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2021.01.18

平均寿命と健康寿命の違いって?シニア世代が意識したい食事の話

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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「若い頃のような体力がない」「膝や腰が痛い」など、年齢を重ねるにつれて日々の目標に「健康」を掲げている方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、健康を保つためにまず意識したい平均寿命と健康寿命の違い、日々の食事についてご紹介します。

平均寿命と健康寿命

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日本人の平均寿命をご存じですか?「人生100年時代」は決して大げさではありません。

厚生労働省のまとめによると、2019年日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳となり、女性も男性も過去最高を更新しています。諸外国と比較しても女性は世界1位、男性は2位で世界でもトップクラスの長寿国といえるでしょう。

それと共に忘れてはいけないのが「健康寿命」です。

健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされていて、起床、衣類着脱、食事、入浴などに制限がない期間のこと。つまり、平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「健康ではない期間」を意味します。

厚生労働省の平成25年簡易生命表によると、平均寿命と健康寿命には男女平均して約10年の差があることがわかっています。いくつになってもハツラツと過ごすためには、健康寿命をのばすことが大切になります。

健康寿命をのばす「6つの習慣」

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それでは健康寿命をのばすためには、具体的にどうすればよいのでしょうか。

それにはまず阻害している原因を知ることが大切です。健康寿命の最大の阻害要因とされているのが生活習慣病です。食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣により引き起こされる病気のことで、がん、循環器疾患、糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などがあります。

これを防ぐには下の6つが大切とされています。

・適切な食生活
・適度な運動
・十分な睡眠
・禁煙
・お酒と上手に付き合う
・歯・口腔の健康

ここでは1番目の「適切な食生活」について取り上げます。

シニア世代の栄養と食事の特徴とは?

シニア世代は、エネルギーの過剰摂取や低栄養など、個人差が大きくなる年代ともいえます。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症とともに、骨格筋をはじめ様々な組織の細胞数が減り、基礎代謝の低下とともに活動量も減るため、体内でのエネルギー消費が低下します。また、歯の欠落や、顎周りの筋力の低下による咀嚼機能の低下、味覚や嗅覚、消化機能など食事に関わる機能全般が低下するため食欲不振も招きやすくなります。

年齢を重ねるごとに消費エネルギーは低下しますが、たんぱく質やビタミン、ミネラルの必要量はそれほど変わりません。

お茶漬けや蕎麦、うどんなど、口当たりの良い簡単な食事では、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が十分摂取できず低栄養に陥ることもあるのです。その結果、骨量や筋肉の減少、体力低下などにつながり悪循環になってしまいます。

シニア世代こそ、基礎代謝や食事機能の低下をふまえた質の高い食事が大切になってくるのです。

たんぱく質をしっかり摂って丈夫な体に

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では毎日の食事で何を意識すれば良いのでしょうか。

前述のように、シニア世代の特徴として「たんぱく質」が不足する傾向にあります。たんぱく質は身体を支える筋肉の主成分。筋肉が衰えると足腰が弱くなり、活動が少なくなる要因にもなります。筋肉量の低下は加齢による現象でどうしてもおこることですから、なおさら積極的に筋肉を維持することが大切といえるでしょう。

また、たんぱく質は筋肉だけでなく、内臓、皮膚、髪、骨、歯、腱や髄など、身体全体の大切な主成分です。さらに、血液やリンパ液などの体液、体の機能を調節するホルモン、食べ物の消化・吸収をはじめ体内の化学反応に不可欠な酵素、光や味、匂いなどの刺激を受け取るレセプターなどにもたんぱく質は大切な働きをしています。

そのためまずは、たんぱく質をしっかりとることが大切になります。

たんぱく質を多く含む食品は?

肉類、魚介類、卵、牛乳・乳製品、大豆製品に多く含まれます。肉類は脂肪の少ない部位の方がたんぱく質を沢山含んでいます。また動物性脂肪は動脈硬化の原因ともなるので、脂質をたっぷり含んだ部位は控えましょう。

元気な骨に欠かせないカルシウム

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シニア世代は、男女とも骨量減少が著しく進む時期です。女性はさらに早く、40歳代半ば頃から閉経期に入り、急激な骨量減少が進みます。

カルシウムは骨や歯の大切な主成分。骨がもろくなると転倒などのちょっとしたことで骨折が生じ、寝たきりとなるケースもみられます。また、カルシウムは骨や歯だけでなく細胞の情報伝達、筋肉の収縮、神経の働きをサポートするなど大切な役割を担っているため、カルシウムをしっかりとることが大切です。

カルシウムを多く含む食品は?

牛乳・乳製品や大豆製品、小魚に多く含まれています。

塩分は控えめに

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シニア世代は味覚の低下も起こりやすく、濃い味付けを好み塩分過多になりがちです。塩分の摂りすぎは、高血圧や胃がんのリスクを高めるので控えましょう。

摂取量の目安は女性7g未満、男性8g未満です。

減塩の商品を使ったり、出汁や風味を上手に利用し塩分が少なくても美味しく食べられる工夫をしましょう。

ビタミン、ミネラルなどの微量元素をたっぷりと

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野菜や果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、毎日とることはがんや循環器疾患、糖尿病の予防につながります。また、シニア世代は腸の蠕動(ぜんどう)運動の低下により便秘にもなりやすいため、野菜をとることは欠かせません。

厚生労働省は1日350gの野菜摂取を推奨していますが、生のままだとかなり多く感じるでしょう。炒める、ゆでる、蒸す等、加熱調理をするとかさが減り沢山の量でも食べやすくなります。

果物は100gを目安に。みかんなら1個、いちごなら6粒程度です。果物はビタミンCが豊富ですが、果糖も多いため適量を心がけてください。

1日3食バランスよくが鉄則

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たんぱく質、カルシウム、野菜はたっぷりと、塩分は少なめに、とご紹介してきましたが、シニア世代こそ、うどんやトーストだけなどの栄養が偏りやすいものではなく、主食、主菜、副菜を組み合わせ1日の栄養素を3回に分けてバランスよくとることが大切になってきます。

健康は1日で作られるものではないため、習慣化していくことが大切です。健康寿命をのばし、いつまでも元気にハツラツと過ごすためにも、日々の食事に気を付けてみてください。

▼参考文献

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著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)

管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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