2022.07.22
肉野菜たっぷりで夏を乗り切る!あんかけ焼きそば【電子レンジ活用レシピ】
調理科学に基づいたロジカルレシピが人気の料理家・前田量子さんによる、電子レンジ大活用レシピ。
中華あんかけって作るのが面倒くさそう…と思っていませんか?
このレシピなら、お肉を柔らかく仕上げる下ごしらえのついでにとろみ付けも完了!
豚肉とたっぷり野菜で、夏バテが吹き飛ぶレシピです。
肉野菜たっぷりで夏を乗り切る!あんかけ焼きそば
【材料(1食分)】
豚肉 80g
チンゲンサイ 50g
もやし 50g
椎茸 1枚(10g)
にんじん 20g
水 60ml
A
鶏がらスープ 小さじ1
焼き肉のたれ 大さじ1/2
かたくり粉 小さじ1
やきそばの麺 1玉
主な栄養素
エネルギー 527kcal
タンパク質 26.5g
ビタミンB1 0.79mg
ビタミンB6 0.40mg
鉄 2mg
リジン 1640mg
食塩相当量 2.5g
作り方
1.豚肉は4cmの長さ、チンゲンサイはそぎ切り、椎茸は薄切り、にんじんは斜め薄切りにして縦半分に切る。
2.耐熱ボウルに豚肉、Aの調味料をすべて入れて揉みこむ。
3.野菜を加え、野菜の間に肉が入るようにほぐしたら水を加える。
4.ラップをし、電子レンジ600Wで3分加熱する。一度取り出し、全体をよく混ぜてさらに3分加熱する。
5.取り出して具材すべてに火が入っているか確認し、よく混ぜる。加熱が足りない場合は30秒ずつ加熱して様子を見る。
6.中華麺を袋から取り出し耐熱容器に入れ、電子レンジ600Wで1分30秒加熱し、ほぐす。
7.中華麺を器に盛り付け、上から5のあんをかける。
このレシピの2ポイント
ポイント1.お肉に調味料とかたくり粉を揉みこむ
お肉はできれば柔らかくしっとり仕上げたいものですよね。
電子レンジ調理で差がつくのは最初の工程です。お肉に調味料とかたくり粉を揉みこむことで、加熱しても柔らかく仕上げることができます。
ポイント2.電子レンジの調理時間は100gあたり2分を目安に
電子レンジ調理は時短になり火を使わないため、特に暑い夏には心強い味方です。
しかし一度入れてしまうとどのくらい加熱されているか分からず、加熱時間で悩むことも。
この適切な時間を割り出すには、重さを計ることがとても重要になります。
電子レンジは水分などに直接作用して発熱するメカニズムで、重量に正比例する特徴を持っています。
例えば100gの食材が1分で火が入るというものだったら、200gで2分、300gで3分といった具合です。
今回のあんかけ料理は100gあたり電子レンジ600Wで2分くらいが目安です。
ここで気を付けて欲しいのが“総重量に対して”ということ。
今回は食材+調味料+水=約290gなので、2分×2.9=約6分となります。この公式さえあればレシピから解放されますのでぜひ覚えてください。
※電子レンジの機種や使用状況により変わることがありますのでお気を付けください。
タンパク質は「必須アミノ酸」と「ビタミンB1」を意識
健康な身体に欠かせないタンパク質。ではタンパク質なら何でも良いのでしょうか。
ここで気にしてほしいのがアミノ酸スコアです。
必須アミノ酸のバランスが大事
人の身体を構成するタンパク質は20種類といわれています。
11種類は他のアミノ酸又は中間代謝物から合成することができるのですが、9種類は合成することができません。そのため食事によって摂取しなければならないとされており、それらを「必須アミノ酸」と呼んでいます。
必須アミノ酸はヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、そしてバリンです。
これらのアミノ酸がバランスよく含まれているとタンパク質の質が高く、アミノ酸スコアが高い、といわれます。
