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2023.12.18

筋トレ初心者でもできる!医師考案の簡単スクワット法

kencom公式ライター:村岡祐菜

2023年10月、厚生労働省がまとめた健康づくりのために推奨される身体活動・運動の目安となるガイド案には、週2〜3日筋力トレーニングの推奨が記載されました。健康的な生活を送るために運動をして筋肉を鍛えることはとても重要です。しかし、筋トレはハードルが高くて踏み出せない、という方も多いかもしれません。

今回は、整形外科専門医でフィットネストレーナーの吉原 潔先生にお話を伺いました。健康的な生活のために運動が重要な理由や、先生が考案したドクターズスクワットについて解説していただきました。

吉原 潔(よしはら・きよし)先生

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脊椎外科専門医・フィットネストレーナー。医学博士。アレックス脊椎クリニック院長。日本医科大学卒業後、同大学整形外科入局。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長を経て、2017年より現職。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。50歳を過ぎてから筋トレでメタボ体形を脱し、ボディコンテストに出場、受賞歴多数。

健康的な生活には筋肉が不可欠

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運動不足によって、体調の変化を実感することは少ないかもしれません。しかし、運動不足が原因で、毎年5万人もの人が亡くなっているという調査結果があるのはご存知でしょうか。

厚生労働省が2007年に発表したロコモティブシンドロームのデータによると、運動不足による日本国内の死亡者数は、喫煙と高血圧につぐ第3位。運動不足が原因で亡くなった方の病因は、循環器疾患やがん、糖尿病などです。運動不足は、脂質異常や高血糖、高血圧、肥満などの病気を引き起こすリスクの一部として捉えられているのです。

運動不足が招くロコモティブシンドロームの恐ろしさ

運動不足が続くと筋肉が硬くなり、筋肉量や筋力が低下します。年齢を重ねるにつれて筋肉は衰えるため、運動不足の方は定期的に運動している方と比較して、筋肉が衰えるスピードは速くなってしまいます。筋肉が衰えて移動するための能力が不足した状態を、ロコモティブシンドロームと呼びます。ロコモティブシンドロームになると、立つことや歩くことが大変になり、ますます運動不足になり、体力が落ち、病気にかかるリスクは上がるでしょう。

また、外出の機会が減るとうつ病や認知症などの脳の病気も発症しやすくなると考えられています。このように、運動不足が招く健康への影響は想像以上に大きいため、運動不足の解消に向けて、いち早く運動を習慣化することが大切なのです。

効率的に筋力をつけるには、スクワットが良い理由

運動には、有酸素運動と無酸素運動があります。有酸素運動は、酸素を体に取り込みながら、比較的少ない負荷で軽い動きを長時間続ける運動で、ウォーキングやジョギング、水泳などです。無酸素運動は、酸素を体に取り込まず、強い負荷をかけて短時間行う運動で、筋トレや短距離走などがあてはまります。

筋肉を鍛えるなら、筋肉に強い負荷がかかる無酸素運動が効果的です。私たちの体は全身の筋肉の約7割が下半身に集まっているため、筋肉量を増やすなら下半身の筋肉を鍛えるのがよいでしょう。下半身の筋肉を動かす代表的な運動がスクワット。太ももやお尻、背中の筋肉を同時に効率よく鍛えられます。

運動が苦手でもできるドクターズスクワットとは?

運動習慣がない人にとって、筋トレを習慣化することは、とても難しく感じるかもしれません。スクワットなら道具も不要、自宅でできますが、それでも運動が苦手な方にとっては、やり方が難しかったり意外ときついと続けられなかったりするかもしれません。

従来のスクワットの問題を解決するためにドクタースクワットは考案されました。運動が苦手な方でも手軽に始められて、続けやすい工夫が詰まっています。従来のスクワットができない、続けられなかったという方はぜひ挑戦してみてください。

しゃがんでから立つ。1日30秒繰り返すだけ

ドクターズスクワットの特徴は、しゃがむ姿勢から始まる“逆スクワット”だということです。従来のスクワットでは立った状態から始めるため、勢いが付きやすくケガしやすいというデメリットがありました。

