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2024.02.08

塩分半分カット!煮汁も美味しくいただける味しみブリ大根【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

煮汁も美味しくいただける味しみブリ大根

寒い季節に旬を迎えるブリと大根。この2つの食材の美味しさを味わえるブリ大根は冬の定番ですが、醤油ベースの味付けなので塩分過多に注意が必要です。このレシピでは、調理の際のひと手間で簡単に減塩できるブリ大根の作り方をご紹介します。

材料(2人分)

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大根 6cm(250g程度)
ブリの切り身 2切れ(160g程度)
生姜 1片
米のとぎ汁(水と生米大さじ1でも代用可) 適量

【煮汁】
水 150mL
日本酒 大さじ2
みりん 大さじ1
醤油 大さじ1
砂糖 大さじ1

塩分量(1食あたり)

塩分量:1.4g
一般的なレシピの塩分量:2.7g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約48%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー  259kcal
たんぱく質 18.5g
脂質  14.2g
炭水化物 15.2g
糖質 13.4g

作り方

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1. 大根は皮をむき厚さ2cmのいちょう切りにする。生姜は半分をスライスし、残りを千切りにする。

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2. 大根を耐熱容器に入れ、全体が浸るくらいの米のとぎ汁を加える。ふんわりとラップをし、電子レンジに入れて600wで7~8分加熱する。竹串がスッと通るくらいまで柔らかくなったら軽く水で洗い、大根についた米のとぎ汁を流す。

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3.ブリは1切れを3~4等分するなど食べやすい大きさに切って、表面が白くなる程度に熱湯にさっとくぐらせてから、冷水または氷水につけて表面を冷まし、キッチンペーパーなどで水気をとる。

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4.鍋に【煮汁】と生姜のスライスを入れ中火にかけ、沸騰したら2の大根を入れ、落とし蓋をして弱火で10分煮る。

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5. 均一に味をしみ込ませるために大根の上下を返し、ブリを加えてさらに5~6分煮る。

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6. 器に盛り、生姜の千切りをのせて完成。

このレシピのポイント

#1 食材にあわせた下ごしらえをおこなう

材料を準備する際、大根やブリは食べやすい大きさに切りましょう。調味料に触れる表面積が増え、加熱時間が短くても味がしみやすくなります。

また、ブリの臭みや大根のえぐみは、湯引きなどの下ごしらえで取り除けます。食材ひとつひとつに手間をかければ、調味料のうま味や塩味、風味をしっかりと感じることができ、美味しく食べることができます。

#2 米のとぎ汁で大根を煮て美味しさアップ

大根をコトコト煮るのは時間がかかってハードルが高いと思う方もいるのではないでしょうか。鍋で煮るのではなく、レンジで加熱すれば、少ない時間で柔らかくできるので時短になります。

大根を煮る時には、水ではなく米のとぎ汁を使ってみてください。米のでんぷんによって大根のえぐみとなるアクが抜けやすくなるため、大根の甘さが引き立って美味しく仕上がります。とぎ汁がなければ、水と生米大さじ1を合わせたものを使ってもOKです。

#3 煮物に使う大根は葉に近い部分を選ぼう

大根は葉に近い部分と根元では肉質が変わってきます。葉に近い部分は甘くて柔らかいため、今回作ったブリ大根やおでんなどの煮物に向いています。逆に根元に近い部分は繊維質で辛味があるので、大根おろしにして魚に添えたりするなどの使い方がおすすめです。

大根を丸ごと1本ではなく、半分に切って販売しているスーパーなども多く、作りたい料理によって大根の部位を選ぶことができます。必要な部分だけを買うことでむだなく使い切ることができ、食品ロス対策にもなります。

#4 魚の臭みを消すひと手間を惜しまない

調理の際に、食材を熱湯にくぐらせることは湯引き、霜降りなどと呼ばれ、臭み消しなどに役立つ作業です。ブリ大根を作る際にも、ブリを一度熱湯にくぐらせることで、表面の酸化した油やぬめりを取ることができ、臭みも消えてより一層美味しく仕上がります。

また、ブリを長時間煮込むとパサついてしまいます。そこで、大根と時間差で鍋に入れることがコツ。こうすることでしっとりと柔らかくなるのです。

【減塩豆知識】調味料を効率よく行き渡らせる"落とし蓋”を活用

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醤油などの塩分を多く含む調味料を大量に使って、食塩摂取量が増えてしまうことは仕方のないことです。しかし、少ない調味料でも美味しく仕上げるコツがあります。それは、落とし蓋を活用すること。煮汁が落とし蓋にぶつかって対流ができ、調味料が鍋中に行き渡りやすくなり、少ない調味料でもしっかりとしみて美味しく仕上がります。

塩分を減らせば栄養面でもメリットがあります。ブリには脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、良質な脂質が含まれており、煮汁にも溶け出てしまいます。塩分が多く含まれている場合、煮汁を飲むのは躊躇われますが、このレシピの場合、塩分控えめですので栄養たっぷりな煮汁まで美味しくいただくことができます。

落とし蓋は、市販の木製のものがなければ、アルミホイルやクッキングシートなどでも代用可能です。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

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引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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