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2023.11.09

野菜たっぷり!お肉の満足感もある減塩ミートソースパスタ【減塩ごはん】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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厚生労働省のe-ヘルスネットによると、健康な日本人の成人男女が目標とするべき食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満。でも実際の日本人の食塩摂取量の平均値は10.1gで、平均2gを上回っている状況です。さらに2024年度国民健康づくり計画『健康日本21(第3次)』からは、食塩摂取量の目標値を7g未満に定めることが明らかになっています。

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが高まります。日本人の3人に1人は高血圧といわれており、特に注意すべき生活習慣病です。減塩を習慣化することにより生活習慣病予防はもちろん、未来の健康づくりを行うことができるのです。

本連載『減塩ごはん』では、定番レシピを減塩しながら美味しく仕上げるレシピを管理栄養士の磯村優貴恵さんに教えていただきます。

野菜たっぷり減塩ミートソースパスタ

主食として大人にも子どもにも大人気のミートソースパスタ。野菜もたっぷりなレシピで栄養バランスを考えながら減塩もでき、お肉の食べ応えもあるレシピをご紹介します。

材料(2人分)

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パスタ 160g(今回はゆで時間7分のものを使用)
合い挽き肉 150g
玉ねぎ 1/2玉
にんじん 30g
セロリ 30g
マッシュルーム 3個
にんにく 1片
オリーブ油 大さじ1/2

【調味料】
塩 少々
粗びき黒こしょう 少々
ナツメグ 少々

【トマトソース】
カットトマト缶 1/2缶(200g)
水 100mL
赤ワイン 大さじ2
顆粒コンソメ 小さじ1/2
塩 小さじ1/3
砂糖 ひとつまみ
ローリエ 1枚

【パスタをゆでるお湯】
水 2L
塩 小さじ1
※塩分濃度0.3%になるように調整

粉チーズ 小さじ2
粗びき黒こしょう 少々

塩分量(1食あたり)

塩分量:2.4g
一般的なレシピの塩分量:4.2g
※このレシピは、一般的なレシピと比較すると、約43%減塩になります。

主な栄養成分(1食あたり)

エネルギー 559kcal
たんぱく質 26.8g
脂質 20.5g
炭水化物 71.5g
糖質 64.0g

作り方

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1. 玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにくはみじん切りにする。マッシュルームは薄切りにする。ローリエはガス火に一瞬くぐらせ軽く炙ってから入れる。OK。

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2. 肉に【調味料】をふる。

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3. 鍋にオリーブ油とにんにくを入れ弱火にかけ、香りが立ったら玉ねぎ、にんじん、セロリを加えて中火にし、玉ねぎが透き通るまで炒める。

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4. 3を鍋の端に寄せ、合いびき肉を入れ、脂が出てきて焼き色がつくまで1~2分加熱したのち、裏返して全体を軽く混ぜ合わせる。肉は塊がある状態でOK。

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5. マッシュルームと【トマトソース】の材料を入れ混ぜ、煮立ったら少しずらして蓋をし、弱めの中火で15分~20分煮る。煮込んでいる間に、別の鍋にパスタ用の湯を沸かし、沸騰したら塩を入れ、パスタを入れて表示時間通りにゆでる。

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6. 器にパスタとソースを盛り、粉チーズと粗びき黒こしょうをちらす。

このレシピのポイント

#1 ひき肉を炒める時は混ぜすぎない

ひき肉は鍋に入れたらあまり動かさず、脂がじんわりとでてくるまで加熱するときれいな焼き目がついて香ばしく仕上がります。また、こまめに混ぜすぎないことで適度に塊ができ、食べたときに肉のうま味をしっかりと味わうことができます。

肉には独特の臭みがあるため、ナツメグやセロリ、ローリエといった香味のある食材を使うことで臭みけしだけでなく、深みのある味わいを楽しむことができ、減塩にもつながります。

