メニュー

2019.02.06

脂質異常と言われる前に…必須の予防策!【動脈硬化の一因に!脂質異常症#3】

KenCoM公式ライター:黒田創

記事画像

血液中のコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態の脂質異常症。それ自体は症状がないのですが、知らず知らずのうちに動脈硬化を引き起こすリスクが高まることから早めの対策が必要な疾患です。今回は脂質異常症治療のための生活習慣改善方法や予防策について、山王病院の岸本美也子先生にお話を伺いました。

脂質異常症の改善に欠かせない生活習慣の整え方

脂質異常症を予防・改善するための生活とは

記事画像

前回説明したように、脂質異常症の治療は生活習慣の改善が大前提となっており、必要に応じて薬物治療を採り入れていきます。つまり患者さん一人一人が自分で病気を治す意識を持つことが大事なのです。基本的には以下のような点に注意してください。

・過食を抑え、標準体重を維持する。
・肉の脂身、動物脂(牛脂、ラード、バター)乳製品の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす。
・野菜、海藻、きのこの摂取を増やす。果物を適度に摂取する。
・精白された穀類を減らし、未精製穀類や麦などを増やす。
・食塩を多く含む食品の摂取を控える(1日あたり6g未満)。
・アルコールの過剰摂取を控える(1日あたり20g以下)。
・ウォーキングやランニング、自転車などの有酸素運動を毎日30分以上行なう。
・禁煙し、受動喫煙を回避する。

やはり食事面がかなり大きなウエイトを占めていますね。では、具体的な食材選びのポイントを見ていきましょう。

記事画像

運動療法も脂質異常症や動脈硬化性疾患の予防および治療に効果があります。さらには脂質代謝の改善や、血圧の低下、糖尿病リスクの軽減にもつながります。
運動は有酸素運動を毎日30分以上、または週に180分以上行うのが理想です。それが難しい場合は散歩程度の軽い運動でも頻繁に行うことで効果が期待できます。
種目としては大腿筋や大臀筋などの大きな筋肉をダイナミックに動かす早歩きやジョギング、水泳、水中ウォーキング、ラジオ体操などがおすすめです。

脂質異常症を防ぐコツは〇〇にあり

記事画像

現時点では脂質異常症と診断されていなくても、喫煙習慣や偏った食生活、飲酒過多、運動不足といった傾向がある方は将来的には発症リスクが高いと考えられます。また高血圧や冠動脈疾患の既往歴があり、慢性腎臓病、糖尿病といった疾患を抱えている方も同様です。

予防法としては、やはり重要になってくるのが食事です。血液中の脂肪値の上昇は脂質摂取量の過多だけでなく、炭水化物の過剰摂取によっても生じることがわかっているため、まずはその点に注意しましょう。

中性脂肪を下げるために積極的に食べたいのが、アジ、イワシ、サバ、サンマなどの青魚です。これらの油にはEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、肝臓での中性脂肪の合成を抑え、血中の中性脂肪を減らす作用があります。また、血液を固める働きをもつ血小板が凝集するのを防ぐので、心筋梗塞や脳梗塞の引き金となる血栓ができるを予防してくれるのもポイントです。

記事画像

続いては飲酒について。飲酒時はおつまみなど、ついつい脂肪摂取が増えてしまいます。また、アルコールにより肝臓での脂肪の分解が抑えられたり、脂肪の合成が促進されるので注意が必要です。
先にも述べた通り、脂質異常症予防のためには1日のアルコール摂取量を20g以下にするのが理想的。アルコール度数が5%のビールの場合、500mlに含まれるアルコール量は20gですから、350ml缶2本なら28g。これだとやや飲み過ぎとなります。

あとは前項でも説明しましたが、定期的な運動習慣を持つこともHDLコレステロールを増やす意味で効果的です。もちろん、適正な体重をキープするうえでも非常に大事です。

脂質異常症は食生活が大事なカギ

繰り返しになりますが、他の生活習慣病と同じく脂質異常症の予防および改善は食生活が大きな鍵を握っています。未発症の方も、今から食生活の改善を意識的に行いましょう。

■脂質異常症の他の記事はこちら

岸本美也子(きしもと・みやこ)先生

山王病院(東京都港区)内科部長。国際医療福祉大学講師。糖尿病と脂質異常症の治療が専門。治療のうえで必要な個々の患者の自己管理が長く継続できるよう、個人の生活状況に応じた無理のない親身な療養指導を心がけ日々診療を行っている。

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。