メニュー

2016.11.11

血圧が高めの人は塩分控えめ、肥満解消を!

KenCoM公式ライター:守城美和

記事画像

「血圧が高いので減塩を心がけてみてください」「血圧を下げるためにも少し減量しましょう」などとお医者さんから指導を受けたことがある人も多いのではないでしょうか。血圧が高い方のために、”減塩”や”減量”のすすめをご紹介します。

血圧が高めと言われたら何をすればいい?

実際に血圧が高いと言われても、何をすればいいのか、何を気を付ければいいのかわからないという人もいますよね。ここでは「血圧が高め」と言われたときに意識したいことについて見ていきましょう。

減塩:1日6gを目安に

高血圧の改善に最も効果があると考えられているのが”減塩”です。成人男性の1日の塩分摂取量の平均は10~12g程度と言われていますが、厚生労働省からは一般男性で1日8g、一般女性で1日7g、高血圧の改善のためには男女ともに「1日6g」を目安にするように推奨されています。

肥満解消:食事と運動で健康的に

肥満解消も高血圧の改善効果が期待できるとされています。食べる量はもちろん、運動も適度に取り入れて健康的に肥満解消をしていくことが理想的です。

その他気を付けたいこと

高血圧の改善には上記2つを中心に取り組んでいくよう指導されることが多いのですが、

・食事内容の見直し
・適度な運動
・節酒
・禁煙

なども同時に取り組むようにすることで、より改善効果が期待できるようです。これらは糖尿病や他の病気の予防にも役立ちますので、ぜひ意識してみてくださいね。

塩分と肥満が血圧に影響する理由

ただ中には「血圧が高いので減塩や減量に取り組んでください」と言われても、なぜそれが必要なのかわからないという人もいらっしゃいますよね。では、実際に塩分や肥満がどう血圧に影響するのか、減らすことでどんなメリットが得られるのでしょうか?

塩分を多く摂ると血液量が増え、高血圧に

全国健康保険協会のサイトにある「【塩分】 おいしく減塩、正しく減塩」というページでは、血圧降下のために減塩が必要な理由を、下記の通り説明しています。

"塩分が血圧に影響する理由を「塩分が増えると、体は塩分濃度を一定に保つために水分をため込もうとします。その結果、血液の全体量が増え、心臓から送り出された血液は血管に強い圧力をかけながら全身をめぐるため、血圧が上昇するのです。また、とりすぎた塩分を排出するために血管が収縮しやすくなることや、ナトリウムが血管壁の細胞に入り込むことで血管がむくんで狭くなることも、血圧を上昇させる原因と考えられています。"

引用元:全国健康保険協会|【塩分】 おいしく減塩、正しく減塩

詳細なメカニズムは解明されていないものの、1988年のBMJの論文においても、塩分摂取量と血圧には正の相関関係があることが証明されています。
血圧を正常値に保つには、やはり塩分は控えめにした方がよさそうです。

肥満も高血圧につながる

日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2014』によると、肥満者の高血圧発症率は、非肥満者の約2~3倍であるといわれており、特に、若いときの体重増加は高血圧発症の重要な危険因子となります。
また、肥満が高血圧を引き起こすメカニズムとして、『日本肥満予防協会』のサイトには

"肥満の人は過食のために、塩分も摂りすぎることから、体内にナトリウムが過剰になっていると考えられます。また肥満になると過剰に分泌されたインスリンの働きによって、腎尿細管でのナトリウムの再吸収が亢進するため、さらに血液中のナトリウムが増加します。すると、それを薄めようと血管内に水分が流動し、全体の血液量が増えることで血圧が上昇します。また肥満者は、過食や過剰に分泌されたインスリンのために交感神経系が刺激され、血中にカテコールアミンが放出されます。カテコールアミンは末梢血管を収縮させる働きがあるため、血圧が上昇します。加えて、肥大した脂肪細胞から分泌されるアンギオテンシノーゲンという生理活性物質が血管を収縮する働きがあるため、血圧上昇へとつながります。"

引用元:日本肥満予防協会|肥満と高血圧

とあり、肥満にともなう様々な作用が、血圧にも影響していることがうかがえます。

今からでも簡単にできる塩分控えめアイデア5選

それでは実際に塩分を控えるためにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか。次の食事からでも取り入れられる塩分控えめアイデアを5つご紹介します。

1、ラーメンやうどんの汁は残す

カップラーメンなどの食品表示を見てもらうとわかりやすいのですが、一般的なカップラーメンだと
・麺や具:約2g
・スープ:約5g
もの塩分が含まれています。

ついついもったいないと思ってしまいがちですが、この機会にぜひ飲むのを止めてみてくださいね。

2、ダシや酸味、素材の味を生かす

塩分を控えるためには、ダシや酸味、素材の味をうまく活用することも大切です。

例えば秋においしいさんまは、そのまま食べても油がのっていて旨味を強く感じることができます。「大根おろしと醤油が欠かせない!」という場合は、しょうゆだけを使うより「酢醤油」にして食べるのもおすすめです。酸味でより味がしっかりと感じられて塩分量も抑えられますし、さっぱりしておいしいですよ。

3、スパイスやハーブを取り入れる

味付けに、ショウガやニンニクなどの香味野菜を取り入れたり、トウガラシやワサビといったスパイスを使用するのも、塩分摂取量を抑えるのに役立ちます。摂りすぎるとお腹を荒らしてしまうこともありますので、適度に取り入れるようにしてみてくださいね。

4、サラダには「味のある野菜」を使用する

サラダにかけるドレッシングやマヨネーズには1回分あたり約1gの塩分が含まれています。そのため肥満解消目的でサラダを多めに食べても、ドレッシングをかけすぎてしまうとあまり高血圧の改善にはいい結果が出ないこともあるようです。

この場合”トマト”や”カボチャ”、”コーン”など、野菜の元々の味が強めのものを取り入れるようにすると、ドレッシングの量を抑えても満足感が得られますので、ぜひ試してみてくださいね。

5、調味料は「かける」より「つける」

調味料は、かけてしまうとどうしても味がなじんでしまって薄く感じてしまうため「つける」ようにする方がおすすめです。サラダなどもできるならドレッシングを小皿にとって、つけて味のついた部分が先に口に入るようにすることで、量をかなり抑えることができますよ!

減塩や減量は少しずつ進めましょう

減塩や減量を成功させる最大のコツは「無理せず少しずつ進めること」だと言われています。まずは「ラーメンやうどんのスープを全部飲まないようにする」などからはじめ、「外食やお惣菜の利用回数を減らす」、「自宅の食事の調味料を見直す」など、段階的に取り組むようにしてみてくださいね。

そしてある程度、成果が見えてきたら「月に1回くらいはバイキング」など、頑張ったご褒美を用意するのもいいようです。モチベーションをうまく維持しながら、無理せず取り組んでみてくださいね!

▼合わせて読みたい

参考文献

<著者プロフィール>

■守城 美和(かみしろ・みわ)
介護福祉士として、老人・障がい者(児)介護の仕事に携わってきたが、結婚・妊娠を機に離職。現在は「インターネットで検索しても答えがなかなか見つからない」という自身も体験してきたもどかしさを一人でも多くの人に解消してもらえるよう、子育てをしながらWebライターとして活動中。得意分野は”医療”と”福祉”

<監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医

・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

この記事に関連するキーワード