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2023.10.26

チーズの香りが食欲そそる!あっさり仕上げの具だくさんシーフードチキンドリア【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

あっさり仕上げの具だくさんシーフードチキンドリア

人気メニューなのに、カロリーが高い、塩分が多い、ホワイトソースを作るのが大変など、調理のハードルが高いドリア。今回ご紹介するドリアのレシピは、ホワイトソースに豆腐を使いヘルシーかつ減塩も叶う簡単レシピです。

材料(2人分)

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シーフードミックス 100g
鶏もも肉 80g
塩 少々(ここでは0.5g)
玉ねぎ 1/2玉
しめじ 1/2パック(50g)
にんにく 1片
白ワイン 大さじ2
オリーブ油 小さじ1
バター(有塩) 10g
ごはん 300g

溶けるチーズ 40g
粉チーズ 小さじ1
黒こしょう 少々
刻みパセリ 少々

【ホワイトソース】
絹ごし豆腐 200g
コンソメ(顆粒) 小さじ1
味噌 小さじ1

塩分量(1食あたり)

塩分量:2.2g
一般的なレシピの塩分量:2.8g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約21%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー 565kcal
たんぱく質 28.5g
脂質 22.6g
炭水化物 65.7g
糖質 60.7g

作り方

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1. シーフードミックスはたっぷりの水に2分ほどつけて半解凍したのち、水気をきる。半解凍とは、表面の氷の粒は溶けてなくなっているけれど、指でつまんでみた時に中心はまだ硬い状態のこと。

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2. 鶏肉は2cm角に切って塩を少々ふる。玉ねぎは半分に切って薄切りにし、しめじは手でほぐす。にんにくはみじん切りにする。

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3. ボウルに【ホワイトソース】の材料をすべて入れ、豆腐を潰しながら、滑らかになるまでよく混ぜ合わせる。

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4. フライパンににんにくとオリーブ油を入れごく弱火にし、香りが立ったら鶏肉を入れて軽く炒め合わせる。半分ほど色が変わったら玉ねぎ、しめじを入れて炒め合わせる。

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5. 全体に火が通ったらシーフードミックスを加え白ワインを回し入れて蓋をする。シーフードミックスに火が通るまで2~3分蒸らすように加熱する。

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6. 2のボウルに5を汁ごとすべて加え、全体を混ぜ合わせる。

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7. 温かいごはんにバターを入れ混ぜ合わせ、器に入れ6を上からかけて溶けるチーズを全体に散らす。トースターでチーズが溶けるまで3分ほど加熱する。

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8. 仕上げに粉チーズ、黒こしょう、刻みパセリをちらす。

このレシピのポイント

#1 豆腐で作るヘルシーなホワイトソースはしっかり混ぜて

豆腐で作るホワイトソースは、生クリームやバターを使わないのにコクがあってカロリーも大幅オフできます。ただし、豆腐だけでホワイトソースを作ると、味気のないポソポソとした食感になってしまいがち。

おいしく仕上げるポイントは下味をつけて炒めた具材から出る汁を、豆腐としっかり混ぜ合わせ滑らかに仕上げることです。このひと手間が、なめらかでうま味のある仕上がりにつながります。

#2 仕上げの粉チーズはドリアのかなめ

濃厚なうま味と香りに特徴があるパルミジャーノ(粉チーズ)。しかし、加熱しすぎるとせっかくの香りが薄れてしまいます。料理の仕上げにパルミジャーノを使うことで、このチーズの魅力的な香りがしっかりと活かされ、美味しい香りとともに料理を堪能できます。

#3 ごはんにバターで風味よく

温かいごはんにバターを混ぜ入れることで香りやコクがプラスされ、風味良く仕上がります。お好みで黒こしょうを混ぜ込むと、ぴりっと締まるのでおすすめです。

#4 染み出たうま味を活用しよう

火を通した際に魚介や野菜から水分が出てきます。この水分にはうま味が含まれているため、残さずに使いましょう。ソースもなめらかに仕上がります。

【減塩豆知識】チーズは種類によって塩分量が違うって知ってた?

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1000種類以上あるというチーズですが、種類によって塩分が異なります。

例えば、みずみずしさが特徴的なモッツァレラチーズは100gあたり0.2g、濃厚なうま味が特徴的なパルミジャーノは100gあたり3.8gと、実に19倍の差。また、適度な塩味と風味があってくちどけの良い、チェダーやゴーダのような溶けるチーズの塩分量はは100gあたり2.0gです。

料理によって使われるチーズは異なりますが、塩分量の多いパルミジャーノは少量でもアクセントとなるため、仕上げに少々振るだけでも料理の風味がぐっとアップします。使う量を調節すれば塩分量の多いチーズを避ける必要はありません。料理に合ったチーズを使うことで、風味と食感を楽しむことができるので、使うチーズの塩分量をチェックしてみてください。

シーフードミックスは魚介の塩分もありますが、多少の食塩を加えてあるものが多いため、必ず表示を確認してから使いましょう。この記事のレシピでは、食塩相当量が100gあたり0.9gのものを使用しています。

なお、下味などに使う塩少々とは、親指と人差し指の2本で軽くつまんだ量のことをいいます。手指の大きさが人によって変わるので塩の量の違いが若干生じますが、目安は0.3~0.5gです。この記事では、多めの0.5gとして計算しています。

チーズと同じく、塩の種類によっても塩味やうま味の感じ方が変わります。減塩を念頭に置きつつ好みの量を探ってみてください。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

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引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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