しゃがんだ状態からのスクワットなら、反動がつきにくいので運動が苦手な方でも簡単にスクワットができます。

出典:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原 潔・著 アスコム

出典:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原 潔・著 アスコム

ポーズ1:しゃがむ
・足を肩幅に開く
・つま先をやや外側に向ける
・腕を前に伸ばして、手のひらを下にして重ねる(どちらの手が上でもOK)
・背すじをまっすぐにする

ポーズ2:立つ
・胸を軽く前に突き出す
・目線はまっすぐ前を見る
・背すじを伸ばす
・腕は肩と同じ高さに上げる

やり方は簡単です。しゃがんだ状態で、口から息を吐きながら立ち上がります。鼻から息を吸いながらしゃがんでください。これを30秒間繰り返します。

呼吸は、筋肉が縮むときに息を吐き、筋肉が緩むときに息を吸うのが基本です。腹式呼吸を意識するのもポイントです。腹筋を意識することで体幹が固定されるので、安定した姿勢を作ることができます。

今の私は大丈夫?自宅でできる簡単セルフチェック

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筋力の衰えや身体の不調を簡単に確認する方法があります。下記の2つのチェックを行い、今の自分の状態を把握してみましょう。なお、セルフチェックはあくまでも目安です。身体の不調が続く場合は自己判断せず、医療機関に相談しましょう。

ドクターズスクワットの必要度チェック

自分にドクターズスクワットが必要かどうか、チェックリストで確認してみましょう。

出典:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原 潔・著 アスコム

出典:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原 潔・著 アスコム

チェックの数はいくつありましたか?チェックの数に応じた必要度は下記を確認してみてください。

11個以上

必要度★★★★★
原因不明の体調不良に見舞われることがあったり、日常生活に支障が出ているかもしれません。ドクターズスクワットを行い、CとDで当てはまった項目の改善にも努めましょう。

4〜10個

必要度★★★
なんとなく体の調子が悪い、ということはありませんか。何も対策を講じることなく過ごすと、ロコモティブシンドロームやサルコペニアの危険性が高まります。

3個以下

必要度★★
健康状態に問題はないと感じているかもしれません。しかし、もしAやBにチェックがついたのなら、ドクターズスクワットを生活に取り入れることでさらに健康状態をアップさせることが期待できるでしょう。

サルコペニアの危険度チェック

筋肉が減って筋力が衰えた状態をサルコペニアといいます。指輪っかテストでサルコペニアの危険度をチェックできます。

出典:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原 潔・著 アスコム

出典:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原 潔・著 アスコム

両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分を軽く囲みます。
・囲んだときに指先がくっつかない:サルコペニアのリスクが低い
・指先がくっつく:サルコペニアは中リスク
・囲んだときに隙間ができる:サルコペニアのリスクが高い

危険度が高かった方は、ドクターズスクワットで筋力アップを目指しましょう。

筋トレを生活に取り入れて筋肉を鍛えよう

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運動不足はすぐに体調へ影響を及ぼすわけではありません。しかし、長年の積み重ねが健康寿命や高齢期の健康に大きく影響します。ドクターズスクワットは、普段運動する習慣がない方でも取り入れやすいエクササイズです。チェックテストや指輪っかテストで筋力が落ちているサインが出ていたら、ぜひ1度試してみてください。

先生の著書『ドクターズスクワット「30秒で運動不足を解消する方法」』では、ドクターズスクワットの詳しいやり方が解説されています。今回紹介したやり方がキツくてできない方向けに、さらに負荷を減らした方法も紹介されていますので、気になった方はぜひ、先生の著書も手に取ってみてくださいね。

■今回のお話を伺った吉原潔先生の著書

『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原潔・著 アスコム

『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』吉原潔・著 アスコム

記事情報

参考文献

著者プロフィール

村岡祐菜(むらおか・ゆうな)
薬剤師・フリーライター
千葉大学薬学部薬学科卒業後、薬局薬剤師として約4年間勤務後、ライターとして独立。現在は不定期で薬局薬剤師として現場に入りつつ、医療関連のコラム制作や取材記事の制作に関わる。専門知識を一般の方にもわかりやすく伝える文章を書くのが得意。

制作

監修:吉原潔
取材・文:村岡祐菜

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