メニュー

2019.09.05

習慣化を妨げるのは2つの不安だった!解消法まで公開【習慣の心理学#31】

kencom公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

記事画像

習慣化をしようと思うと、どうしてもよぎる不安が2つあります。この不安が大きいほど習慣化は失敗しやすくなるのです。
その不安とはなんなのでしょうか。
今回は、その正体と対策についてご紹介したいと思います。

習慣化には常に「不安」がつきまとう

習慣化の成果を一瞬で求めてしまう矛盾が人を悩ませる

先日あたりからTwitterで男性の上半身がふたつ並んでいる写真で賑わっていました。どちらも同じ男性のもののようですが、どうやら「肉体改造の成果」がテーマのようです。

このようなビフォア・アフターはまさに習慣化の成果です。
筋トレ、ダイエット、語学、インテリア、園芸、どれもそれなりの期間が必要です。1日だとか、まして一瞬でどうにかなるようなものではありません。
そうとわかっていても、ビジネス書コーナーなどの「3日で」とか「1分間で」という言葉についのせられそうになります。ビジネス書著者の私ですら、そうです。

ちょっと裏話をすると、ビジネス書のタイトルの大半は、著者に任されていません。著者が介在すらできないケースもけっこうあります。やはり中身を書いた者としては、「あおっているつもり」であっても「3ヵ月で英語の基礎がわかる」などといった、地味で売れないタイトルをつけてしまいがちなのです。

閑話休題。
なぜ習慣化しようというのに、結果を急ぐのか。習慣化しようというからには長期間が必要だとわかっているのに、成果を「一瞬で」得ようとするのは矛盾と言えば矛盾です。

「時間がない」「やる気が続かない」という不安に耐えられない

この矛盾について、誰もが意識していないと言うことはないでしょう。
例えばダイエットしようという人が、「一瞬で10kg痩せる」のが危険だと、知らないわけではないと思います。

しかし、習慣化の成果を一瞬で欲しいというのは、もちろん結果が待てないということもあるし、効果をすぐに得たいということもあるわけですが、結局不安だからなのではないかと思います。
その中でも特に大きな不安の一例を挙げるなら

「時間がない」

でしょう。
ただでさえ忙しくてやりたいこと、やるべきことがたくさんあるのに、毎日30分ずつ取るというのは大変なことです。30分も時間を取るなら、成果は明日にでも欲しい、と考えてしまうのは至極普通のことでしょう。

また、早く成果を得ないと挫折してしまうという「やる気が続かない不安」もあります。ダイエットに精を出すのはつらいことです。すぐに痩せてきた体型が見えてこないと、やる気を失ってリバウンドしてしまいがち。いや、そもそも痩せる前に終了してしまうこともあるでしょう。
一見したところこの2つの不安、「時間がない」と、「やる気が続かない」は別の要因のように見えますが、習慣化を挫折させる原因としては、どちらもよく似たものです。
というより、切り離すことのできない、一体化した不安です。

つまり「早い結果」が必要なのは、時間ややる気を「失う」からなのです。
・時間を使った「のに」結果が出ない
・やる気があるからやった「のに」結果が出ない
・時間ややる気が「あるうち」に、結果を見せて欲しい。

私はこのように訴えては「すぐやめる」という人をたくさん見てきました。こうなると、何はともあれ発想を逆転させることが習慣化のカギと言えそうです。

習慣化したいなら不安を捨てよう!

発想の逆転をよりわかりやすく言うなら、「何はともあれまずは不安を捨てる」になります。
そのためには結果を一切気にしないという、本末転倒と言えば本末転倒な発想こそが必要になってくるのです。

目標を意識しないくらいなら、習慣化になど向かわないと言われるかもしれません。しかし、そんなことはないのです。
良いとされる習慣は、何かを変えます。もちろん、どんなに良い習慣でもすぐに体型を変えたり、すぐに体重を落とすことはできません。しかし、すぐに何らかの小さな変化を起こすことは可能なのです。

たとえば食事がおいしくなるとか、気分が良くなるとか、気持ちが前向きになるといった変化なら「すぐに」起こってもおかしくはないでしょう。

こういった「ちょっとしたことではあるが、即座に起きた変化」を重要視したいところです。そうすれば、長期的な目標に向かってはいるが、報酬そのものは最短で得られるという、かなり都合のいいことも可能になるからです。

頭から不安を追い出すようにしよう!

最初からは難しいと思うかもしれません。ですが、簡単なことから始めるだけでも変わります。
30分も○○をする「のに」、すぐに成果が得られないのではないかという「不安」をまずは頭から追い出して、代わりにちょっとした変化で頭をいっぱいにすることです。

習慣化がうまくいく人というのは、決まってこういう流れを活用しています。

著者プロフィール

■佐々木正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

あわせて読みたい

この記事に関連するキーワード