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2023.08.10

ルー不要で50%減塩!簡単なのに美味しくできちゃうポークカレー

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均を2g以上上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

ルーは不要!カレー粉で作る減塩ポークカレー

カレーを作る時には、市販のルーを購入する方が多いと思います。カレーは塩分が多い料理だと思われていますが、そのほとんどはルーに含まれているのはご存知でしょうか。今回はルーではなくカレー粉を使った簡単に減塩できるポークカレーのレシピをご紹介します。

材料(2人分)

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豚こま肉 120g
塩 ひとつまみ
黒こしょう 少々
酒 小さじ2
片栗粉 大さじ1/2
じゃがいも 1個
にんじん 1/3本
玉ねぎ 1/2個
にんにく 1片
水 250ml
オリーブ油 大さじ1/2

【A】
カレー粉 大さじ1
ウスターソース 大さじ1
トマトケチャップ 大さじ1/2
コンソメ(顆粒) 小さじ1/2

ごはん 茶碗2杯分
スライスアーモンド 5g
パセリ(飾り用)

塩分量(1食あたり)

塩分量:1.6g
一般的なレシピと比較すると、約49%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー 510kcal
たんぱく質 18.0g
脂質 15.5g
炭水化物 80.9g
糖質 69.2g

作り方

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1. 豚肉に塩、こしょうをふり、酒を回しかけ揉みこみ、片栗粉をまぶしてさらに揉みこむ。

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2. たまねぎは横半分に切って薄切り、にんにくはみじん切り、じゃがいもは厚み1.5cmのいちょう切り、にんじんはひと口大の乱切りにする。スライスアーモンドはフライパンでほんのり色づくまで乾煎りしておく。

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3. じゃがいもとにんじんを耐熱容器に入れて水小さじ1(分量外)を回しかけ、ふんわりとラップをして、600wの電子レンジで3分ほど加熱する。

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4. 鍋ににんにくとオリーブ油を入れ弱火にかけ、香りが立ったら玉ねぎを入れ、中火で炒め、しんなりしてきたら水大さじ1(分量外)を入れ軽く混ぜ、蓋をして弱火で5分蒸す。

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5.【A】を入れ中火で軽く炒めたのち、豚肉を入れて、ほぐすように炒め、半分ほど色が変わったら3と水を加え混ぜる。

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6. 時々混ぜながら弱めの中火で5~7分ほど煮る。

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7. ごはんと共に器に盛り、スライスアーモンドとパセリを散らせば完成。

このレシピのポイント

#1 ルーではなくカレー粉を使おう

市販のカレールーは、カレー粉に加えて、小麦粉や油脂、調味料が含まれています。ですから、ルーを粉に変えるだけで、脂質や塩分を抑えることができ、保存もきくため手元にあると便利な調味料です。

カレー粉はクミン、コリアンダー、クローブなどの様々なスパイスが混ざっていて、簡単に本格的なカレーが仕上がります。

#2 食材の大きさや切り方を工夫しよう

じゃがいもやにんじんはゴロゴロと大きく切ると加熱に時間がかかったり、味をしみこませないと物足りなく感じたりすることがあります。

今回のようにひと口大に切ることで味が絡む面積が増え、短時間の加熱でも美味しく食べられます。また、あらかじめレンジ加熱をしておくと鍋での長時間の煮込みが不要となります。

#3 ナッツの香ばしさで減塩の物足りなさをカバー

アーモンドを軽くローストして最後にのせることで、口に入れたときに香ばしさが広がり、塩分が少なくとも満足感が高まり、食感も楽しめます。スライスアーモンドがない場合はお好みのナッツ(無塩)をローストして粗く刻んで代用することが可能です。

#4 玉ねぎは蒸し焼きで手早く美味しく

たまねぎを飴色になるまで炒めるとなると、時間がかかったり、途中で焦げそうになったりと難易度が上がります。でも、少量の水と共に蒸すように加熱することで焦げる心配もなく、玉ねぎの旨味や甘みを引き出すことができます。調理時間の短縮にもなるので手早く準備したい時におすすめです。

#5 豚肉の下ごしらえで調理時間短縮

カレーには塊肉を使うことも多いですが、豚こま肉を使うことで、切る手間や煮込み時間を短く済ませることができます。塩こしょうで下味をつけ、酒で臭みを抑えてふっくらと仕上げることができ、片栗粉をまぶすことでパサつきにくく表面が滑らかに仕上がります。

【減塩豆知識】カレーにはルーではなく粉を使おう!

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カレーは意外と塩分が高くなりがちな定番メニューですが、カレー粉を使うことで簡単に減塩が可能です。カレー粉には様々なスパイスが混ざっているため、香りも立ちやすく、色味もきれいに仕上がります。

さらに100gあたりの食塩相当量は0.2gとかなり塩分が少ないため、減塩調理で活躍する調味料です。ちなみに、今回のレシピで使用したカレー粉は2人分で6g程度なので、塩分は0.012g、ほぼゼロに近い量です。

カレー以外にも、炒飯やスープなどにちょい足しするといったアレンジも可能なのでメニューのレパートリーも増え、持っておくととても便利な調味料です。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

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その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃがいもなどの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それを付けながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてが減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

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引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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