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2021.03.08

シニア世代の元気ごはんレシピ~「カルシウム」で元気な骨と歯を~

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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日本は世界の中でもトップクラスの長寿国。そして長生きすると共に、いくつになっても元気にはつらつと過ごしたいですよね。

前回はたんぱく質について解説しましたが、今回はシニア世代に意識して摂ってほしい栄養素「カルシウム」とそのレシピをご紹介します。

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元気な骨と歯に欠かせないカルシウム

「カルシウム」は体内に最も多く存在するミネラルで、体重の1~2%を占めています。このうち99%は、骨や歯などのかたい組織に存在しています。

骨の中では新しい骨を作る『骨形成』と古くなった骨を壊す『骨吸収』が繰り返されています。この代謝に最も関与するのがカルシウムです。

細胞や筋肉、神経の働きにも欠かせない

また残り1%のカルシウムは、血液や筋肉、細胞に分布しています。細胞の情報伝達、筋肉の収縮、神経の働きをサポートするなど大切な役割を担っています。体の組織だけでなく、こうした働きにも重要な役割を果たしているのです。

年を取るにつれ骨量が減少する

しかし、そんなカルシウムの吸収率は年を重ねると低下していきます。吸収率のピークは12歳~17歳で45%ですが、18歳以降どんどん下がっていきシニア世代の65歳以上では約25%になってしまいます

なので、男女とも骨量減少が著しく進むと言われており、65歳以上の約1/3が骨密度が低くもろい状態の「骨粗しょう症」にかかっているというデータもあります。女性は40歳代半ば頃の閉経期から急激な骨量減少が進むため、特に骨粗しょう症にかかりやすいと言われています。

骨がもろくなると転倒などのちょっとしたことで骨折が生じ、寝たきりとなるケースもみられます。丈夫な骨を保つには成長期からカルシウムを摂ることが最善策ですが、シニア世代になっても遅くはありません!しっかりと摂って丈夫な骨と歯を保ちましょう。

続いては、カルシウムたっぷりなお手軽レシピをご紹介します。

お鍋1つですぐできる「厚揚げのシチュー」

材料(1人分)

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・厚揚げ 100g
・鶏のささみ 40g(大きめ1/2本)
・しめじ 30g(1/6株)
・牛乳 150ml

・コンソメ 小さじ1
・かたくり粉 小さじ1(大さじ1の水で溶いておく)

主な栄養素(1食分)

・318kcal
・たんぱく質 26.5g(1日に必要な量 男性の45% 女性の50%以上)
・カルシウム 410mg(1日に必要な量 男性の55% 女性の60%以上)
・鉄 3.1mg(1日に必要な量 男性の40%以上 女性の約50%)

作り方

1.厚揚げはひと口大に切る。ささみは筋を取りそぎ切りにする。しめじは石づきを取り除きほぐす。

2.小鍋にお湯を沸かし、厚揚げとささみを加え10秒ほどさっと茹で、ザルにあげる。

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3.2を小鍋に戻し、しめじを加え、コンソメを加えてまぶす。(コンソメが下味のかわりになります)

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4.牛乳を加えて中火にかけ、しめじがしんなりするまで3分ほど煮る。

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5.水溶き片栗粉でとろみをつけ、味を見て、必要があれば塩胡椒で味を調え出来上がり。

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食べ応えのあるほっこりスープが完成!

食べ応えのあるほっこりスープが完成!

カルシウムを無理なく摂るポイント&吸収率を上げるコツ

その1:牛乳やヨーグルトが最も効率的

カルシウムの吸収率は年齢で変わることはお話しましたが、食品によっても大きな差があります。

牛乳・乳製品は約50%、小魚は約30%、野菜、大豆製品は約18%と言われています。牛乳のカルシウムは吸収率が高いうえ、一回の摂取量も多いため、1日200ml(カルシウム220mg含有)を目安に取り入れましょう。

今回のように料理でもいいですし、カフェオレなどにして飲み物としてもOKです。このレシピでは牛乳150mlを使っているため、おやつに小さなヨーグルトをプラスするとより効率的になります。

その2:カルシウムを多く含む食品を意識する

他にもカルシウムを多く含む食品を意識して摂るようにしましょう。

例えば今回使った厚揚げのような大豆製品は意外にもカルシウムが豊富です。特に今回の厚揚げは100g当たりカルシウム240mgも含まれています。納豆には90mg、木綿豆腐93mg、高野豆腐630mgとかなりの高配合。大豆製品はたんぱく質も豊富なため積極的に摂りたい食品です。

他にも、しらす190mgや煮干し2200mgなどの骨ごと食べる魚はもちろんカルシウム豊富!しかし一度に沢山食べられないものなので、日ごろからコツコツ取り入れましょう。(カルシウム含有量は全て100g当たり)

その3:吸収率を上げる栄養素と一緒に

食品から摂ったカルシウムはまず胃酸などによって溶かされ、主に小腸で吸収されますが、小腸上部の吸収には「活性型ビタミンD3」が必要です。

そしてカルシウムを吸収するとき、小腸下部にリン酸があるとカルシウムが吸収されにくくなりますが、「CPP(カゼイン・ホスホ・ペプチド:牛乳中のたんぱく質)」はこのリン酸とカルシウムがくっつく邪魔をするのでカルシウムの吸収率を上げてくれるのです。

このようにカルシウムの体内吸収率は他成分の影響を受けるため、吸収率をあげる栄養素とその食品を覚えましょう。吸収率を上げるものは CPP、ビタミンD、クエン酸と言われており、以下のものに多く含まれます。

・CPP:牛乳、乳製品
・ビタミンD:きのこ類、きくらげ、鮭、卵
・クエン酸:レモン、みかんなどの柑橘系

これらを一緒に食べることで吸収率を上げることができるため、今回のレシピではしめじを加えています。

その4:カルシウム+運動でさらに骨密度アップ!

食べ物のお話をしてきましたが、摂ったカルシウムを骨に蓄えるには実は「運動」することが必要です。

適度な運動は骨に刺激を与え、新陳代謝を活発にしカルシウムの定着を助けてくれるのです。また、屋外の運動ならばビタミンDの活性を助けてくれる日光に当たるためさらに効果がアップ。

難しく考えず「天気の良い日は積極的に散歩する」を心がけましょう。

カルシウム摂取はポイントを抑えて効率的に

いかがでしたか?カルシウムは日本人に不足しがちなミネラルと言われています。いつまでも元気に、自分の足で動き、自分の歯で食べられるように積極的に摂るようにしてくださいね。

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著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)

管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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