#2 トマト缶の酸味は少量の砂糖で抑える

トマト缶を使った煮込み料理では多少の酸味が残ることがあります。砂糖を少量加えることで酸味を抑えることができます。もし酸味が気にならない場合は入れなくてもOKです。

#3 ローリエにひと手間加えて香りづけを

ローリエはそのまま入れても問題ありませんが、一瞬、火にくぐらせるようにして炙ると香りがしっかりと立ちます。

【減塩豆知識】パスタをゆでるお湯の塩分を減らせば簡単に減塩できる

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パスタをゆでるときに塩を加えることでコシのある仕上がりになります。これは、塩を加えたお湯でゆでることでパスタの吸水量が少なくなるからです。

パスタ湯は通常、お湯(水)に対して1%程度の塩を加えます。この塩分を0.3%程度に減らすことでパスタのコシはキープしつつ、減塩することができます。パスタのソースは塩味を減らしすぎると味気ない仕上がりになるため、麺の方で工夫をすることでバランスよく仕上がります。

美味しく続ける!減塩ごはんの10箇条

その1. 旨味を活用

昆布、かつお、しいたけ、のりなどの旨味食材を活用することで、少ない塩分でも美味しく食べることができます。

その2.酸味で満足感を

酢、レモン、梅干しなどの酸味は刺激にもなり、料理にメリハリが出て塩分が少なくとも満足感の高い仕上がりになります。

その3.香りを感じられる1品プラス

レモンやすだちなど、香りのよい柑橘系を使用するほか、焼いた時の香ばしさ、温かい湯気とともに広がる香りを意識して調理をすると、満足感が高まります。

その4.スパイスで刺激をプラス

カレー粉、山椒、黒こしょうなど、スパイスを使いましょう。塩分控えめだと、どうしても始めは物足りなく感じてしまう方もいます。そんなときには、スパイスの刺激を上手に活用して、料理の味を引き締めたり、風味を引き立てましょう。

その5.とろみで味をまとめる

料理にとろみを持たせることで、舌の上に乗っている時間が長くなり、味をしっかりと感じることができます。とろみは片栗粉や小麦粉はもちろん、米やじゃが芋などの芋類でもつけることが可能です。

その6.“かける”から“つける”へ

醤油やソースを上からかけるとついかけすぎたり、必要以上に食材に染みたりすることで結果として塩分の摂りすぎに。小皿に少量の醤油(ソース)を出し、それをつけながら食べるという方法で調味料をどのくらい使ったか視覚的にもわかりやすく、塩分の調整に役立ちます。

その7.加工食品は控えめに

ソーセージやベーコンは保存性を高めるためにも、多くの塩分が含まれています。一度にたくさん食べ過ぎないように注意が必要です。

その8.献立にメリハリを

減塩すると最初は味気なく感じてしまうことも。だからこそ、食べるものすべてを減塩すると食の楽しみが半減してしまうかもしれません。まずは、メインは減塩、副菜はいつも通り、など1食の献立の中でもメリハリをつけることで、無理なく減塩を続けることができます。

その9.表示確認を習慣化

梅干し・だしパック・味噌など同じ食材でもメーカーや種類によって塩分濃度は全く異なります。まずは、買い物するとき、商品の裏側にある食品表示を見ることを習慣化しましょう。

その10.減塩商品を活用

最近は様々な商品で、減塩タイプがあります。例えば、醤油、みそ、料理酒、缶詰など。「塩分の計算が難しい」「忙しくて考えていられない!」という方は、いつも手に取っている商品や調味料を減塩タイプに変えることで、手軽に減塩生活を始めることができます。

記事情報

引用・参考文献

『八訂 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック』主婦の友社

著者プロフィール

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磯村優貴恵(いそむら・ゆきえ)
管理栄養士・料理家 
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆、食育講座など幅広く活動中。

制作

文・レシピ・写真:磯村優貴恵

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