2020.02.19
積極的昼寝(パワーナップ)ってなんだ?
仕事のパフォーマンス向上に繋がる習慣のひとつとして世界的な先進企業が導入していることから、最近日本でも注目され始めている「パワーナップ」。
みなさんどんなものかご存知ですか?
実は日本語でいうと『昼寝』のこと。この昼寝が、リラックスや仕事の効率アップに繋がると言われているのです。
パワーナップとはそもそもどんなものなのか、名前の由来から実践編までご紹介します。
注目度上昇中!『パワーナップ』とはどんなもの?
「パワーナップ」とは積極的な短仮眠
そもそもパワーナップとは、日本語で言うところの『昼寝』『仮眠』のことです。
コーネル大学の社会心理学者ジェームス・マースにより『Power Up』+『昼寝・うたたねの”nap”』から作られた造語で、脳と身体の疲労回復のための積極的な短時間仮眠方法として提唱されました。
現在、世界中の大学や研究機関による実証報告からもその科学的根拠が裏付けされており、昼間の短時間睡眠は眠気を改善するだけでなく、効率的に脳や身体の疲労を緩和し、リフレッシュや集中力を向上させる効果があることがわかっています。
パワーナップは自然の摂理にかなったお昼寝術
深夜や早朝以外に、日中午後2時~4時も「魔の時間帯」と呼ばれていることをご存知でしょうか?
統計によると、この時間帯はあきらかに他の時間帯よりも、眠気で交通事故や仕事のミスが多くなることが分かっています。
というのも、人間には起床後約8時間後に眠気が起こる生体リズム(睡眠覚醒リズム)が備わっており、午後2~4時は多くの人にとって眠くなる時間帯。ただでさえ朝から働いてオーバーヒート気味の脳の疲れに加え、強めの眠気が起こりやすい為、集中力や作業効率が下がるのも当然といえます。そういった観点からも、パワーナップは非常に理にかなっています。
しかしながら、眠気に任せてただ昼寝をすればよいかというとそうではありません。特にパワーナップを仕事上のパフォーマンス向上に役立てたい場合には、効果を最大限にするための知識とテクニックが必要なんです。
リラックス・パフォーマンス向上に繋がるパワーナップの心得
では、大事なポイントをいくつかご紹介しましょう。大事なポイントは全部で5つあります。それが下記の表です。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
タイミング:目安は、起床から6~7時間後
生体リズムでは起床から8時間後のタイミングに眠気が来ることがわかっています。
眠気が強く来てからだと、深い睡眠に入りやすく、気分的にも短時間での切り上げが辛くなりますので、その前のタイミングで先手を打って脳や身体を休めてしまうことをオススメします。
時間:15分前後を推奨。長くとも30分以内が鉄則!
パワーナップは、深い睡眠に入る前に切り上げるのが何より重要。
30分を超えると脳が完全休息に入ってしまう為、直後の作業効率が落ちたり、夜の本睡眠に影響が出るなど逆効果になると言われています。
姿勢:完全に横にならない姿勢が◎
横になってしまうと「もっと寝たーい!」と短時間での切り上げが難しくなるのが人情というもの。
熟睡防止のため、横にならない姿勢がよいでしょう。できるだけ首を立てた状態がオススメですが、リクライニングチェアやデスクにうつぶせの姿勢でもOKです。
テクニック編:直前にコーヒーを飲んでカフェインを摂取しておく
カフェインは摂取後15~20分くらいから血中濃度が増して覚醒効果を発揮するため、パワーナップにとってちょうどよいタイミングで目覚めをサポートしてくれます。
コーヒーが苦手な方は、紅茶やお茶でも同様の効果が得られます。
番外編:まとまった時間を確保できない時は1分間目を閉じるだけでもOK
脳は視覚情報が遮断されることで休むことができる臓器。
1分でも目を閉じると、リラックスを感じている時に発生するα波が出ることが分かっています。集中力の低下や眠気を感じても時間や場所を確保できない時は、1~5分間だけでも深呼吸しながら目を閉じてみるだけで、脳を休めることができるんです。
少しずつでも取り入れるのが肝心
パワーナップを生活に取り入れられそうですか?
お昼寝や仮眠と聞いて、「まとまった時間も取れないし、そもそも職場に横になれる場所がないから自分には無理!」と思われるかもしれませんが、実はそんなことはないんです。
ちょっとした知識とテクニックがあれば、眠気の改善だけでなく、誰でも適切なタイミングで脳を休めることができます。1日たった1~15分の習慣でストレス緩和や集中力向上に繋がるのであれば、取り入れない手はないですよね!
著者プロフィール
■植田くるみ(うえだ・くるみ)
アクティブスリープ指導士ベーシック。睡眠に興味を持ち、企業に勤めながら研究を続ける専門家。睡眠効率の向上から、毎日のパフォーマンスをアップすることを目指すアクティブスリープを実践するだけでなく、普及にも務める。企業向けに提案した快眠法のティップスには定評がある。