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2020.05.30

意外と辛い膀胱炎にまつわるお悩みを医師が解決!

kencom公式ライター:森下千佳

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女性には極めて一般的な病気「膀胱炎」。繰り返す原因は、普段何気なく続けている生活パターンなのかも?デリケートな部分なだけに、なかなか人に聞けない膀胱炎の悩みを国立国際医療研究センター病院泌尿器科の野宮明先生にヒアリングしました。

膀胱炎にまつわる4つの悩みQ&A

Q.トイレの際は必ずビデを使って清潔にしていますが、膀胱炎を繰り返します。なぜでしょうか?

A.温水洗浄便座のビデ機能の多用はお勧めしません。病院でも膀胱炎を繰り返す患者さんに、ビデをやめてもらうとそれだけで症状が改善する場合がよくあります。

温水洗浄便座の多くは、お尻とビデを洗うノズルが一緒になっている構造なので、シャワーを噴射するノズルは無菌状態とは言えません。そのノズルから噴射される水で尿道や膣を洗ってしまうと、除菌ではなく、逆に菌を添付している行為になってしまう可能性が考えられます。
排尿時は紙で拭くだけで十分ですが、月経時の経血が気になる場合は、お風呂のシャワーを使用したり、使い終わったペットボトルなどをよく洗って、そこにぬるま湯を入れ、トイレで陰部を流して洗浄するなど工夫ができるといいですね。

Q.性行為をした翌日に膀胱炎になりました。菌などが入ったのでしょうか?

A.これもよく受ける相談ですが、性行為と膀胱炎は深く関わりがあります。性行為時は、尿道口を含めた外陰部が不潔になりやすいため、ケアを何もしないでいると膀胱炎になることがあります。性交渉後は、菌を洗い流す意味で排尿を行い、シャワーを浴びて外陰部を清潔に保つ習慣を付けましょう。

Q.膀胱炎によくなります。便秘がちですが何か関係がありますか?

A.便秘がちで膀胱炎を繰り返している方は、背後に神経疾患がある場合があるので、一度病院に相談してみましょう。また、排便後のお尻の衛生状態や拭き方によっては、便の中の腸内細菌を尿道口につけてしまい、膀胱炎になるリスクが高まるので、お尻をよく拭いてきれいに保つ、お尻は前から後ろに向かって拭くことを守りましょう。

膀胱内には少量の菌が悪さをせずに存在することがあります。そういった菌も増えると膀胱炎を起こしますので、増殖を防ぐため、十分な水分補給をする、ストレスをためない、お酒を飲み過ぎないなど生活習慣を整えることも意識しましょう。

Q.膀胱炎を繰り返します。なかなか病院にいけないので、市販薬で対処したいのですが良いですか?

A.休日などでどうしても病院にいけない時などに、一時的に市販薬を使用するのは良いですが、過信しすぎないようにしましょう。一般的な膀胱炎は細菌が原因なので、治療には抗菌剤が必要ですが、現在の日本では医師の処方箋がないと抗菌剤を手に入れることはできません。市販薬の多くは漢方薬で、膀胱炎に使われる漢方には、膀胱や尿道の炎症を改善しておしっこを出やすくする作用などがありますが、菌を殺す作用はないので高い効果は期待できません。
 
膀胱炎は放っておくと腎盂腎炎になったり、繰り返す場合は背後に大きな病気が隠れていることもあります。早めに、病院を受診することをお勧めします。

野宮 明(のみや あきら)先生

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国立国際医療研究センター病院 泌尿器科 医師

【プロフィール】
2002年京都府立医科大学医学部卒業後、三井記念病院泌尿器科医長、東京大学医学部附属病院泌尿器科助教などを経て、現職。

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著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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