2023.07.13
簡単に15%塩分カット!さっぱりネギ塩糀焼きそば【減塩ごはん】
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均を2g以上上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。
塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。
本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。
暑い夏にぴったり!さっぱりネギ塩糀焼きそば
夏バテ予防にもおすすめしたい簡単で減塩できちゃう塩糀(しおこうじ)焼きそばです。
材料(1人分)
焼きそばの麺(蒸し) 1玉(150g)
豚こま肉 50g
舞茸 40g
こねぎ 5本
にんにく 1片
レモン 1/4個
酒 大さじ2
塩糀 大さじ1弱
ごま油 大さじ1/2
粗びき黒こしょう 適量
塩分量(1食あたり)
塩分量:2.3g
一般的なレシピと比較すると、15%減塩になります。
市販の塩焼きそばと比較すると30%以上の減塩が可能です。
主な栄養成分(1食あたり)
エネルギー 470kcal
たんぱく質 18.7g
脂質 16.3g
炭水化物 64.1g
糖質 57.2g
作り方
1. 塩糀を小さじ2分の1程度取り、黒こしょうと共に豚肉に混ぜ合わせる。
2. 舞茸は手でほぐし、こねぎは小口に切る。にんにくはみじん切りにする。レモンは半分に切る。
3. 焼きそばの麺は袋の端を少し切って耐熱皿にのせ、600wの電子レンジで40秒加熱する。
4. フライパンにごま油とにんにくを入れ弱火にかけ、香りが立ったら豚肉を入れ中火で炒める。
5. 豚肉の色が半分ほど変わり火が入ったら、舞茸を入れ軽く炒める。
6. 舞茸に油が回ったら、3の麺を入れて酒を回しかけ、麺をほぐすように炒める。
7. アルコールが飛んだら、残りの塩糀とこねぎを入れ、全体に絡ませるように手早く炒める。
8. 器に盛り、黒こしょうをふり、食べる直前にレモンを絞る。
このレシピのポイント
#1 舞茸で旨味とボリューム感をプラス
舞茸は、旨味があり、塩分控えめにしても料理全体が美味しくなる食材です。安価で下処理も楽な上に、食感が薄切り肉と似ているため、手軽にボリューム感をプラスできる優秀食材。さらに、栄養面でも、不足しがちな食物繊維も手軽に追加できます。
#2 レモンを上手に活用
減塩料理を美味しく食べるために、レモンの酸味や香りが一役買ってくれます。食べる直前にかけることで、酸味や香りが飛んでしまったりなじんでしまったりすることなく、レモンをしっかりと感じられます。
#3 食べ合わせで夏バテ予防
豚肉には、糖質のエネルギー代謝に欠かせないビタミンB1が含まれています。これはにんにくやネギなどに含まれるアリシンと一緒になることで、長時間体内にとどまることができるようになりますので、夏バテ予防も期待できます。
#4 蒸し麺をレンジでチンして食感UP
蒸し麺は水を使わずにレンジ加熱をしてから酒と共に炒めることでべたつかずに仕上がります。
#5 仕上げの塩糀で減塩
味付けを中までしっかりなじませようとすると、多くの調味料が必要となり、時間もかかります。今回のレシピのように最後に塩糀を使い、表面にまとわせるようにすることで、少ない調味料でも塩味を感じられ、満足感の高い仕上がりになります。
#6 香りで満足度を高める
美味しい香りは、食欲をそそりますよね。ごま油、にんにくといった特徴的な香りの食材を用いることで、風味良く満足感の高い仕上がりになります。
【減塩豆知識】塩糀は減塩の強い味方!火加減にはご注意を
塩糀は米糀、塩、水のみで作られるシンプルな発酵調味料です。酵素の力で素材の旨味を引き出してくれるため、少ない調味料でも満足できる味わいになり、減塩に役立ちます。
肉や魚とあえて時間を置くと、塩糀の力でたんぱく質をアミノ酸に分解し、旨味やコクが高まり、お肉も柔らかく仕上がります。今回のレシピでは短時間ですが、豚肉と塩糀を混ぜ合わせ、1時間ほどおくと、さらに美味しく仕上がります。
注意点は、焦げやすいこと。米糀には糖分が含まれることから強火で長時間加熱すると焦げやすいという特徴があります。塩麹を使い慣れていない方は、まず加熱時間が短い炒め物からチャレンジしてみて。
美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条
その1. 旨味を活用
昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。
その2.酸味で満足感を
酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。
その3.香りを感じられる1品プラス
レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。
その4.スパイスで刺激をプラス
カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。
その5.とろみで味をまとめる
料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。
その6.“かける”から“つける”へ
醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それを付けながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。
その7.加工食品は控えめに
ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。
その8.献立にメリハリを
減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてが減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。
その9.表示確認を習慣化
梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。
その10.減塩商品を活用
最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。
記事情報
引用・参考文献
『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社
著者プロフィール
磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。
制作
文・レシピ・写真:磯村優貴恵