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2023.11.04

ウォーキングの準備はできてる?痛くならない足作り【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

足底はウォーキングの重要な要。歩いても痛くならない足作り

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暑さが和らぎ、過ごしやすい気温になるとウォーキングを始める人が増えますが、この時期は、整形外科に足の痛みを訴えて来院する方が多くなる時期でもあります。その多くが抱えているのが、足底(そくてい)つまり足裏の痛み。せっかくの運動習慣が痛みのために継続できないのは残念です。

ウォーキングを継続するためには、足底をケアすることから。今回はウォーキングを長く続けられるための、痛みを生じさせない足底のケアについてご紹介します。

足底の痛み、その原因は?

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足底腱膜炎の痛みは、歩き始めに痛みが出るのが特徴です。痛みが生じるタイミングとしては、かかとが地面に着いたタイミングと、かかとが浮いて蹴り出すタイミングが多いです。

・扁平足(へんぺいそく)
・外反母趾
・運動不足
・身体が硬い

足や身体にこのような悩みを抱える方は、ウォーキングで足底に痛みが出る可能性があります。足底ケアを実践して「足が痛くて歩けない」という状態にならないコンディションを作っていきましょう。

足底は体重を支えている

足底は体重を支える重要な役目を果たしています。歩くときに足底にかかる衝撃は、約1.2〜1.5倍と言われています。足底にかかる衝撃を和らげるのが足底腱膜(そくていけんまく)。そして、それらの衝撃を和らげるためにアーチ状になっているのが“土踏まず”です。

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ウォーキングを続けるうちに、足底腱膜炎になる場合があります。足底腱膜炎は、歩き始めに痛みが出るのが特徴です。

よくある原因は、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性低下(足の後面全体の柔軟性)、足部のアーチ低下、かかとの骨の下の脂肪帯の硬さなど。足底腱膜は、足全体の影響を受けるため、足裏をマッサージすれば解消するということではありません。

例えば、普段運動する機会が少なく、デスクワークがメインの人は、座り過ぎによって座圧がかかり、血流が悪くなるため、腿裏のハムストリングスからふくらはぎの下腿三頭筋までの柔軟性が低下します。その結果、足底に負担がかかりやすくなってしまうのです。

扁平足は足底に大きな負担がかかる

扁平足とは、土踏まずがなく、足裏が真っ直ぐになってしまう状態です。脚の柔軟性が落ちると、血流が悪くなり、組織中の酸素が減って代謝が阻害されてしまいます。その結果、筋力の低下とともに足部のアーチも低下してくるため、扁平足になりやすくなります。

扁平足になると、アーチによってコントロールしていた体重の圧を分散できなくなり、足底の脂肪帯に負荷がかかり痛みが生じます。すると、足底腱膜が引き伸ばされた状態になるため、蹴り出そうとするとさらに足底腱膜が引き伸ばされて負荷がかかるため、蹴り出し時に痛みが出ます。

足の柔軟性が低下すると扁平足になる可能性があり、足底の痛みにつながってしまうのです。

ウォーキング前にチェックするべき3つのポイント

あなたの足は、ウォーキングに対応しているか、まずはチェックしてみましょう。もしひとつでも当てはまったら、後半でご紹介するエクササイズを実践してみてください。

Check1.土踏まずのアーチはある?

多くの人は、足の筋肉の柔軟性が低下していて、アーチも保てていない状態でウォーキングをしてしまっています。そのために歩いているうちに足底腱膜に負担がかかり続け、痛みが出てきてしまいます。

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【チェック方法】
裸足になって、自分の足底が地面に対してどのような形になっているかチェックしてみましょう。写真(右)のように土踏まず部分に隙間ができていればOKです。写真(左)のように地面に対して真っすぐであれば、扁平足気味の足底になっている可能性あり。

Check2.足の後面の筋肉に柔軟性がある?

下半身には大きな筋肉があり、足の柔軟性を高めることは全身の血流をよくするためにも効果的です。まずは足後面の柔軟性が十分かどうか確認しましょう。

【チェック方法】
裸足になって、足を前にまっすぐ伸ばして座ります。足首を90度に曲げ、そこから10度以上反ることができれば柔軟性は十分です。

Check3.足底全体は柔らかい?

あまり意識したことがある方は多くないと思いますが、足底が硬いと立ち姿勢のバランスがとりにくく、骨盤や腰にも負担がかかります。足底の柔らかさを確認しましょう。

【チェック方法】
足底を手の指で押してみましょう。強い反発感があれば硬く、なければ柔らかいといえます。足底の硬さを定期的に確認するうちに、変化を感じられるようになりますので、ストレッチ前後の足底の柔らかさを覚えておくと良いでしょう。

長距離歩ける!ウォーキング対応の足裏エクササイズ

#01 足後面全体のストレッチ

©️yuya ishida

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【やり方】
1. 仰向けになり、足首を90度に曲げます。
2. 右足を天井にむけてあげます。このとき、右足の膝をできる限りまっすぐと伸ばしてください。脚の裏側が全体的に伸びていたらOKです。
3. 限界まで足を上げたらその場で3秒キープ。誰かに足を支えてもらえるなら、8秒以上キープしましょう。左側も同様に行います。

1セット左右10回ずつ行いましょう。

膝がまっすぐであること、足首を90度に保つことが大事なポイントです。硬すぎてなかなか上がらない場合は、タオルを足底にひっかけて伸ばしてもよいでしょう。

下肢の柔軟性低下が、足底の痛みの足底の痛みの大きな原因になりますので、ハムストリングス、下腿三頭筋までしっかり伸ばしましょう。

#02 足底をほぐすマッサージ

©️yuya ishida

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【やり方】
土踏まずのあたりにストレッチポールや、缶のような筒状のもので、かかとから土踏まずまでを全体的にコロコロとマッサージします。足裏を指で押してもよいですが、強く押す必要はありません。軽く押して、気持ちいい程度と感じるで大丈夫です。

1日3〜5分程度続けましょう。

#03 ハムストリングスの収縮エクササイズ

©️yuya ishida

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【やり方】
1. うつ伏せになります。
2. 1、2、3、4のカウントでゆっくりと膝を曲げます。膝裏が縮む感覚があるところまでまがればOKです。

1セット10回で2セット行います。

このエクササイズは簡単ですが、ハムストリングスを収縮させ、足底を支える筋肉の1つである腓骨筋(ひこつきん)が鍛えられます。足の柔軟性が改善されても、足底のアーチを支えるだけの筋肉が弱いとアーチが潰れてしまいます。ですからこのエクササイズでしっかりと継続して足を正しい位置にキープする力をつけることが重要なのです。

小さなエクササイズを重ねて楽しく歩ける足づくりを

ビジネスパーソンは特に下肢の後面の柔軟性も筋力も低下しがちです。面倒くさがらずに、しっかりとストレッチや収縮トレーニングを行うことが、楽しみながら、ウォーキングを継続する近道です。すでに痛みや違和感がある人は、医療機関に相談したり、ダイレクトにマッサージをして足の硬さを改善させましょう。

季節の移り変わりを楽しみながら、しっかりウォーキングができるコンディションにして、運動習慣を身につけましょう。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

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