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2023.07.20

混ぜて、チンして、冷蔵庫へ。あっという間にできるみかんゼリー【電子レンジ活用レシピ】

kencom公式:管理栄養士・前田量子

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調理科学に基づいたロジカルレシピが人気の料理家・前田量子さんによる、電子レンジ大活用レシピ。今回は暑い夏にぴったりなデザート、みかんゼリーです。とても簡単ですので、お子さんと一緒に作っても楽しいレシピです。

混ぜて、チンして、冷蔵庫へ。簡単にできるみかんゼリー

簡単3ステップで、みかんゼリーが調理できます。

材料(4人分)

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みかん缶詰 1缶(総量425g、固計量240gのものを使用)
ゼラチン 5g
水 30ml

主な栄養素(1人分)

エネルギー 72kcal
たんぱく質 1.5g
炭水化物 16g
カリウム 106mg
ビタミンB1 0.05mg

作り方

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1. 耐熱容器に水を入れ、ゼラチンを振り入れふやかす。
※ふやかす時間は商品によって異なるため、商品説明書を参考にしてください。

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2. 電子レンジ600wで20秒加熱する。十分溶けていることを確認し、溶けていないようだったら様子を見ながら5秒ずつさらに加熱する。

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3. 溶けたゼラチンをスプーンなどでかき混ぜながらみかん缶を入れてよく混ぜる。冷蔵庫で2時間ほど冷やし固める。

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4. ゼラチンが固まったら完成!

このレシピのポイント

①ゼラチンは沸騰させない

ゼラチンの原料はコラーゲンという動物性のたんぱく質です。加熱温度が高すぎると固まる力が弱くなる傾向にあります。ゼラチンがしっかり溶けるのは50度程ですので、熱しすぎて沸騰させないように注意しましょう。

②水を温めるときは電子レンジの調理時間は100gあたり1度1秒を目安に

電子レンジ調理は時短になり、周りも汚れにくい等のメリットがあります。しかし電子レンジの欠点は一度入れてしまうとどのくらい加熱されているか分からず、加熱時間で悩んでしまうこと。ですから、時間を割り出すには重さを計ることがとても重要になります。

電子レンジは水分などに直接作用して発熱するメカニズムで、重量に正比例する特徴を持っています。例えば100gの食材が1分で火が入るというものだったら200gなら2分、300gなら3分といった具合です。

電子レンジ600wで加熱するときに、100mlの水が1秒間で約1度上昇していきます。水温が20度と仮定して、30mlの水を30度以上あげればよいので、30(度)×0.33(l)≒10秒~70(度)×0.33(l)≒23秒となります。今回は20秒の加熱をすることで沸騰させることなくゼラチンを溶かせるということになります。ただし、電子レンジの機種や使用状況により変わることがありますので、お気を付けください。

③果物は缶詰を使う

季節のフルーツでゼリーを作ってみたものの固まらなかった、という経験はありませんか。その原因は果物が持つ“プロテアーゼ”という酵素が原因です。

プロテアーゼとはたんぱく質分解酵素のことで、ゼラチンはたんぱく質でできているため、この酵素で破壊され固まらない、というメカニズムです。このプロテアーゼはパパイアやキウイ、パイナップル等に豊富に含まれる傾向にあります。

これらのフルーツを使いたい場合はプロテアーゼの働きをなくしてから、使えばOK。酵素の働きをなくすというと難しく感じるかもしれませんが、方法はいたってシンプルです。“加熱”することで酵素の働きを抑えることができます。ですから、固まりにくいフルーツを使ってゼリーを作りたい場合は、加熱したものをご利用ください。缶詰は加熱処理されていますのでゼリー作りにぴったりです。

④ゼラチンの量は液体の2~4%

ゼリーを作る際、ゼラチンの量に悩むことはありませんか。一般的に使われる量は液体に対して2〜4%です。よく流通している個包装のゼラチンは5gが多いのですが、5gで固められる量は125ml〜250mlです。

今回は缶詰の液体185gにふやかす水の量30gを足した215gを固めるので、5gでちょうどよい量でした。また、ゼラチンは冷やし固める時間が長いほどかたくなる傾向にあります。やわらかめのとろける食感で良い、または翌日までなど冷やし時間をかなり長くとれるならば、1%でも大丈夫です。

このレシピの栄養ポイント

夏の水分補給に。ただしあくまでも適量で

ゼリーは水の含有率が高いため、水分補給にもなる食べ物です。夏場は水分を積極的にとりたい季節。夏にぴったりなおやつといえるでしょう。

ただし、消化吸収が早い糖分ですので血糖値が上がりやすい傾向に。1日200kcalを限度に一度に摂りすぎないようにしましょう。

穀類の栄養価をサポートしてくれる

ゼラチンの原料はコラーゲン。コラーゲンはたんぱく質ですので、効率的なたんぱく摂取に良いのでは?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、必須アミノ酸が少ないため、アミノ酸スコアは低いとされています。

ただし、必須アミノ酸のリジンの含有率は高く、100gあたりの含有量は3600mg。これは食品成分表に掲載されている全食品の中でも32位と高い順位です。逆に穀類にはリジンがあまり含まれておらずアミノ酸スコア(※)が低い傾向ですので、ゼラチンを摂ることで穀類のアミノ酸スコアがサポートされ、体内で使われるたんぱく質の量が高まります。

アミノ酸スコアが低いからゼラチンを摂るのはあまり意味がないと言われることもありますが、よく口にする穀類の栄養価をサポートしてくれる縁の下の力持ち的な存在なのです。

※アミノ酸スコアは、必須アミノ酸が、人間の身体にとって望ましい量に対してどれくらいの割合で含まれているかを示す指標。この値が高いほど良質なたんぱく質とされています。

【電子レンジ調理の注意点】

電子レンジを正しく使えば、毎日の料理が時短で簡単。キッチンも汚しにくいため家事の心強いパートナーとなってくれます。
ただし使い方を誤ると事故につながることもあるため、以下の注意点に気をつけて活用してみてくださいね。

1. 電子レンジ対応のお皿を使う

電子レンジに使用できる器は、耐熱ガラス・耐熱陶器・ぺーパータオル・クッキングシート・ポリプロピレンなど、食品用の容器となります。ただし、この素材でも電子レンジ未対応の物があるので、必ず電子レンジ対応と書かれているものを使うようにしてください。

2. レシピの量と時間を守る

電子レンジを使う際は、まずレシピ通りの量や時間を守りましょう。食材によって加熱時間も多少変わるので、まずはレシピ通りに。その後、足りなければ再加熱するのがおすすめです。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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前田量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

制作

文・レシピ・写真:前田量子

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