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2018.07.26

勝ちたければチームを組め!パフォーマンスは倍増する!【本能の処世術#5】

KenCoM公式:心理学者・内藤誼人

動物や昆虫は人間と同じように、群れのなかでのコミュニケーションがうまいものほど、出世をしたり、得をしています。

彼らが本能的に行っているスキルは、ビジネスパーソンにもぜひ身につけていただきたい目からうろこのテクニックばかり!というわけで、生き物が大好きな心理学者の内藤誼人が、彼らの行動と学びたい処世術のポイントを心理学的観点で説いていきます。

犬から学ぶ!チームでパフォーマンスUP!

イラスト/今井ヨージ

イラスト/今井ヨージ

今回は、犬から学びましょう。チームでいることで自分の潜在的な能力が引き出されて、パフォーマンスがアップするというものです。

ここで実験をご紹介します。ある犬にお腹いっぱいにエサを食べさせた量を100として、その犬を他の犬と一緒に食事をさせます。すると今度は食べる量が136になったのです。

実は、束になると力が出せる現象は「社会的促進」といわれ、人間でも、ニワトリでも、ゴキブリでも見られる心理学的事象なんですよ。

「社会的促進」を狙って仕事の効率を上げる

やりたくない仕事ほど他人と一緒にするとやる気が出てくることは、心理学的に証明されています。

もちろん自分ひとりで行ったほうが能率がいいという人はそれで構いませんが、そうではない人はチームで仕事を行うほうが優れた結果になるはずですから、ぜひお試しを。

例えば、一人でダイエットをすると途中で挫折をしてしまいますが、みんなと一緒に行うことでやる気が出てくるので、モチベーションの維持にもつながりますよ。

責任がプラスされるとさらに効果的!

ここでデータをご紹介します。

ドイツのヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学のヨワヒム・ハフマイヤーという教授がある実験を行いました。それは、水泳選手の個人の自由形とリレーの自由形の100mのタイムを計ってみたというものです(※1996年~2008年のオリンピック、1998年~2011年の世界選手権、2000~2010年のヨーロッパ選手権におけるもの)。

すると、リレーのほうが個人よりもタイムが総じてよいということがわかりました。

さらにリレーにおいては、最も責任があるアンカーポジションの人のほうがよりタイムが伸びていたという結果に。

これはつまり、社会的促進(チームの影響)に責任が加わることが要因だというわけです。

嫌な仕事はチームで乗り切れ!

自分ひとりでは重たいと思うような仕事はチームを組んでしまいましょう。仕事を分散させられるだけでなく、チームになれば成功したいという気持ちがより高まり、モチベ―ションを維持しながら乗り切れるはずです。

ただし注意したいのは「社会的手抜き現象」です。これは、優秀な人がチームをぐいぐい引っ張っていく場合です。このとき、〇〇さんがやってくれるだろうという安心感が生まれてしまい、効果は減少してしまうことも。

みんなの意識を統一させるために仕事は分散させましょう!

参考文献

Huffmeier, J., Krumm, S., Kanthak, J., & Hertel, G. 2012 “Don’t let the group down”: Facets of instrumentality moderate the motivating effects of groups in a field experiment. European Journal of Social Psychology ,42, 533-538.

▼「本能の処世術」記事一覧はこちら!

<監修者プロフィール>

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『ベンジャミン・フランクリンの心理法則』(ぱる出版)、『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』(明日香出版社)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。大の昆虫好きで、休みの日には山に入って昆虫採集をするのが楽しみなのだとか。

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