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2021.10.04

眠りと免疫の関係とは?【眠りの秘めたる力#23】

kencom公式:睡眠改善インストラクター・西谷綾子

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忙しいとつい睡眠時間を削ってしまいますが、睡眠不足による身体への影響は怖いことばかり。
これまでも様々なデメリットをお伝えしてきましたが、今回の「睡眠と免疫力の関係」についても無視できないお話です。

睡眠時間が短いと風邪をひきやすい

睡眠不足だと免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
免疫とはウイルス・細菌などの病原体を異物とみなし身体から取り除く働きを担っています。
 
入眠3時間までの間に分泌が最大になる「成長ホルモン」は傷ついた細胞を修復します。深い睡眠によって分泌が促されるので、睡眠の質が重要になってきます。睡眠の質が悪いと免疫力低下に繋がってしまいます。

睡眠不足の人とそうでない人を対象に、風邪の発症リスクを追跡した研究によると、睡眠不足の人が風邪の自覚症状があると答えた人はそうでない人と比較すると約4倍という結果になりました。さらに、平均睡眠時間が6時間未満だった人は7時間超の人と比べて風邪の自覚症状があると答える確率は4.2倍、睡眠時間が5時間未満の人は4.5倍と、睡眠時間が短い人ほどリスクが高まっています。

続いて、インフルエンザワクチンの持続効果に焦点をあてた研究もご紹介します。

睡眠時間が短いと予防接種で抗体ができにくい

インフルエンザワクチンの効力にも、睡眠が大きく影響することがわかりました。

通常睡眠時間7.5〜8.5時間のグループと4時間の2グループで実験したところ、インフルエンザワクチン抗体の量や強さが、通常通り睡眠をとっていたグループと比較して、半分以下にも満たないという結果が得られました。

高い免疫力を保つだけでなく、ワクチンの効果促進のためにも睡眠の重要性がわかりますね。

これから年末に向けて何かと忙しくなる時期かもしれませんが、風邪やインフルエンザだけでなく、今は新型コロナウイルス感染症も心配です。
睡眠時間の確保で確実に予防できるわけではありませんが、健康的な睡眠時間を確保して体調管理を万全にしておきましょう。

参考文献

Prather AA et al. Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold.Sleep 2015 38: 1353-1359.

Spiegel K et al. Effect of sleep deprivation on response to immunization. JAMA 2002 288: 1471-1472.

西谷 綾子(にしたに・あやこ)

睡眠改善インストラクター。
眠りのエキスパートとして、ワークショップや講演会などで活動中。自身のYouTubeチャンネル『あや吉チャンネル』では快眠のためのワンポイントアドバイスも行っている。
ランニングにも注力し、フルマラソンのベストタイムは3時間1分。〈Body & Soul Running Club〉を主宰し、初心者教育も行う。

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