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2023.09.14

韓国料理好きなら知っておくべき!塩分ほぼ半分の減塩ビビンバ丼【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

塩分量は通常のほぼ半分!減塩ビビンバ丼

塩分が多くなりがちな韓国料理ですが、一工夫で美味しく減塩できます。今回は定番のビビンバ丼を約半分の塩分量で作れちゃうレシピをご紹介します。

材料(2人分)

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牛小間切れ肉 150g
日本酒 大さじ1 ※食塩不使用の料理酒でも代用可能
白菜キムチ 50g

白ごはん 茶碗2杯分強(360g程度)
温泉卵 2個 ※半熟の目玉焼きや卵黄などお好みの調理法での卵で代用可能
コチュジャン 小さじ1/2

【調味料A】
醤油 小さじ1
みりん 小さじ1
白いりごま 小さじ1/2

<ナムル用>
大豆もやし 100g
にんじん 1/4本
ほうれん草 4株(約80g)
塩 少々

【調味料B】
鶏がらスープの素(顆粒) 小さじ1/2
黒こしょう 少々
白いりごま 小さじ1/2
ごま油 小さじ1

塩分量(1食あたり)

塩分量:2.2g
一般的なレシピの塩分量:4.2g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約48%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー  634kcal
たんぱく質 28.1g
脂質 26.6g
炭水化物 76.3g
糖質 70.1g

作り方

1. ナムルを作る。大豆もやしはひげ根を取り、にんじんはマッチ棒ほどの細切りにする。ほうれん草は根元を切り落とし、軽く水洗いし4~5cmの長さに切る。

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2. 耐熱ボウルににんじんともやしを入れ、塩を振り軽く混ぜ合わせる。ふんわりとラップをして600wの電子レンジで2分半加熱後ザルにあげ、粗熱が取れたら手で絞り水気をしっかりと切る。

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3. ほうれん草は水気が残ったまま耐熱ボウルに入れふんわりとラップをして600wの電子レンジで1分加熱後ザルにあげ、粗熱が取れたら手で絞り水気をしっかりと切る。

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4. ボウルに【調味料B】と2を入れて、混ぜ合わせ、ごま油を加えてよく混ぜる

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5. キムチを粗く刻む。牛肉は大きければひと口大に切って酒を揉みこむ。

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6. フッ素加工のフライパンに5の牛肉を入れ中火にかけ、炒める。肉の色が半分ほど変わったら、【調味料A】を入れ水分がなくなるまで炒める。
※フッ素加工のフライパンではなく、鉄のフライパンなどを使用する場合は、肉が鍋肌にくっついてしまうため、米油もしくはサラダ油を小さじ1程度使用する。

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7. 火を止め、キムチを加え全体に絡ませる。

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8. 器にごはん、ナムル、牛肉の順にのせ、中央をくぼませる。

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9. 中央に温泉卵をのせ、コチュジャンを添えれば完成。

このレシピのポイント

#1 野菜によって加熱時間を分けて食感よく

ナムルには3種類の野菜を使っていますが、すべて一緒にして加熱してしまうと、どうしても葉物野菜は柔らかくなりすぎてしまいます。ひと手間ですが、熱が入りやすいほうれん草は別に加熱しましょう。

また、ほうれん草は洗った後の水気が少し残ったまま加熱した方が、干からびにくくなります。にんじんやもやしは塩をまぶすことで水分が出やすくなります。

#2 ナムルはミックスして調味料を少なく

様々な種類のナムルを作ると、それぞれに調味が必要となり、トータルで味が濃くなりがちです。水気をしっかりと切って一緒に味をつけることで洗い物も減り時短に。しかも少ない調味料で作ることが可能です。

#3 ごま油の使いすぎに注意

韓国料理ではごま油を使うことが多いのですが、肉にもナムルにもごま油を使ってしまうと、食べたときにベタっとした重い感覚になりがちです。香りも強いため食べ進めるうちに飽きてしまうことも。

今回のレシピではナムルでごま油を使用したため、肉には元々ある油を活かして調理することで余分な油を使わずに、最後まで飽きずに食べられるように工夫しています。

#4 たんぱく質豊富な大豆もやしをセレクト

大豆もやしは緑豆もやしに比べてたんぱく質が多く含まれていますので、積極的に選びましょう。香りや食べ応えもある優秀な食材です。

【減塩豆知識】塩分の多い調味料は「使わない!」ではなく、少量でも楽しめる工夫を

ビビンバに欠かせないキムチは、100gあたり3gほどの塩分を含むため、減塩を意識しているとどうしても量が少なくなってしまいます。あらかじめ刻むことで、表面積が増え、少ない量でもしっかりと食材に絡ませることができできます。

また、長時間加熱するとキムチの風味でもある酸味が飛んでしまうため、最後に混ぜ合わせる程度にすることでキムチの酸味を存分に楽しめるはずです。

コチュジャンの塩分は豆板醤ほど高くないものの、肉を炒める際に使う場合は、ある程度の量が必要。今回は、コチュジャン後乗せすることで、1品料理でも味のメリハリ(味が濃い部分と薄い部分)ができ、好きなタイミングで肉や野菜と絡ませながら食べることができます。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

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その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

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引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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