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2024.06.27

しっとり仕上げるコツを伝授。ごまだれで食べる鶏むね肉のパワーサラダ【低脂質ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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2019年に行われた『国民健康・栄養調査』によると、20歳以上の男女のうち、脂質異常症が疑われる人は24%。つまり日本人のうち4人に1人が脂質異常症、もしくは予備軍です。遺伝的な要因により発症する場合もありますが、脂質異常症の予防や治療の基本は、食生活をはじめとする生活習慣を改善することです。

本連載『低脂質ごはん』では、管理栄養士の磯村優貴恵さんに低脂質・低コレステロールな美味しいレシピを教えていただきます。

ごまだれで食べる鶏むね肉のパワーサラダ

高たんぱく質で低脂肪な鶏むね肉は、健康意識の高い人や筋トレ中の方に人気の食材のひとつ。しかし、適度にコレステロールを含んでいるので、脂質異常症が気になるなら、食べ過ぎには注意が必要です。

今回ご紹介するのは、たっぷりの野菜とともに鶏むね肉をいただくパワーサラダ。パサつきがちな鶏むね肉をしっとりと仕上げて、暑い夏にも食べやすくアレンジするコツをお届けします。

材料(2人分)

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鶏むね肉(皮なし) 200g
塩 少々
日本酒 大さじ1/2
片栗粉 小さじ2

【ごまだれ】
ねりごま 大さじ1強(約20g)
しょうゆ 大さじ1
酢 大さじ1
砂糖 小さじ1
かつお節 1g
熱湯 大さじ1

【サラダ】
キャベツ 100g
かいわれ大根 1パック
トマト 1個

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー 236kcal
たんぱく質 28.2g
脂質 8.4g
炭水化物 14.8g
食物繊維 3.5g
糖質 11.3g

脂質異常症で注意していただきたいのが、動物性脂肪とコレステロールの多い食品の取りすぎです。『日本人の食品摂取基準(2020年版)』によると、脂質異常症の重症化予防の目的から、食品から摂取するコレステロールは1日200mg未満に留めることが望ましいとされています。本レシピでは1食あたり70mgほどですので、1食あたりで考えると基準値くらいです。ほかのメニューはコレステロール低めにすることを意識すると良いでしょう。

作り方

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1. 鶏むね肉はひと口大のそぎ切りにし、表面を包丁で軽く叩いてボウルに入れたら塩と酒を揉みこむ。10分ほどおいたのち、片栗粉を揉みこむ。

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2. 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、沸騰したら弱火にして、1の鶏むね肉を1つずつ入れ、火が通るまで3分ほど加熱したのち、冷水にとり冷やす。粗熱が取れたらザルに上げ、冷蔵庫で冷やしておく。(詳しい鶏むね肉の加熱方法はこのレシピのポイント参照)。

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3. ごまだれを作る。耐熱容器に熱湯とかつお節を入れ混ぜ合わせる。別のボウルにねりごまと砂糖と混ぜ合わせ、醤油と酢を併せたものを3~4回に分けて加え、その都度ヘラなどで混ぜ合わせる。最後に粗熱の取れたかつお節を混ぜ合わせる。

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4. キャベツは千切りにし、半分の長さに切ったかいわれ大根と混ぜ合わせる。トマトはひと口大の乱切りにして、サラダのベースを準備する。

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5. 器にキャベツ、かいわれ大根、トマトを盛り、水けをしっかりと切った鶏むね肉を乗せ、ごまだれをかけたら出来上がり。

このレシピのポイント

鶏むね肉をしっとり仕上げるコツは片栗粉

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鶏むね肉は脂質が少ない分、加熱するとパサつきやすいという特徴があります。そこで、軽く叩いて繊維を断ち、片栗粉でコーティングをするのがおすすめです。

また、沸騰したあと弱火にしたお湯でゆっくりと加熱をすることで、しっとりと柔らかく仕上げることができます。ボコボコと沸騰した状態のお湯に鶏肉を入れると、硬くなりやすかったり、片栗粉がはがれやすくなったりします。弱火〜弱めの中火で加熱するようにしてください。

もし、火が通っているか心配な場合はいくつか取り出して半分に切って、中心まで火が通っているか確認するとよいでしょう。

乱切りトマトで表面積を増やす

トマトは乱切りにすることで表面積が増え、ごまだれが絡みやすくなります。食材は、切り方を工夫することで少ない調味料でも満足感を得られ、余分な塩分や脂質を控えることができますので、工夫してみてください。

ねりごまは少しずつ加えてなめらかな仕上がりに

ねりごまは、たくさんの水分を一度に加えると分離して混ぜにくくなる性質を持っています。数回に分けて液体を加えることで、なめらかな仕上がりになります。

脂質異常を予防するためのヒント

#1 脂質を控えたいときは鶏皮をはがして調理

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鶏むね肉はもも肉と比べて脂質の量が少ないのが特徴です。では、鶏むね肉についている皮は脂質にどう関係しているのでしょうか。

皮つきと皮なしを比較した場合、コレステロールの量はあまり変わりません。しかし、飽和脂肪酸の量に違いがあります。『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年脂肪酸成分表編』によれば、可食部100gあたりの飽和脂肪酸含有量は下記の通りです。

・若どり むね 皮つき 生:1.53g
・若どり むね 皮なし 生:0.45g

動物性の脂質を少しでも控えたい場合は、皮なしを選ぶとよいでしょう。

#2 ごまにはビタミンEが豊富

ごまには、抗酸化作用を持つビタミンEが多く含まれています。抗酸化作用のある食材を上手に取り入れることで身体を傷つけ、生活習慣病の原因にもなる活性酸素の増加を抑えることにも役に立ちます。

#3 キャベツはなるべく切ってすぐ食べよう

キャベツには腸内環境を整える食物繊維や、抗酸化作用のあるビタミンCなど身体にうれしい栄養素が含まれています。
最近ではカット野菜も多くみられとても便利ですが、鮮度が落ちたり、水にさらしたりするとビタミンCは流れ出てしまいます。栄養面を考えると、キャベツは食べる直前にカットしてすぐに食べるようにするとよいでしょう。

#4 かいわれ大根は使いやすく栄養も優秀

脇役になりがちなかいわれ大根ですが、実はβ-カロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンC、などのビタミンに加えてカリウム、カルシウムといったミネラルも含む栄養価の高い緑黄色野菜です。

また、かいわれ大根に含まれるβ-カロテンやビタミンKは油と相性の良いビタミンであるため、脂質を含むねりごまとの相性がよいので今回のレシピは栄養効率の高い組み合わせといえます。

さわやかな辛味は暑い時期にも合いますし、安価でお財布にもやさしいので、この季節に積極的に活用したい野菜です。

記事情報

引用参考文献

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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