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2021.06.21

塩分の摂り過ぎはなぜNG?今日から始める減塩醤油のかしこい使い方

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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世界でもトップの長寿国である日本。2019年には死因第3位が「老衰」となるなど、天寿を全うする人が多くいらっしゃいます。
しかし令和2年版の厚生労働白書によると、平均寿命と健康寿命には男女平均して約10年の差があることがわかっています。できることなら、健康なまま寿命を全うしたいと願う人が多いのではないでしょうか。いくつになってもハツラツと過ごすためには、健康寿命をのばすことが大切になります。

日本人は塩分を摂り過ぎている

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日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患。その危険因子となる動脈硬化症・高血圧症の原因の多くは食生活。その中でも塩分の摂りすぎは大きな要因とされています。

昔からの伝統的な家庭料理「和食」は炭水化物(お米)を中心とし、おかず、漬物、味噌汁などで構成されています。「和食は栄養バランスが良い」と世界的にも注目されていますが、今でも塩分が高めであることは課題となっています。

健康のための食塩摂取量をご存じですか?一日の塩分摂取量(食塩摂取量)の基準は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、男性7.5g未満、女性6.5g未満で、日本高血圧学会では1日6g未満、WHO(世界保険機関)では1日5g未満とされています。

引用:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 P24」および、日本高血圧学会「日本高血圧学会 減塩・栄養委員会」より

引用:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 P24」および、日本高血圧学会「日本高血圧学会 減塩・栄養委員会」より

日本はここ15年ほどで全体の塩分摂取量が2gほど低下していますが、それでも1日平均10gの塩分を摂っており(国民健康栄養調査より)WHOが示す2倍にもなります。この基準はかなり厳しいとしても、やはり全体的に30%以上減塩したほうが良いということになります。

塩分の摂りすぎは何がいけないのか

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塩分の摂りすぎにより引き起こされる症状は高血圧です。

まず血圧とは何でしょうか。心臓は毎分4~5リットルもの血液を全身に送り続けています。血圧とはこの血流の流れによって動脈壁にかかる圧力のことです。
日本高血圧学会の高血圧診断基準は、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上となります。また自宅で測る家庭血圧の場合は、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます。

高血圧は特に自覚症状がないためついつい軽視されがちです。しかし放っておくと高血圧だけでなく動脈硬化につながり、結果日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患、それだけでなく腎不全など死につながる大きな病気の引き金になりかねません。
高血圧の要因は、塩分の摂りすぎ以外に肥満や飲酒、喫煙ストレスもありますが、食塩に含まれるナトリウムが大きく、減塩を中心とする食生活の改善が最も効果的な高血圧対策と言えるのです。

減塩醤油から始める減塩生活

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実際減塩生活を始めよう、と思ってもまずは何をどうしたら良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。実際、厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査でも、自分の食事に問題があるとわかっても「改善することに関心がない・するつもりがない」が男性で40%、女性で35%。その原因は「特にない」が一番多く、ついで「多忙であること」「面倒なこと」となっています。

塩分摂取量が高くても自覚症状として現れないため、すぐに食生活の改善まではいかないというのが正直なところです。日ごろの調理過程はあまり変えず、すぐに実行できるのが、減塩食品を取り入れること。まずは普段の料理でよく使う醤油を「減塩醤油」にしてみてはいかがでしょうか。

商品のパッケージに「減塩」と表記できるのは、一般的なものに比べ25%以上減らしている場合です。
食品成分表によると減塩醤油の塩分は9%。大さじ1で計算すると1.5g程度になります。一般的な醬油が大さじ1当たりの塩分が2.6gですから、食塩1.1g、40%以上も減らせることになります。

減塩醤油のかしこい使い方

塩分をカットしながらも物足りなく感じないようにするには、醤油を使うタイミングが大切です。

醤油は食べる直前に、表面的に

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人間の舌は味覚を感じるセンサー味蕾にダイレクトに触れるものを感知し、塩味を感じます。食べ物の内側に浸透している下味のようなものは美味しさの大切な要素ですが、実際は感じにくいという特徴があります。なので、外側により多くの塩分を集めた方が効果的です。

煮物なら、調理の最後の方に入れて表面に重点的に味をつけると良いでしょう。また、煮物のように加熱するものは最初から醤油を入れると香りが飛んでしまうのですが、最後の方で入れると香りが楽しめるのでそこでも理にかなっています。
お刺身であれば漬け(づけ)よりも食べる直前に醤油をつける。焼き魚も最初にふる塩分は控えめに。食べるときに減塩醤油でアクセントをつけた方が良いでしょう。

スプレーでかけ過ぎ防止

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お刺身や焼き魚の例えを出しましたが、直前だからと必要以上に大量につけては元も子もありません。こんな「つける・かける」の使い方をするときは醤油スプレーが便利です。
サッと吹きかけると満遍なく醤油が広がり、いつもより少ない量でもしっかりと味を感じることができます。100円ショップなどで気軽に購入できますから取り入れてみてください。

目分量よりもしっかり計量

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調味料を最初から全て計量する、となると大変だと思いますが、減塩を意識すると徐々にはかることにも億劫にならなくなります。
減塩と言っても、量が多ければ結局とる食塩量は多いまま。減塩醤油に慣れてきたら是非計量する癖を身につけてください。減塩食の料理本などを参考に、健康基準の味の濃さを身につけるようにしましょう。まずは意識する。慣れてきたら次のSTEPへ。無理なく進めることが大切です。

減塩醤油は鮮度がいいうちに使い切る

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普通の醤油に比べて減塩醤油は塩分が低いですよね。ということは賞味期限は短くなります。開封後はなるべく早く使い切る。できれば冷蔵庫で保管する必要があります。

使い切れるサイズを購入し、新鮮なうちに使うことも大切。とりあえず減塩を始めたいけど何から?と迷ったら減塩醤油から試してみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)

管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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