メニュー

2023.07.27

30%減塩でこんなに美味しい!ごはんがススム麻婆茄子【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

記事画像

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

ごはんがススム麻婆茄子

初夏から秋にかけて旬を迎える茄子を使った、減塩でも大満足な美味しさの麻婆茄子レシピです。

材料(2人分)

記事画像

茄子 3本
長ねぎ 1/2本
豚ひき肉 100g
ピーマン 1個
にんにく 1片
生姜 1片
酒 大さじ1
塩 少々
米油(サラダ油でも可) 大さじ1
ごま油 小さじ1
白髪ねぎ(飾り用)
一味唐辛子(飾り用)

【調味料A】
水 100ml
豆板醤 小さじ1
甜麵醬 小さじ1
片栗粉 小さじ1
醤油 小さじ1/2
砂糖 小さじ1/2
鶏がらスープ(顆粒) 小さじ1/2

塩分量(1食あたり)

塩分量:1.6g

一般的なレシピの塩分量:2.3g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約30%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー 236kcal
たんぱく質 11.4g
脂質 17.2
炭水化物 14.2g
糖質 10.1g

作り方

記事画像

1. 長ねぎ、にんにく、生姜はみじん切り、ピーマンはひと口大の乱切りにする。豚肉には酒をふっておく。調味料Aは混ぜ合わせておく。

記事画像

2. 茄子は縦半分に切って皮目に5mm幅の斜め切り込みを入れ、2cm幅に切る。切った茄子を耐熱皿に入れ塩、米油の順に加えその都度混ぜ合わせ、ふんわりとラップをしたら600wの電子レンジで3分半~4分ほど加熱する。特に皮目にしっかりと油をまとわせることで、色落ちも予防できる。

記事画像

3. フライパンに生姜、にんにく、ごま油を入れ弱火で熱し、香りが立ったら豚肉と長ねぎを加え中火にし炒める。

記事画像

4. 豚肉に火が通ったらピーマンを入れ軽く炒め合わせ、混ぜ合わせた調味料Aを加えて、とろみがつくまで加熱する。

記事画像

5. 2の茄子を加えて、軽く混ぜ合わせ、全体に絡ませる。

記事画像

6. 器に盛り、お好みで白髪ねぎと一味唐辛子をのせれば完成。

このレシピのポイント

#1 茄子は電子レンジで加熱する

茄子はスポンジのように油や水分を吸収するため、中まで味をしっかりと染みさせようとすると多くの調味料が必要となり、結果として塩分も高くなりがちです。

電子レンジで加熱すると少ない調味料で調理ができ、最後に加えて表面に味をつける(中まで調味料を染みさせない)ことで減塩となります。

#2 片栗粉でとろみをつけて調味料を絡める

片栗粉でとろみをつけることで、食材にしっかりと調味料が絡むとともに、食べたときに口の中にまとまって留まるため味をしっかりと感じられます。

#3 旨味調味料を上手に活用

鶏がらスープの素のように、旨味が含まれる調味料を適宜使うことで、減塩でも美味しく食べられます。ただし、多用すると塩分が高くなるため注意が必要です。

【減塩豆知識】豆板醤と甜麵醬の違いは?

記事画像

醤油、甜麵醬、豆板醤、魚醤、コチュジャンなど、和食やアジア圏の料理には"醤”のつく調味料が多くあります。

今回のレシピで使用した
⚪︎豆板醤(トウバンジャン)
⚪︎甜麵醬(テンメンジャン)
は、どちらも日本の味噌のような調味料ですが、原材料が異なるために味わいも大きく変わります。

共通点は、どちらも発酵食品ということ。豆板醤の“豆”とはそら豆のことで、そこに塩、唐辛子などを加えて作られたものです。塩味がありピリリと辛く、少量でも存在感のある調味料です。麻婆豆腐や担々麺などに使われます。

甜麺醬は中華甘みそともいわれています。“甜”は甘い、“麺”は小麦、“醤”は味噌という意味があり、その名の通り小麦粉や塩、麹を使って作られた八丁味噌のような色の濃い調味料です。辛味がないため、辛いのが苦手な方や子どもでも食べやすいのが特徴です。北京ダックや回鍋肉などに使われます。

どちらも発酵しているため濃厚な旨味があり、そこに辛味や甘みが加わっているため、少量でも味が決まりやすく、減塩料理で活用すれば、満足感の高い仕上がりになります。

ただし、どちらも塩分を含むため、使用量には気をつけましょう!

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

記事画像

その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

記事情報

引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

記事画像

磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

あわせて読みたい

この記事に関連するキーワード