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2023.12.28

コクが絶妙。トマトペーストで作る塩分控えめ王道ナポリタン【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

トマトのコクが懐かしさを誘うナポリタン

喫茶店ブームもあり、人気が再燃しているナポリタン。味付けにはケチャップだけではなくトマトペーストも使うことで、減塩しつつもコクがありまろやかな仕上がりに。スライスベーコンもうま味のアップに一役買ってくれるレシピです。

材料(2人分)

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パスタ(乾燥) 160g(今回はゆで時間7分のものを使用)
玉ねぎ 1/2玉
ピーマン 2個
マッシュルーム 3個
ハーフベーコン 4枚
にんにく 1片
塩 小さじ1/4
白ワイン 大さじ2(日本酒でも可)
オリーブ油 大さじ1/2
粉チーズ 小さじ1
粗びき黒こしょう 少々

【ナポリタンソース】
ケチャップ 大さじ2
トマトペースト 大さじ2
牛乳 大さじ2

【パスタをゆでるお湯】
水 2L
塩 小さじ1
※塩分濃度0.3%になるように調整

塩分量(1食あたり)

塩分量:2.3g
一般的なレシピの塩分量:3.6g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約36%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー  464kcal
たんぱく質 15.9g
脂質 12.4g
炭水化物 75.4g
糖質 68.0g

作り方

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1. 玉ねぎとマッシュルームをスライスし、ピーマンは5mmの厚さの輪切りにして、ベーコンは1cm幅、にんにくはみじん切りにする。【ナポリタンソース】は混ぜ合わせておく。別の鍋にパスタ用のお湯を沸かして塩を加え、表示よりも1分短めにゆでる。

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2. フライパンにオリーブ油、ベーコン、にんにくを入れ弱火にかけ、にんにくの香りが立ったら玉ねぎを入れ炒める。

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3. 玉ねぎがしんなりとしてきたらマッシュルームと塩を入れ軽く炒め合わせる。さらに白ワインを加えてアルコールを飛ばす程度に炒める。

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4. ピーマンを加え軽く炒め合わせ、【ナポリタンソース】を加え、混ぜてから火を止める。

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5. ゆで上がったパスタを4に入れ、全体に絡ませるように混ぜ合わせる。

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6. 器に盛り、粗びき黒こしょうと粉チーズをかけて完成。

このレシピのポイント

#1 ベーコンの塩味を上手に使おう

うま味と塩味を持ち合わせるベーコンは、同じ量であればブロックよりもスライスのほうがおすすめです。なぜなら、ベーコンの表面積が増えるため、パスタや他の具材をベーコンと一緒に口にする回数も増えるからです。ベーコンの塩味で、うま味や塩味を感じやすくなります。

#2 美味しく調理するコツをマスターしよう

トマトケチャップやトマトペーストのような粘度の高いものは混ざりにくいため、鍋に加える前に混ぜ合わせることで食材に均等に行き渡りやすくなります。

また、野菜を炒めると水分が出ます。今回のレシピで使った玉ねぎも種類や状態によって水分量は異なりますが、水気が出てしまいカラカラになってしまうことも。炒めている途中で水分が足りないと感じたら水を加えて調整すると、しっとり美味しく仕上がるでしょう。

#3 美味しいパスタの塩分濃度を覚えよう

パスタをゆでるときに塩を加えるのは、味付け以外にもコシのある仕上がりにするためです。これは、塩を加えたお湯でゆでることで、パスタの吸水量が少なくなり、柔らかくなりすぎてしまう効果があります。

パスタ湯は通常、お湯(水)に対して1%程度の塩を加えます。この塩分を0.3%程度に減らすことで、パスタのコシはキープしつつ、減塩することができます。

【減塩豆知識】ケチャップに塩分ゼロのトマトペーストをミックス

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ナポリタンはトマトケチャップだけで仕上げることが多いのですが、今回のレシピではトマトペーストも使いました。ケチャップはトマトのうま味がたっぷりで人気の調味料である一方、塩分も含まれています。トマトペーストは煮詰めたトマトを裏ごししたもので濃厚なトマトのうま味を持ち、コクがしっかりあるのに塩分はゼロ。減塩料理の強い味方です。

今回のように、トマトペーストをトマトケチャップと半量ずつ使えば、うま味をキープしつつも減塩することが可能。ケチャップ味のメニューを作る際には、ぜひ試してみてください。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

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引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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