2024.05.23
大豆ミートで高たんぱく低カロリーを実現。ひき肉不要の野菜たっぷりキーマカレー【低脂質ごはん】
2019年に行われた『国民健康・栄養調査』によると、20歳以上の男女のうち、脂質異常症が疑われる人は24%。つまり日本人のうち4人に1人が脂質異常症、もしくは予備軍です。遺伝的な要因により発症する場合もありますが、脂質異常症の予防や治療の基本は、食生活をはじめとする生活習慣を改善することです。
本連載『低脂質ごはん』では、管理栄養士の磯村優貴恵さんに低脂質・低コレステロールな美味しいレシピを教えていただきます。
大豆ミートと彩り野菜のキーマカレー
今回取り上げるのは具材多めのキーマカレーです。カレーといえば食卓の定番。今回は具だくさんのキーマカレーを、大豆ミートをミックスして仕上げました。普段のようにひき肉だけで作ると脂質やコレステロールが気になりますが、大豆ミートを上手に活用するのは脂質異常症が気になる方にもおすすめ。エネルギーは500kcal以下に抑えた、彩りも豊かな栄養満点レシピです。
材料(2人分)
大豆ミート(乾燥) 40g ※戻してあるものを使う場合は100g程度
玉ねぎ 1/2個
にんじん 50g
ピーマン 1個
コーン(缶詰or冷凍) 30g
カシューナッツ(ロースト) 15g
にんにく 1片
生姜 1/2片
オリーブ油 大さじ1/2
カレー粉 小さじ2
塩 少々
【A】
カットトマト缶 200g
しょうゆ 大さじ1
トマトケチャップ 大さじ1
粗びき黒こしょう 少々
【もち麦ごはん】※炊き上がり約1.5合分。レシピで使用するのは炊き上がりの300g
白米 1合(約150g)
もち麦 50g
水 300mL
主な栄養成分(1食あたり)
エネルギー 443kcal
たんぱく質 18.4g
脂質 8.7g
コレステロール 1mg
炭水化物 78.9g
食塩相当量 1.95g
食物繊維 10.8g
糖質 68.1g
脂質異常症で注意していただきたいのが、動物性脂肪とコレステロールの多い食品の取りすぎです。『日本人の食品摂取基準(2020年版)』によると、脂質異常症の重症化予防の目的から、食品から摂取するコレステロールは1日200mg未満に留めることが望ましいとされています。本レシピでは1食あたり50mg以下ですので、基準内に抑えられます。
作り方
1. 白米ともち麦をあわせて研ぎ、水を加えて30分ほど吸水させたのち、通常モードで【もち麦ごはん】を炊く(詳しい炊き方はこのレシピのポイント参照)。
2. 乾燥大豆ミートは製品の表示通りに戻し、しっかりと水気を絞る。玉ねぎ、にんじん、ピーマンは1cmの角切りにし、にんにくと生姜はみじん切り、カシューナッツは粗く刻む。
3. フライパンにオリーブ油とにんにく、生姜を入れて弱火にかけ、香りが立ったら玉ねぎ、にんじん、ピーマンを加えて中火で炒める。
4. 玉ねぎが透き通ってきたら大豆ミート、カレー粉、塩を加え炒める。
5. カレー粉が全体に行き渡ったらコーンと【A】を加え混ぜ、蓋をして弱火で7〜8分加熱する。
6. 全体を混ぜ合わせたらもち麦ごはんとともに器に盛り、カシューナッツをちらして、できあがり。
このレシピのポイント
もち麦は、白米よりも水分多めで
もち麦を炊く場合、もち麦の重量×2の水が必要です。白米よりももち麦のほうが必要な水分が多いため、いつも通りに炊いてしまうとごはんが固くなるので注意してください。
今回は、2人分のレシピのため約1.5合のもち麦ごはんで
白米 150g(1合)
もち麦 50g
を準備しました。それぞれに必要な水分量は、
白米 200mL
もち麦 100mL
ですので、合計300mLの水を使用しています。
また、商品に水分量の表示がある場合は、その指示を参考にしてください。
ピーマンはじっくり加熱すると青臭さが消える
ピーマンは独特の青臭さがあり、苦手なお子さまも多い野菜ですが、じっくりと加熱することで青臭さが消え、食べやすくなります。今回のレシピでは、加熱の過程で材料を3段階に分けて鍋に入れています。ピーマンは、最初から加熱しているので、じっくりと火を通して苦味をやわらげます。
ピーマンには抗酸化作用や免疫力維持に欠かせないβカロテンやビタミンCも含まれていますので、レシピに加えて栄養価を高めましょう。
脂質異常を予防するためのヒント
#1 高たんぱく質で食物繊維が豊富な大豆ミートを活用しよう
今回ひき肉の代わりに使用したのは、大豆ミートです。
大豆ミートは、見た目や食感が肉のような大豆食品のこと。最近は取り扱っているスーパーも増えてきていますが、まだ食べたことがないという方も多いかもしれません。大豆ミートには、乾燥・レトルト、冷凍の3つのタイプがあります。おすすめは、長期保存しやすい乾燥タイプで、1分〜数分ゆでるだけでいつでも調理可能です。
形状もミンチ・スライス・ブロックなどさまざまで、使い勝手もよくなっています。
大豆ミートには、乾燥状態で100gあたり40〜50gものたんぱく質が含まれています。また、食物繊維も豊富ですので、脂質異常症が気になる方には積極的に摂っていただきたい食材です。
#2 カレー粉を使えば塩分も脂質も減らせる
市販のカレーのルーを使用すると手軽で味も決まりやすいのですが、脂質が多く高カロリー。カレー粉なら、脂質が抑えられるのはもちろん、スパイシーで本格的な味わいになり、減塩も簡単に叶います。味付けが難しそうに思えるかもしれませんが、レシピ通りに作れば簡単ですので、ぜひ挑戦してみてください。
#3 食物繊維で糖の吸収を穏やかに
食物繊維は糖の吸収を穏やかにしたり、腸内環境を整えたりするのに役立ちます。今回のキーマカレーは、大豆ミートや野菜、もち麦など様々な食材を組み合わせており、無理なく食物繊維を補うことができます。
もち麦のかわりにお好みで大麦や雑穀米、玄米などを混ぜてもOK。普段の食事に一工夫することで、食物繊維を多く摂るようにしましょう。
#4 ナッツを食べて、よく噛む習慣をつけよう
よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを予防できます。つい食べ過ぎてしまうという方は、食感を意識しながらひとくち30回を目安に噛む習慣を身につけましょう。
カレーは食材を煮込むので柔らかい仕上がりになりますが、カシューナッツのように食感の良いものを加えることでよく噛んで食べるものにできます。なお、ナッツ類は油や塩を加えてあるものもあるため、食塩・油不使用の「素焼き(ロースト)」を選びましょう。
記事情報
引用参考文献
著者プロフィール
磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。
制作
文・レシピ・写真:磯村優貴恵