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2023.02.16

3大ミネラルで生活習慣病予防!小松菜と厚揚げしいたけのレンジ煮びたし

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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調理科学に基づいたロジカルレシピが人気の料理家・前田量子さんによる、電子レンジ大活用レシピ。

2月は生活習慣病予防月間。高血圧予防効果が期待できる3大ミネラルを意識したレシピをご紹介します。

簡単で栄養たっぷり!小松菜と厚揚げしいたけのレンジ煮びたし

今回は、作り方がとっても簡単!材料を全てボウルに入れてレンジにかけるだけ。しかも栄養価抜群の優秀なレシピです。

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【材料(1人分)】

厚揚げ 100g
小松菜 100g
しいたけ 2本
白出汁 大さじ1
生姜 少々

主な栄養素

カロリー 150kcal
たんぱく質 13.6g
カリウム 1111mg
カルシウム 410mg
マグネシウム 71mg

作り方

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1.小松菜は長さ4cm、厚揚げは縦半分に切ってから厚さ1cm、しいたけは薄切りにする。全ての材料を耐熱ボウルに入れる。

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2.ラップをして600wで5分加熱し、全体を混ぜ合わせれば完成。

このレシピのポイント

①小松菜としいたけを下にしてレンジへ

小松菜やしいたけは、味がしみこんでいると美味しく食べることができます。耐熱容器に入れるときは、入れる順番に気をつけましょう。

②電子レンジの調理時間は100gあたり2分を目安に

電子レンジ調理は時短になり、調理器具も汚れにくいなど、メリットがたくさん!しかし、電子レンジの欠点は一度入れてしまうとどのくらい加熱されているか分からず、加熱時間で悩んでしまうことです。

時間を割り出すには重さを量ることがとても重要になります。電子レンジは水分などに直接作用して発熱するメカニズムで、重量に正比例する特徴を持っています。例えば100gの食材が1分で火が入るというものだったら200gなら2分、300gなら3分といった具合です。

今回の小松菜や厚揚げは100gあたり電子レンジ600wで1分半で良いのですが、きのこは2分くらいが目安です。煮びたしは少しくたっとしているくらいが美味しいので2分にしましょう。総重量は約250gなので、5分です。この公式さえわかっていれば、レシピがなくても調理可能です。
※加熱時間は、電子レンジの機種や使用状況により変わることがありますのでお気を付けください。

このレシピの栄養ポイントは3大ミネラル

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2月は、生活習慣病予防月間。高血圧予防効果が期待できる3大ミネラル(カリウム・カルシウム・マグネシウム)を意識したレシピをご紹介しました。

高血圧予防対策の代表は減塩です。厚生労働省が食塩摂取の目標値を定めており、2020年の改定後は男性7.5g、女性6.5gとなっています。これはWHO基準5g未満という数値より高くなっています。

日本の食文化と塩は深い関わりがあるため、急に食文化を変えるのは難しく、徐々に減らすため、中央値をとるようにしているためです。そこで減塩だけでなく、体から塩分を排出する効果が期待できる栄養素も注目するべきでしょう。その栄養素が3大ミネラルと言われる、カリウム・カルシウム・マグネシウムです。それぞれの説明をしていきましょう。

カリウム

■機能

カリウムは体液の浸透圧を調整したり、神経や筋肉の情報伝達にも関係している重要なミネラルです。特筆すべきはナトリウムの排出を促す作用です。

■摂取量の目安

1日の目安量は18歳以上の男性で2,500mg、女性で2,000mgとなっています。また目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です。

日本人の摂取量は不足傾向にあります。積極的に摂って欲しい栄養素ですが、腎臓機能に障害がある方は注意が必要です。健康な人の場合、摂取量を増やすことによって血圧低下、脳卒中予防につながることが様々な実験や疫学調査により分かってきています。

カリウムは汗で排出されてしまうため、多量の汗をかくと浸透圧の調整がうまくいかず脱水症状を起こすことも。通常の健康な状態でバランスの良い食事をしていればカリウムは欠乏しません。しかし下痢・嘔吐などで大量に損失すると、浸透圧調整機能が崩れたり、食欲不振などを引き起こすこともあります。

■多く含む食材

カリウムを多く含む食材は、野菜全般、きのこ、海藻、芋類、大豆や果物です。今回のレシピでは野菜、きのこ、大豆製品を組み合わせることで1111mgも摂取できています。

ただし、カリウムは腎機能が低下している人が摂り過ぎると、高カリウム血症になる心配があるので注意が必要。その場合はかかりつけの医師に相談してみてください。

カルシウム

■機能

体内に最も多く存在するミネラルで、体重の1〜2%を占めています。このうち、99%は骨や歯などの硬い組織に、残り1%は血液や筋肉、細胞に分布しています。

細胞の情報伝達、筋肉の収縮、神経の働きをサポートするなど大切な役割を担っています。

■摂取量の目安

1日の推奨量は30〜74歳の男性で750mg、女性で650mgとなっています。

日本人の摂取量は不足傾向にあります。不足すると骨粗鬆症のリスクが高まり、特に閉経後の女性では吸収率が低くなるため、積極的に摂取してほしい栄養素です。

■多く含む食材

チーズやヨーグルト、牛乳などの乳製品、しらすや鯖缶、鮭の中骨缶などの骨ごと食べられる魚、ひじきなどの藻類、ごまやアーモンドなどの種実類、小松菜や青梗菜等の緑黄色野菜等があります。今回は緑黄色野菜をたっぷり使うことで、450mgも摂ることができます。また、厚揚げにも豊富に含まれますので、乳製品や魚が苦手な方にも効率よく摂れるレシピとなっています。

マグネシウム

■機能

骨や歯の形成に深く関与しており、全体の50~60%は骨に存在しています。

またマグネシウムは300以上の酵素の働きを助ける役割を担い、炭水化物、脂質、タンパク質の代謝や体温の調節、神経の伝達、筋肉の収縮にも関与しています。

■摂取量の目安

1日の推奨量は30〜64歳の男性で370mg、女性で290mgとなっています。

日本人の摂取量はやや不足気味となっています。不足すると低マグネシウム血症となり、吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、食欲不振、筋肉の痙攣、ふるえ等を招くことがあります。

■多く含む食材

マグネシウムを多く含む食材は、にがり、海苔やわかめなどの藻類、しらす、あさりなどの魚介類、豆腐、油揚げなどの豆類などです。

このレシピでは厚揚げに豊富に含まれているため71mg摂ることができます。もっと沢山摂取したい場合はにがりを数滴加えるとさらに良いでしょう。

【電子レンジ調理の注意点】

電子レンジを正しく使えば、毎日の料理が時短で簡単。キッチンも汚しにくいため家事の心強いパートナーとなってくれます。

ただし使い方を誤ると事故につながることもあるため、以下の注意点に気をつけて活用してみてくださいね。

1. 電子レンジ対応のお皿を使う

電子レンジに使用できる器は、耐熱ガラス・耐熱陶器・ぺーパータオル・クッキングシート・ポリプロピレンなど、食品用の容器となります。ただし、この素材でも電子レンジ未対応の物があるので、必ず電子レンジ対応と書かれているものを使うようにしてください。

2. レシピの量と時間を守る

電子レンジを使う際は、まずレシピ通りの量や時間を守りましょう。食材によって加熱時間も多少変わるので、まずはレシピ通りに。その後、足りなければ再加熱するのがおすすめです。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

制作

文・レシピ・写真:前田 量子

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