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2024.01.11

顆粒だしで手軽に減塩。味わいが豊かな大人のための肉豆腐【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

味わいが豊かな大人のための肉豆腐

鍋で作るすき焼きを一皿に盛り付けるイメージの肉豆腐。冬のあたたかいごちそうで、すき焼きのように醤油と砂糖で甘辛く味付けすることが多いメニューです。しかし、すき焼き風味は味が濃くなりがちで塩分も多くなりがち。そこで、今回はだしの味をしっかり感じられるレシピをご紹介します。

材料(2人分)

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牛こま肉 150g
日本酒 大さじ1
焼き豆腐 300g
えのき 1/2パック(50g)
長ねぎ 1本
すりごま 小さじ1/2
七味唐辛子 少々

【だしつゆ】
水 150mL
みりん 大さじ1
醤油 大さじ1
日本酒 大さじ1
砂糖 大さじ1/2
和風顆粒だし 小さじ2/3(2g)

塩分量(1食あたり)

塩分量:1.9g
一般的なレシピの塩分量:2.3g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約17%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー  410kcal
たんぱく質 26.7g
脂質 27.1g
炭水化物 15.9g
糖質 12.8g

作り方

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1. 牛肉は酒を揉みこみ、軽くほぐす。焼き豆腐は食べやすい大きさに切り、キッチンペーパー等でやさしく水気をとる。長ねぎは2cm幅の斜め切りにし、えのきは石突を取り、軽くほぐしておく。

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2. 鍋に湯を沸かし、沸騰したら弱火にして1の牛肉を入れさっと湯通しをしてザルにあげる。完全に火を通すのではなく、肉のピンク色が少し残っている状態でOK。

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3. 2と【だしつゆ】を別の鍋に入れて中火にかけ一度沸かし、焼き豆腐、えのき、長ねぎを加えて落とし蓋をしてから弱めの中火で5分ほど煮る。

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4. 長ねぎが柔らかくなったら、具材を端に寄せて牛肉をほぐし入れ、2〜3分加熱する。鍋が小さい場合は豆腐やネギなどの具材をいったん取り出す。

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5. 器に盛り、すりごまと七味唐辛子を散らせば完成。

このレシピのポイント

#1 一手間加えて、牛肉をもっと美味しく

牛肉には酒をしっかりと揉みこみましょう。アルコール分が蒸発する際に、肉の臭みを飛ばしてくれます。また、アルコールが肉の保水力を高めてくれるので、酒で揉みほぐすことで、加熱した際に肉が固まるのを防いでくれます。

また、牛肉をお湯にくぐらせる工程を「霜降り」といい、この一手間で余分な油やあく、臭みを取り除くことができます。さらに調理の最後に肉を加えることで加熱時間を短くすると、長時間の加熱によって肉が硬くなりすぎのを防げます。

#2 水分の少ない焼き豆腐を使えば味が薄まりにくい

豆腐には絹豆腐や木綿豆腐など、いくつかの種類があります。今回使用した焼き豆腐は、両面を軽く焼いたもの。型崩れしにくく味しみが良いため、鍋物などの煮込み料理に向いています。また、絹豆腐や木綿豆腐よりも水分が少ないため、煮物の味が薄まりにくいという長所もあります。

焼き豆腐は他の豆腐よりも水分が少な目とはいえ、必ずキッチンペーパーや清潔なさらしなどで水分を軽く抑えましょう。そうすれば調理中にどうしても出てしまう水分を最小限におさえ、味が薄まるのを防げます。

#3 落とし蓋をすると美味しさが増し増し

少ない煮汁で煮物をするときに役に立つのが落とし蓋です。落とし蓋をすると調味料の蒸発が適度に抑えられ、鍋の中で調味料が対流して食材に均一に行き渡りやすくなります。減塩レシピでは、使える調味料の量がどうしても限られてしまうため、煮物の際に落とし蓋を使うとより効果的です。

木の蓋がない場合は、アルミホイルやクッキングシートで代用可能です。

【減塩豆知識】上手に使えば顆粒だしは減塩の味方に

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今回のレシピでは顆粒だしを使用しました。もちろんかつおや昆布からとったほうが丁寧ですが、顆粒だしにも良いところがあります。それは、うま味成分が凝縮されているということ。無駄なく美味しく手軽にいただくことができます。

また、顆粒だしには水分が含まれていないため、少ない水分量でもしっかりとうま味を感じられることも減塩に役立つポイント。

ただし、顆粒だしには食塩が含まれています。使う前に必ずどの程度の塩分が含まれているか表示を確認すること、どのくらい使用するかをスケールや計量スプーンで計りましょう。上手に使えば減塩の味方になってくれます。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

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引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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