例えば9種のなかでリジンだけが極端に低い、としましょう。そうすると、他のアミノ酸がいくら高くても、最低限のリジンに照準があってしまいタンパク質を作れなくなる、ということがおこります。
小麦粉にもタンパク質が含まれていますが、リジンが少なくアミノ酸スコアが良い訳ではありません。では小麦粉を摂る意味はないのか、というとそうではありません。
食事は1つの食材を食べる訳ではありませんよね。肉や魚、野菜と組み合わせることにより、アミノ酸スコアがあまり高くない食材でも、アミノ酸スコアは補正されていき、バランスが良くなっていくのです。
肉や魚は特にアミノ酸スコアが高いものなので、小麦粉料理の時は組み合わせると良いでしょう。
今回はリジンを豊富に摂れるように食材を選びましたが、他には鶏のささみやむね肉もおすすめです。
タンパク質は健康な身体づくりには欠かせないと共に、ダイエットのときにも欠かせない注目の栄養素です。
今回のレシピは全体でタンパク質が26.5g含まれており、女性の場合1日の半分がこのレシピで摂れます。夏場は特に炭水化物に偏りがちなので、こうして積極的にタンパク質を摂るように心がけましょう。
だるいかな?と感じたら、やっぱり豚肉
夏場はそうめんやうどん、そばなどのど越しがよい食べ物に偏りがちです。
糖質(炭水化物)に偏ると糖質代謝に必要なビタミンB1を消費してしまい、食事で摂った分の糖質が代謝されずに疲れやすくなることもあります。
何となく疲れやすい、という時はやはりビタミンB1を意識して欲しいのです。
ビタミンB1を多く含む食品、というと圧倒的に多いのが豚肉です。お肉の中でビタミンB1の含有量ランキングを調べると60位中、実に59個が豚肉なのです。
13位にすっぽんがランクインしていますが、それ以外は全て豚肉が占めている位、ビタミンB1と言ったら豚肉なのです。
今回使用しているもも肉は、豚肉の中でもビタミンB1の含有率が上位で、効率よく摂れる食品。ちなみに同じもも肉で比較すると、豚肉は鶏や牛に比べてビタミンB1が約10倍も多く含まれているのです。
タンパク質を重視する場合は鶏のむね肉やささみで十分ですが、疲れやすかったり、夏バテを感じるときは豚肉を積極的に摂るようにしましょう。
カルシウムやビタミンCをプラスでバランス◎
今回のレシピは、野菜は1日の1/3以上、タンパク質は50%以上と優秀。しかしこのレシピに足りないのが、カルシウムやビタミンCです。
夏は汗をかいたり紫外線が強くなったりと、これらの栄養素が失われがちなので、ヨーグルトやフルーツを食後やおやつに摂り入れてみましょう。
乳製品はカルシウム吸収率が高く、効率よく摂るのに適しています。そしてフルーツはビタミンCやポリフェノールが豊富な傾向にあり、クエン酸が含まれていることが多くカルシウムの吸収率UPにもなります。
特にキウイはビタミンCがたっぷりで、水分も豊富なのでオススメです。
【電子レンジ調理の注意点】
電子レンジは正しく使えば、毎日の料理を時短で簡単に。キッチンも汚しにくいため家事の心強いパートナーとなってくれます。
ただし使い方を誤ると事故につながることもあるため、以下の注意点に気をつけて活用してみてくださいね。
1.電子レンジ対応のお皿を使う
電子レンジに使用できる器は、耐熱ガラス・耐熱陶器・ぺーパータオル・クッキングシート・ポリプロピレンなど、食品用の容器となります。
ただし、この素材でも電子レンジ未対応のものがあるので、必ず電子レンジ対応と書かれているものを使うようにしてください。
2.レシピの量と時間を守る
電子レンジを使う際は、まずレシピ通りの量や時間を守りましょう。食材によって加熱時間も多少変わるので、まずはレシピ通りに。その後、足りなければ再加熱するのがおすすめです。
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前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。