メニュー

2023.12.16

手足の冷えは自律神経の乱れから?背中を鍛えて血流を良くしよう【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

手足の冷えをもたらす血行不良は自律神経の乱れから?

Adobe Stock

Adobe Stock

寒くなると手足の冷えでつらい思いをする人が増えます。手袋や厚手の靴下を身につけたり、厚着や重ね着をしてもなかなか改善しない、そんな経験はありませんか?

たいていの場合、冷えの原因は血行不良と身体の熱産生能力の低下の2つです。血行不良は自律神経の乱れ、熱産生能力の低下は運動不足から起こることが多いものです。

そこで必要なのが自律神経を整えるストレッチ。筋肉に刺激を与えて熱を生産すれば、手足がポカポカになることが期待できます。

自律神経の乱れが血行不良につながるワケとは

心拍数や血圧・胃液の分泌・覚醒レベルなどを自由自在にコントロールできる人はいないはずです。これらは無意識のうちに身体が行っている行為で、自律神経が大きく関係しています。

Adobe Stock

Adobe Stock

自律神経には交感神経と副交感神経があります。

交感神経:闘争・逃走モード
副交感神経:摂食・生殖モード

となり、活動的なモードになる時には交感神経が優位、リラックスモードになる時には副交感神経が優位になる必要があります。どちらが良いというわけではなく、オンとオフのバランスが大切です。

冷え症の要因となる血行不良は、自律神経の乱れから起こることがあります。自律神経の中でも交感神経が優位になると末梢の血管が収縮しやすくなるため、手足への血流が悪くなるのです。

ストレスで優位になってしまう交感神経

Adobe Stock

Adobe Stock

現代人は、交感神経が優位になりやすいと言われています。その原因のひとつが仕事のストレス。過度なストレスは、リラックスモードである副交感神経の活性を低下させると考えられているのです。

また、デスクワークで身体を動かすことが少ないと、副交感神経への切り替えがうまくできない場合があります。多忙な生活の中で、起きる、立つ、歩く、座るなどの決まった動きしかしていないという方は意外と多いもの。適度に身体を動かせば、副交感神経を優位にする効果が期待できるのですが、座りっぱなしなど身体を動かすことが極端に少ないと、交感神経が優位になりがちです。

もしあなたがデスクワークなどで座りっぱなしの時間が多い場合は、1時間に1回、身体を少し動かすだけでかまいません。長時間の運動や激しい運動をしなくても、背骨を細かく動かすなど、ピンポイントで身体に刺激を入れるストレッチをしてみてください。つらい冷えが少しずつ解消できるはずです。

自律神経を整える2つのポイント

Adobe Stock

Adobe Stock

前章で説明したように、現代人のライフスタイルでは、多くの人が交感神経が優位になってしまっています。交感神経と副交感神経という2つの自律神経のバランスを整えるために、以下の2つのことを意識してください。

1. ゆっくり息を吐く
2. 身体を伸展させ筋肉をゆるめる

これが自律神経を整えるために、とても大切な2つのことです。

残念ながら、交感神経と副交感神経のどちらを優位な状態にするか、自分でコントロールすることはできません。しかし、呼吸をする時だけはそれが可能になります。息を吸う時は交感神経が活性化され、息を吐く時は副交感神経が活性化されるためです。ですから、息を吐くことを重視し、ゆっくりと行うようにします。

また、身体を伸展させる筋肉をゆるめることも重要です。身体を伸展させる筋肉には背中、股関節の前側、ふくらはぎの筋肉があります。なかでも背中の筋肉は呼吸をする時に重要な役割を果たします。

手足の冷えに対してのアプローチでも強い体幹を維持することが重要です。そこで、今回は体幹を鍛えるため、背中に効果のあるエクササイズをご紹介します。

背中を鍛えて自律神経を整えるエクササイズ

#01 背中をほぐして呼吸を整えるストレッチ

©yuya ishida

©yuya ishida

【やり方】
1. よつんばいの姿勢になります。
2. みぞおちあたりが頂点になるように背中を丸くします。
3. みぞおちを意識しながら背中を反らします。

1セット、10回行いましょう。

背中ではなくみぞおちを動かすイメージで行います。また、急に腰を反らせると危険ですのでゆっくりと動かすようにして、違和感があったらすぐに中止してください。余裕がある方は、背中を丸くしたタイミングで深呼吸を2回行うとより効果的です。

#2 背骨の動きをよくするストレッチ

©yuya ishida

©yuya ishida

【やり方】
1. 両膝立ちの状態で両手をまっすぐ前に伸ばします。
2. 手を伸ばしたまま背中をゆっくり丸めます。
3. 丸めきったところで床に手をつき、ゆっくり起き上がります。

1セット、5回行いましょう。

背中を丸める時は息をゆっくり吐きながら行いましょう。この時、目はおへそのあたりを見てください。背中を丸めることで背骨に刺激が加わり、動きやすくなって自律神経の改善につながります。

自律神経を整えて手足をポカポカに

自律神経が崩れやすい人は、実は背中を丸めるのが苦手という特徴があります。背骨をコントロールするストレッチをすれば、背骨が動きやすくなり、猫背にも効果的です。

背中を動かし、背骨を動かすことで自律神経の改善や血行の改善につながり、普段よりも冷えを感じにくく過ごせるようになるはずです。熱を作り出せる身体作りをして、手先までポカポカ冷え知らずな冬にしてみませんか。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

記事画像

石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

あわせて読みたい

この記事に関連するキーワード