2021.08.09
月経前の耐えられない眠気の原因とは?【眠りの秘めたる力#19】
「なんか今日は身体はだるいし、頭が重い……」。
女性の身体には月経前からさまざまな症状が現れます。日中に眠くなる方がいる一方で、夜は寝付きが悪くなるという方もいます。
こうした女性の身体に大きな影響を与えるのが、ホルモンバランスの変化です。
今回は「月経と眠り」について、ホルモンの動きや今日からできる対策を交えて解説します。
月経前に眠気が強くなるのはホルモンのせい?
排卵から月経までの黄体期は、深部体温を高めて黄体を形成する「プロゲステロン」というホルモンが急激に分泌されることで、体内のホルモンバランスが大きく乱れ、強い眠気が引き起こされます。
ぐっすり深く眠るためには、就寝時に深部体温が急激に下がることが重要です。基礎体温が高くなる黄体期は深部体温が下がりにくく、夜の寝つきが悪くなったり、浅い睡眠になったりと、睡眠の質が低下しやすくなります。ぐっすり眠った感じが得られず、日中ボーっとしたり、眠たくなったりするのです。
眠くて身体がだるくシャキッとしない、気分もなんだかイライラしてしまい、仕事や家事、趣味・習い事などもいつもより全力で頑張れない、うまくいかない日が続くことがあると思います。月経周期のカレンダーを見てみると意外と黄体期と合致しているかもしれません。
また、身体が復調した月経後に「先週パフォーマンスが落ちていたから。もしくは休んだから」と、頑張りすぎていませんか?
私もその1人でしたが、体の調子が良くなると、これまでの分を挽回しようと夜遅くまで仕事を頑張ったり、色々な予定を詰め込んだりして夜眠る時間が遅くなったりしていました。しかし、この時期に睡眠時間を削り寝不足になってしまうと、次の黄体期に響いてしまい、PMSがよりキツくなってしまいます。
どんな時でも無理をしすぎないことを心がけましょう。
卵胞期の過ごし方から見直そう
月経から排卵までの卵胞期は深部体温が下がりやすくぐっすり眠れる時期です。つい頑張りすぎてしまう月経後は、積極的にリラックスし睡眠の質と量を充実させ次の黄体期での眠気を軽くしましょう!
質の良い睡眠のためのメソッドはこれまでに色々お話をしてきました。
・就寝1時間半前までの入浴
・照明に調光機能があれば夜は暖色系に変える
・お酒を飲みすぎない
・ストレッチやマッサージなどで身体をリラックス
副交感神経を優位にし、ぐっすり深く眠るための習慣ができるといいですね。
この時期にぐっすり眠れていれば黄体期になっても、それほど調子を崩さなくなります。
カーテンを開けて部屋に太陽の光が入るようにしよう
女性は月経サイクルによって、睡眠時間にばらつきがでることが多いです。
しかし、眠いからといって休日にダラダラと昼頃まで眠ってしまうと体内時計のリズムが崩れてしまいます。
脳に光が届いてから14〜16時間後に眠りのホルモン「メラトニン」が分泌され、夜に眠くなるリズムが整います。そのため、朝日を浴びる時間が遅くなると、眠くなる時間も遅くなるため夜更かし傾向が強まっていきます。
さらに怖いのは、眠気に対する慣れの現象です。例えば平日に仕事やプライベートで忙しくして、寝不足が常態化してしまうと眠気に対する感度が下がり、ショートスリープでも平気だと勘違いしてしまいます。自分が大丈夫だと思っていても、身体はそうはいきません。
休日に二度寝、三度寝した後、かえって頭がボーッとしたり、身体がだるく感じスッキリ感がない経験があるとしたら、睡眠習慣を見直したほうがいいでしょう。
どうしても二度寝するようであれば、カーテンを開けて部屋に太陽の光が入るようにします。目を瞑っていても、網膜から光が入って長く寝続けられません。
卵胞期の過ごし方をまず見直し、この時期の睡眠の質を高め、月経周期を上手に整えていきましょう!
西谷 綾子(にしたに・あやこ)
睡眠改善インストラクター。
眠りのエキスパートとして、ワークショップや講演会などで活動中。自身のYouTubeチャンネル『あや吉チャンネル』では快眠のためのワンポイントアドバイスも行っている。
ランニングにも注力し、フルマラソンのベストタイムは3時間1分。〈Body & Soul Running Club〉を主宰し、初心者教育も行う。