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2023.10.12

とろとろ卵がたまらない!塩分控えめ親子丼【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

とろとろ卵がたまらない!フライパンで簡単にできる親子丼

とろとろの卵が魅力的で食欲をそそる親子丼。鍋でじっくり煮込むなどテクニックが必要なイメージのある親子丼ですが、今回はフライパンで手軽にできる親子丼をご紹介します。醤油を使って塩分が多くなる心配もなく、だしの旨味を生かして上手に減塩しつつできるレシピです。

材料(2人分)

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鶏もも肉 大1/2枚(160g)
玉ねぎ 1/2玉
卵 2個
しめじ 1/2袋(50g)
かつお節 5g
水 200mL

塩 ひとつまみ
日本酒 小さじ2
醤油 大さじ1
サラダ油 小さじ1

【調味料】
日本酒 大さじ1
みりん 大さじ1

ごはん 茶碗2膳分(300g)
白ごま 小さじ1

塩分量(1食あたり)

塩分量:2.0g
一般的なレシピの塩分量:2.6g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約23%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー 561kcal
たんぱく質 27.9g
脂質 20.2g
炭水化物 66.6g
糖質 62.7g

作り方

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1. 鶏もも肉はひと口大に切って塩と日本酒(小さじ2)を揉みこむ。しめじは手でほぐし、玉ねぎは薄切りにする。卵はボウルに割り入れ、卵黄をほぐす程度にかるく混ぜる。

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2. 小鍋に水を入れ中火にかけ、沸騰したら火を止めてかつお節を入れ、すべて沈んだら1〜2分置いてキッチンペーパーを敷いたザルで濾しだしをとる。

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3. フライパンに2で濾したかつお節を軽く絞って入れたら乾煎(からい)りする。半分ほど水分が飛んだら白ごまを入れ、ごまの香りが立つまで煎ってからごはんと混ぜ合わせておく。完全に水分が飛んでいなくてもOK。

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4. フライパンにサラダ油を中火で熱し、鶏もも肉の表面に焼き色を付けるように軽く焼く。肉をあまり動かさないことで、きれいな焼き色がつく。焼き上がったら、いったん取り出し、フライパンに油が多く残っていたら、キッチンペーパーで拭きとる。

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5. 4のフライパンに2のだしと玉ねぎ、しめじ、【調味料】を入れて中火にかけ沸騰したら弱火にして蓋をし、玉ねぎが透き通るまで4~5分加熱する。

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6. 4の鶏もも肉を加えてさらに2分ほど加熱したのちに、醤油を加えて混ぜる。

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7. 卵を回し入れ、大きくゆっくり2~3回かき混ぜたら蓋をしてごく弱火にし、1分ほど加熱する。硬めの卵が好みの方は加熱時間を調整する。

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8. どんぶりに3のごはんをよそい、7をのせ、お好みで3~4センチの長さに切った三つ葉をのせれば完成。

このレシピのポイント

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#1 だしをとったあとのかつお節も活用

自分で作るかつおだしであれば、必要な分だけ作ることができたり、濃さを調整しやすいうえ、だしを取った後のかつお節も活用できるため無駄なく調理可能です。フードロス対策としてもおすすめです。

#2 卵の混ぜ方にはコツがある

親子丼のポイントであるとろとろ卵は、丁寧に混ぜすぎると、加熱したときにボロボロになりやすくなってしまいます。卵を割った後卵黄を数回混ぜる程度にすることで、白身がプルプルに仕上がります。

#3 つゆの量はお好みで

今回の親子丼はつゆだくです。玉ねぎの水分にもよりますが、つゆ少な目がお好みの方はだしをとる水を50mLほど減らす、もしくは玉ねぎを煮こんでいる時に蓋をあけて加熱することで、汁気を調整してください。

【減塩豆知識】だしを効かせて、醤油は香りづけ程度に

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親子丼は、濃いめのだしを取ることで、旨味をしっかりと感じることができ、少ない塩分でも美味しく食べられます。醤油は塩分をプラスするというよりも、香りを楽しむために少量を使用します。調理の仕上げに加えることで香りを活かし、少ない量でも満足感が得られて減塩につながります。

だしを取ったあとのかつお節も、軽く水分を飛ばしてごはんに混ぜ込むことで旨味を最後まで生かすことができます。また、丼物は一気に食べてしまいがちで早食いになりやすいメニューですが、かつお節を加えたごはんをよく噛むことで旨味をより一層感じられます。

白いごはんだけだと、味が薄く感じてしまいやすいので、ごはんにも旨味を追加し、減塩でも美味しく感じられるようになることもこのメニューのポイントです。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

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その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

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引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

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著者プロフィール

磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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