ下げを目一杯20回できなかったら、腓腹筋の機能が落ちている可能性が非常に高いので注意が必要。腓腹筋の機能が落ちているということは、第2の心臓としてのポンプ作用が効きづらくなっているかもしれません。特に女性は脚のむくみや冷えに繋がります。

ふくらはぎがすっきり軽くなるセルフケア

ふくらはぎはどうしても日常生活で硬くなりやすいので、できるだけセルフケアをして柔らかい状態を保ってあげることが大事になります。そして、ふくらはぎのセルフケアは簡単かつ少しやるだけでも脚がかなり軽くなります。

#01 基本のセルフマッサージ

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【やり方】
ふくらはぎ全体を持って、矢印の方向に手をスライドさせる。強い指圧をかけるよりも、スライドさせることで筋肉が緩みやすくなる。

ふくらはぎの腓腹筋は常に縮む方向に力が入っているため、循環が悪くなりやすい部位です。付着部を持って内外方向にスライドして筋肉を緩めましょう。この動作で、癒着がとれて、筋緊張が緩みます。

#02 重だるい脚がすっきり!簡単セルフマッサージ

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【やり方】
ふくらはぎの真ん中あたりにある溝に指を添える。その溝から上に引き上げるように押しあげる。

腓腹筋は内側と外側に組織が分かれており、真ん中に溝があります。ここが最も癒着しやすく、「脚が重だるい」と感じる原因になります。ふくらはぎの真ん中に指が引っかかるような溝があるので、この溝に指を引っ掛けるようにして痛くない範囲で押してあげましょう。

ふくらはぎが凝り固まっていると、この動作が結構痛いと感じる方もいますので、その場合は軽くほぐしてあげるだけでもふくらはぎが柔らかくなります。

#03 ふくらはぎのストレッチでしっかり伸ばす

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【やり方】
壁側に向かって立ち、両手を壁について、片脚を後ろに引く。アキレス腱を伸ばす要領で、後ろに引いた脚のふくらはぎ部分を伸ばす。

セルフマッサージで筋肉を緩めてあげたら、次はふくらはぎをしっかり伸ばすストレッチを行いましょう。マッサージ後はふくらはぎが伸びやすくなっているので効果的です。

どんなに忙しくてデスクワークの時間が長くなっても、1日1回は必ず椅子から立って、デスクの前でこの動作を実践してみてください。それだけでもかなり脚が軽くなります。

健康のために、ふくらはぎのセルフケアを習慣化

・むくみが気になる
・脚の冷えが辛い
・いつも脚が重だるい

そんな方は、足首の柔軟性や腓腹筋の機能が低下している可能性が非常に高いです。ライフスタイルの変化で、どうしても足首を使う機会が減ってしまっているので、それは仕方のないことかもしれません。大切なのは、こまめにケアしてあげること。健康のためにも毎日のふくらはぎケアを習慣化してみてはいかがでしょうか。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

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