2024.02.15
身体ぽかぽか。10分でできるシナモンと生姜の焼きりんご【電子レンジ活用レシピ】
調理科学に基づいたロジカルレシピが人気の料理家・前田量子さんによる、電子レンジ大活用レシピ。今回は冬のリラックス時間に最適な、身体をあたためつつ栄養も摂れるシナモンと生姜の焼きりんごをご紹介します。
10分でできるシナモンと生姜の焼きりんご
甘くて美味しいりんごは秋から冬まで旬を楽しめるフルーツ。フレッシュなままいただいても美味しいですが、電子レンジを使えば簡単スイーツができちゃいます。今回は10分で作れる焼きりんごのレシピです。
材料(2人分)
りんご 1個
てん菜糖 大さじ2
生姜 小さじ1
シナモン 少々
【トッピング】(なくてもOK)
ヨーグルト 大さじ2
ミント 2枚
主な栄養価(1人分、トッピングは除く)
エネルギー 103kcal
食物繊維 2.0g
カリウム 138mg
作り方
1. りんごは縦半分に切り、スプーンで芯をくりぬき、耐熱皿に並べる。
2. てん菜糖、生姜、シナモンを混ぜ、丸くくりぬいたところに入れる。
3.クッキングシートを上からのせて、ラップをし、電子レンジ600wで5分加熱する。
4. 電子レンジから取り出し、加熱して出てきたりんごのシロップを、芯をくりぬいたところにスプーンなどを使って入れてなじませる。
5. しばらく室温に置いておくとりんごがしっとりとしてくるので、お好みで【トッピング】を添え、シナモンを振れば出来上がり。
このレシピのポイント
①りんごは半分に切って調理しやすく
焼きりんごというと丸のまま芯の部分をくりぬく形が一般的。しかし、特別な器具がないとくりぬきにくいのが難点です。さらに、電子レンジでは急激な加熱が行われますので、丸ごとのりんごを入れると、内部で生まれた空気を逃すために破裂してしまうことも。
りんごを縦半分に切って調理すれば、スプーンで芯がくりぬけ、加熱の際に破裂する心配もありません。食べる時も半分がちょうど1人分になり、一石二鳥です。
②クッキングシートを上手に活用しよう
電子レンジは水分に直接作用して熱くなる加熱法ということが知られていますが、実は水分だけではなく、水溶性のもの全般に作用するため、砂糖や塩にはマイクロ波が集まりやすく高温になることがあります。場合によってはラップがとけてしまうことも。
そこで、過度に熱がラップに伝わらないように、りんごとラップの間にクッキングシートを使いました。
電子レンジ調理に欠かせないラップは、保温性を高め、材料にムラなく熱が伝わり、万一素材が爆発しても庫内が汚れないメリットがあります。ラップをしないと保温性が下がり、調理時間が長くなる可能性があるほか、庫内が汚れる、蒸発率が高くなる、素材が乾くなどのデメリットがあります。
③電子レンジの調理時間はりんご1個で5分が目安
電子レンジ調理は時短になり、調理器具も汚れにくいなど、メリットがたくさん!しかし、電子レンジの欠点は一度入れてしまうと、どのくらい加熱されているか分からず、加熱時間で悩んでしまうことです。
時間を割り出すには重さを量ることがとても重要になります。電子レンジは水分などに直接作用して発熱するメカニズムで、重量に正比例する特徴を持っています。
今回のレシピは、しっとり柔らかくなったほうが美味しくなりますので、少し長めに。100gあたり電子レンジ600wで2分30秒が目安です。一般的にりんごは1個200g程なので5分加熱します。この公式さえわかっていれば、レシピがなくても調理可能です。
※加熱時間は、電子レンジの機種や使用状況により変わることがありますのでお気を付けください。
このレシピの栄養ポイント
注目されているりんごのポリフェノール
「1日1個のりんごで医者いらず」という言い伝えがあります。これは少し誇張されていますが、りんご1個の中には身体によい効果をもたらす栄養素が詰まっているのは確かです。
現代社会で大きな問題となっている生活習慣病のひとつに動脈硬化があります。動脈硬化の原因であるLDLコレステロールの酸化を食い止めるのには、抗酸化作用のある食品が有効で、大きな注目が集まっています。りんごには抗酸化作用の高いポリフェノールが豊富に含まれていることが知られています。
ポリフェノールの一種であるフラボノイドの摂取源について、1997年にオランダで発表された実験成果では、第1位が紅茶で第2位がタマネギ、それに続く第3位がりんごでした。(※1)
日本ではりんごのどの部分にポリフェノールが多く含まれているかの調査が行われています。その結果、一番多かったのは果皮だということがわかりました。(※2)つまり、りんごを皮ごと食べることで多くのポリフェノールが摂れるのです。今回の焼きりんごに限らず、りんごは皮ごと使うことを習慣にしてもよさそうです。
りんごには食物繊維が豊富
食物繊維は血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下や整腸作用など、現代人の多くの悩みを解決してくれる頼もしい存在です。加えて食物繊維豊富な食材は、腹持ちが良く、食べすぎ防止、空腹を感じにくくなるという効果も期待できます。
1日あたりの目標量は、成人男性で1日に21g以上、成人女性で18g以上です。この根拠として、100gあたり1gの食物繊維を摂るのがよいと日本人の食事摂取基準で示されています。今回のレシピは100kcalあたり2gの食物繊維が含まれています。
りんごには水溶性、不溶性どちらも含まれているため、どちらの健康効果も期待できるというのもうれしいポイントです。
生姜で血行改善して温活を
昔から風邪を引いた時に生姜湯を飲むなど、生姜には身体を温める効果があることが一般にも知られています。生姜に含まれるショウガオールという辛み成分が血行を促すと考えられています。実際に、長期で生姜を摂取すると、長時間の血流改善につながるという研究も発表されています(※3)。
今回のレシピでは味付けのスパイスとして生姜を使いました。普段の食事やおやつなど、少量をこまめに摂ることで、冷え性対策ができると考えられています。ぜひ日々の食生活に生姜を取り入れる工夫を心がけてみてください。
ただし、大量に摂取することで副作用があらわれることがありますから、摂りすぎには禁物です。
【電子レンジ調理の注意点】
電子レンジを正しく使えば、毎日の料理が時短で簡単。キッチンも汚しにくいため家事の心強いパートナーとなってくれます。
ただし使い方を誤ると事故につながることもあるため、以下の注意点に気をつけて活用してみてくださいね。
1. 電子レンジ対応のお皿を使う
電子レンジに使用できる器は、耐熱ガラス・耐熱陶器・ぺーパータオル・クッキングシート・ポリプロピレンなど、食品用の容器となります。ただし、この素材でも電子レンジ未対応の物があるので、必ず電子レンジ対応と書かれているものを使うようにしてください。
2. レシピの量と時間を守る
電子レンジを使う際は、まずレシピ通りの量や時間を守りましょう。食材によって加熱時間も多少変わるので、まずはレシピ通りに。その後、足りなければ再加熱するのがおすすめです。
記事情報
引用・参考文献
『一生役立つ きちんとわかる栄養学』飯田薫子・寺本あい監修 西東社
著者プロフィール
前田量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。
制作
文・レシピ・写真:前田量子