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2019.09.13

コレステロールを食事から対策!注意したい食材や調理法

kencom公式:管理栄養士・圓尾和紀

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過剰に摂取すると動脈硬化の原因にもなると言われるコレステロールですが、食事の影響はどれくらいあるのでしょうか。コレステロールを多く含む食品の摂取は、実は直接的に血中のコレステロールを増やすわけではありません。

そもそもコレステロールは生体膜や胆汁酸の成分として人体にとって必要なものですが、その必要量の7〜8割は体内で合成されており、残りの2〜3割を食事からとっています。そして、食事からの摂取が多くなると、体内で合成する量を減らしてコレステロールが過剰にならないように調整をしているのです。しかし、脂質の一種である飽和脂肪酸をとりすぎると体内でコレステロールが増えやすくなるので、間接的とはいえ普段の食事が関係していると言えるのです。

一日の標準的な脂質の量はどのぐらい?

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量と合わせて不足している油にも目を向けて

厚生労働省が公表している基準によると、一日の脂質摂取量の目標量は摂取カロリーの20〜30%が良いとされています。これは仮に一日に2,000kcalとるとすると、約55gの脂質ということになります。しかし、ただこの量を守っていれば良いかというとそうではありません。一口に脂質といってもいろんな種類があり、最近では”油は量より質”だと言われる時代になりました。

たとえば肉の脂身や乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸や、サラダ油などに含まれるn-6系脂肪酸はとりすぎの人が多いものの、魚や亜麻仁油などに含まれるn-3系脂肪酸は逆に不足している人が多い傾向にあります。

油について考えるときは、とりすぎの油を控えて、不足している油を積極的にとるということが重要です。

代表的な脂質を多く含む食材は?

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マヨネーズやバターなどは少量に

油が多いものは食材でいうと肉の脂身や食用の油、マヨネーズ、バター、チーズなどです。同じ肉でも赤身の肉と霜降り肉やバラ肉では見た目でも油の量の違いが分かりますよね。たとえば同じ豚肉でもヒレ肉は100g中の脂質が3.7gと少ないのですが、バラ肉になると35.4gでなんと一気に10倍近くに増えます。

また、鶏肉も皮付きのもも肉の100g中の脂質は19.1gですが、皮をとると4.8gと大きく減り、皮には脂質が多く含まれていることが分かります。マヨネーズやバターは約8割が脂質なので、たった大さじ一杯のマヨネーズで約10g、一切れのバターで約8gの脂質量です。こういったものは少ない量でたくさんの脂質がとれてしまうのでとりすぎにつながりやすく、用心しないといけません。

とんかつやラーメンは食べてはいけないのか?

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脂分が多いため食べすぎは避けるべき

とんかつに限らず、揚げ物は衣が油を吸っているので必然的に油の摂取量が多くなります。中でもとんかつのように衣の量が多くなると、それだけ吸う油の量も増えてしまいます。たとえば外食で厚切りのロースカツ定食などを食べますと、それ一食だけで一日の上限を超えてしまうこともあります。

ラーメンも油は多く、特にとんこつラーメンなどのこってり系はやはり一杯で一日の脂質量を超えます。さらに塩分も一日の上限を超えてしまうので、食べてはいけないとは言いませんが、やはり体にそれなりの負担をかけることを覚悟した上で食べる必要がありますね。

脂質を抑えるために注意すべきポイント

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野菜中心でもドレッシングや調理法に気をつけて

先ほどご紹介した油を多く含むものをとりすぎないように気をつけることが必要です。

たとえば同じサラダでも、マヨネーズを使ったポテトサラダよりもグリーンサラダのほうが低脂質です。ただし、ドレッシングに関しては、ノンオイルタイプは油の満足感を補うために食品添加物や糖質が使われている場合があります。気になる方はオイルタイプのドレッシングを選んだり、自宅で料理する場合はオリーブオイルにサッとレモンを絞って塩胡椒する、などでも良いでしょう。亜麻仁油やえごま油などのn-3系脂肪酸が多い油を使うのもおすすめです。調理法でいくと、油を使って揚げたり炒めたりすると当然脂質が増えます。煮る、蒸すといった調理法を活用しましょう。コンロ周りの汚れが軽減されて洗い物も楽になります。

脂質を抑えるコツは伝統的な和食

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脂質を抑えるもっとも簡単な方法は伝統的な和食を食べることです。明治維新以降にできた和食(とんかつ、カレー、ラーメンなど)は脂質の使用が増えましたが、味噌汁に納豆、焼き魚に煮魚、煮物や和え物などは低脂質です。朝食にパンを選んでいる方はパン自体に含まれる脂質に加えて、バターなどを使うとさらに脂質が足されます。比べてごはんはお茶碗一杯食べても脂質はほぼゼロです。洋食ではなく、和食を食事の基本にするだけでも簡単に脂質の過剰摂取を抑えることにつながります。

コレステロールが気になる方は、改めて伝統的な日本食中心の食生活を考えてはいかがでしょうか?

参考文献

「外食のカロリーガイド」女子栄養大学出版部

著者プロフィール

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■圓尾和紀(まるお かずき)
株式会社ふること代表。“伝統食の良いところを現代に取り入れる”をコンセプトに活動する管理栄養士。テレビ、雑誌、ラジオなどのメディアへの出演やYoutube「カラダヨロコブチャンネル」でも情報発信を行っている。著書に『地味だけど「ほっとする」食べ方』がある。

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