2023.08.24
塩分控えめでヘルシー。じゃことのりのパラパラチャーハン【減塩ごはん】
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。
塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。
本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。
じゃことのりのパラパラチャーハン
高カロリー、高塩分が多い中華料理のなかでも定番のチャーハンを美味しく減塩アレンジするレシピです。
材料(2人分)
ごはん(温かいもの) 360g
ちりめんじゃこ 20g
かいわれ大根 1/2パック
にんにく 1片
ごま油 小さじ2
しょうゆ 小さじ1
塩 少々
粗びき黒こしょう 少々
韓国のり(8枚切り) 2枚 ※味付けのりでも代用可
【A】
えのきだけ 50g
たまご 1個
鶏がらスープの素(顆粒) 小さじ1/2
塩分量(1食あたり)
塩分量:1.8g
一般的なレシピの塩分量:2.2g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約18%減塩になります。
主な栄養成分(1食あたり)
エネルギー 383kcal
たんぱく質 13.4g
脂質 6.7g
炭水化物 70.8g
糖質 66.5g
作り方
1. えのきだけは1cmの長さに切り、かいわれ大根は半分の長さに切る。にんにくはみじん切りにする。
2. ボウルに【A】を入れ混ぜ合わせ、ごはんを加えて卵が全体に絡むように混ぜ合わせる。
3. フライパンにごま油とにんにくを入れ弱火にかけ、香りが立ったら2を入れ中火で炒める。
4. 全体がパラパラになったらちりめんじゃこと塩こしょうを加え混ぜ合わせる。
5. しょうゆを回し入れ、かいわれ大根を入れて、軽く混ぜ合わせる。
6. 器に盛ってひと口大にちぎった韓国のりをちらせば完成。
このレシピのポイント
#1 ご飯を卵でコーティングしてパラパラに
あらかじめ、ごはんを卵でコーティングすることで、炒めた時に外側はパラパラとしつつ中はパサつかずに仕上がります。たっぷりの油を使って強火で一気に炒めることでパラパラになりやすいチャーハンですが、この方法であれば、少ない油でゆっくりと作ってもパラパラに仕上がります。
#2 えのきで食物繊維プラス
チャーハンや麺類などの1品料理は野菜や食物繊維が不足しがちですが、細かく切ったえのきを加えることで無理なく食物繊維を増やすことが可能です。
#3 韓国海苔で味に変化をつけて
韓国のりは旨味があるだけでなく、ごま油と塩でほんのり味がついているため、最後にちらすことで局所的ではありますが食べた時に味の変化を楽しむことができます。
#4 かいわれ大根は最後に入れて風味を残す
かいわれ大根はほんのりと辛味がある野菜です。長時間加熱すると辛味は抜けてしまいますが、最後に加えて混ぜる程度であれば辛味が残り、減塩でも美味しく食べられます。
#5 肉を使わず脂質をカット
チャーハンに入れる肉をちりめんじゃこに変えることで、旨味をキープしながら脂質をカットしました。この工夫で、普通のチャーハンは脂質11.1gほどに対して、今回の減塩チャーハンの脂質は6.7gとかなりヘルシー!
また、チャーハンには塩分が多く含まれるベーコンやソーセージなどの加工肉を使うことが多いですが、今回使うちりめんじゃこは、ほどよい塩味の無添加食材。お肉を使わずとも、美味しさをキープして、減塩と脂質カットを実現しています。
【減塩豆知識】醤油は加熱して香りを高める
醤油は味付けとしての効果はもちろんですが、加熱することで香りが立つ調味料です。
人の味覚は、舌で感じる以外にも鼻で感じる香りを含めた感覚で味わっていると言われています。薄味でも美味しい香りがプラスされるとその分味覚が刺激され、満足感の高い仕上がりになります。ですから、醤油を少し加熱して香りを高め、より美味しく感じられるようになるというわけです。
ただし、醤油は長時間加熱すると香りが飛んでしまうため、最後にくわえるようにしてください。
美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条
その1. 旨味を活用
昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。
その2.酸味で満足感を
酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。
その3.香りを感じられる1品プラス
レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。
その4.スパイスで刺激をプラス
カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。
その5.とろみで味をまとめる
料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。
その6.“かける”から“つける”へ
醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。
その7.加工食品は控えめに
ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。
その8.献立にメリハリを
減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。
その9.表示確認を習慣化
梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。
その10.減塩商品を活用
最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。
記事情報
引用・参考文献
『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社
著者プロフィール
磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。
制作
文・レシピ・写真:磯村優貴恵