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2021.05.17

健康は1日にして成らず!今から意識したいシニア世代の食事と栄養をおさらい

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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日本は世界でもトップクラスの長寿国。しかし、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)とは男女平均して10年ほどのへだたりがあります。今年からシニア世代の栄養についてお伝えしてきましたが、どんな栄養を意識したらいいのか覚えていますか?今回はもう一度、シニア世代の食事と栄養についておさらいしてみましょう。

健康寿命をのばす「6つの習慣」

1.適切な食生活
2. 適度な運動
3. 十分な睡眠
4. 禁煙
5. お酒と上手に付き合う
6. 歯・口腔の健康

上記の6つが大切とされています。

シニア世代の栄養と食事の特徴

シニア世代の栄養と食事の特徴は、基礎代謝や食事機能の低下をふまえて考える必要があります。高血圧や糖尿病など生活習慣病を発症している方の割合が多くなるうえに、歯や筋力など身体の個人差が大きくなるという特徴があります。

そのため質の高い食事が特に重要になってきますが、その中でも大切になるのが「たんぱく質」「カルシウム」「減塩」になります。

1.たんぱく質ってどうして大切なの?

「レンジで簡単!シニア世代の元気ごはんレシピ~たんぱく質を摂って丈夫な体に~」より

「レンジで簡単!シニア世代の元気ごはんレシピ~たんぱく質を摂って丈夫な体に~」より

シニア世代はどうしても食が細くなるため、たんぱく質が不足する傾向にあります。

たんぱく質は身体を支える筋肉の主成分なので、元気に過ごすためには必須なことは言うまでもありませんが、それだけでなく、内臓、皮膚、髪、骨、歯、腱や髄など、身体全体の大切な主成分でもあります。

血液やリンパ液などの体液、体の機能を調節するホルモン、食べ物の消化・吸収をはじめ体内の化学反応に不可欠な酵素、光や味、匂いなどの刺激を受け取るレセプターなどにもたんぱく質は大切な働きをしています。

このことからたんぱく質をしっかり摂ることが大切になるのです。

たんぱく質を多く含む食品

肉類、魚介類、卵、牛乳・乳製品、大豆製品に多く含まれます。肉類は脂肪の少ない部位の方がたんぱく質を沢山含んでいます。また動物性脂肪は動脈硬化の原因ともなるので脂質を多く含んだ部位は控えましょう。

2.カルシウムの重要性とは

「シニア世代の元気ごはんレシピ~「カルシウム」で元気な骨と歯を~」より

「シニア世代の元気ごはんレシピ~「カルシウム」で元気な骨と歯を~」より

シニア世代は男女とも骨量減少が著しく進む時期。特に女性はさらに早く、40歳代半ばころから閉経期に入り急激な骨量減少が進みます。

カルシウムは骨や歯の大切な主成分で、骨がもろくなると転倒などのちょっとしたことで骨折が生じ、寝たきりとなるケースもあるため普段から意識したい栄養です。またカルシウムは、骨や歯だけでなく細胞の情報伝達、筋肉の収縮、神経の働きをサポートするなど大切な役割を担っているとても重要な栄養素なのです。

カルシウムを多く含む食品

牛乳・乳製品や大豆製品、小魚に多く含まれています。

3.意識したい「減塩」について

「シニア世代の元気ごはん ~減塩と美味しいを両立するコツをロジカル解説~」より

「シニア世代の元気ごはん ~減塩と美味しいを両立するコツをロジカル解説~」より

シニア世代は味覚の低下も起こりやすく、濃い味付けを好み塩分過多になりがちです。高血圧や胃がんのリスクを高めるので控えましょう。摂取量の目安は女性6.5g未満、男性7.5g未満です。減塩の商品を使ったり、出汁や風味を上手に利用して塩分が少なくても美味しく食べられる工夫を意識してみましょう。

減塩するためのポイント

調理の際、味がぼやけてしまわないよう水分を入れない、レンジを活用する、片栗粉などを使ってとろみをつけ調味料を食材に絡める、食物繊維やカリウムを含む食品を摂るなど、実践していただきやすいポイントがたくさんあります。下のレシピ記事も併せてチェックしてみてください。

ビタミン、ミネラルなどの微量元素をたっぷり摂る

毎回お伝えすることですが、野菜をたっぷりかつ果物も適度に摂ることは、どの年代にも大切なことです。

野菜や果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、毎日摂ることはがんや循環器疾患、糖尿病の予防につながります。また、腸の蠕動運動の低下により便秘にもなりやすいため、野菜を摂ることは欠かせません。

厚生労働省は1日350gの野菜摂取を推奨していますが、生のままだとかなり多く感じるでしょう。炒める、ゆでる、蒸す等、加熱調理をするとかさが減り沢山の量でも食べやすくなります。果物は100gを目安に。みかんなら1個、いちごなら6粒程度です。果物にはビタミンCが豊富ですが果糖も多いので適度を心がけてください。

1日3食バランスよくが鉄則!

たんぱく質、カルシウム、減塩、野菜はたっぷり…とご紹介してきましたが、一度にどれかを多く摂るのは難しいものです。シニア世代こそ、うどんやトーストだけ、などの栄養が偏りやすいものではなく、主食、主菜、副菜を組み合わせ1日の栄養素を3回に分けてバランスよく摂ることが大切になってきます。

また健康は1日で作られるものではないため、習慣化していくことが大切です。習慣化は思ったよりもとても大変なもので、シニア世代の方だけでなくどの年代にも当てはまる良い食習慣ですので、自分には関係ないと思った方も、今から取り入れて健康寿命をのばす準備をしてみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)

管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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